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■平成13年一般-第8問(年金額等の改定)

年金額等の改定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)国民年金法による年金たる給付の額は、国民の生活水準、賃金その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない。

(B)国民年金法による年金たる給付については、総務省において作成する年平均の全国消費者物価指数が平成10年(年金額の自動改定の規定による年金たる給付の額の改定の措置が講ぜられたときは、直近の当該措置が講ぜられた年)の物価指数を超え、又は下るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率を基準として、その翌年の4月以降の給付額を改定する。(参考問題)

(C)厚生年金保険の賃金スライドは、過去の標準報酬を、その後の賃金上昇率を乗じることによって現在の賃金水準に置き換える、いわゆる再評価の手法によって行われ、毎年4月以降の給付額が改定される。(参考問題)

(D)厚生年金保険法に規定する年金額の自動改定の規定による年金たる保険給付の額の改定の措置は、内閣が政令で定める。(参考問題)

(E)老人保健法の規定による医療給付の一部負担金は、国民年金法の規定による物価スライドの改定率によって、改定が行われる。



■解説

(A)誤り
国年法4条
国民年金法による年金の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講ぜられなければならないとされている。
よって、「国民の生活水準、賃金その他の諸事情」(賃金は要件になっていない)とした問題文は誤りである。

(B)誤りだった
旧国年法16条の2第1項
国民年金法の年金たる給付(付加年金は除く)については、総務省において作成する年平均の全国消費者物価指数(物価指数)が平成10年(年金額の自動改定の規定による年金たる給付の額の改定の措置が講ぜられたときは、直近の当該措置が講ぜられた年の前年)の物価指数を超え、又は下回るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率を基準として、その翌年の4月以降の当該年金たる給付の額を改定することになっていた。
よって、「年金額の自動改定の規定による年金たる給付の額の改定の措置が講ぜられたときは、直近の当該措置が講ぜられた年」とした点、「年金たる給付」において付加年金を除いていない点から誤りの肢とされていた。
なお、この完全自動物価スライド方式は平成16年の法改正で廃止され、改定率を用いて年金額が動的に改正される仕組みとなったので、参考問題とした。

(参考)
改定率は、名目手取り賃金変動率を基準として、毎年度、改定されることになっている。
しかし、国民年金の基礎年金(子の加算額は除く)、65歳からの老齢厚生年金の経過的加算額、障害厚生年金及び障害手当金の最低保障額、遺族厚生年金の経過的寡婦加算額、旧法の年金(加給年金額、子がいる寡婦への寡婦加算額、子の加算額を除く)の改定率については、受給権者が68歳に達する年度以後は、物価変動率を基準として改定される。
なお、調整期間については、少子高齢化の進行による公的年金加入者数の減少や平均寿命の伸びを年金額に反映させ、年金額の伸びを賃金や物価の伸びよりも抑える必要があるため、名目手取り賃金変動率(受給権者が68歳に達する年度以後の基礎年金等は、物価変動率)に調整率を乗じて得た額を基準として、毎年度、改定率を定めることになっている。(マクロ経済スライド方式)

(C)誤りだった
旧厚年法附則17条の2
厚生年金保険の保険給付の額の計算の基礎となる平均標準報酬月額については、過去の報酬をその後の賃金の上昇などに応じて再評価することになっている。
再評価の方法は、5年に一度行われる年金財政再計算に合わせ、現役の厚生年金保険の被保険者の標準報酬月額の変動を基準としつつ、これにいわゆる可処分所得の変動についても合わせて考慮し、再評価率を定め、その再評価率を標準報酬月額に乗ずることにより行われることになっていた。
よって、毎年保険給付の額が改定されるわけではないので、「毎年4月以降の給付額が改定される」とした問題文は誤りだった。
なお、平成16年の改正で再評価率は、名目手取り賃金変動率(受給権者が68歳に達する年度以後は、物価変動率)を基準として、毎年度、改定されることになっているが、調整期間における再評価率の改定は、名目手取り賃金変動率(受給権者が68歳に達する年度以後は、物価変動率)に調整率を乗じて得た率を基準にして改定されることになっているので、参考問題とした。

(D)正解だった
旧厚年法附則34条2項
年金額の自動改定による年金たる保険給付の額の改定の措置は、政令で定めることになっており、正解の肢であった。
平成16年の改正により、年金額は改定率(再評価率)を用いて改定されることになったため、参考問題とした。
なお、改定率(再評価率)の改定の措置は政令で定められることになっている。

(E)誤り
老人保健法28条
保険医療機関等について老人保健法の規定による医療を受ける者は、医療を受ける際、医療に要する費用の額の算定に関する基準により算定した額に、所得によってあらかじめ定められている割合(原則1割、一定以上の所得者は2割)を乗じて得た額を、一部負担金として、当該保険医療機関等に支払わなければならないことになっている。
よって、「国民年金法の規定による物価スライドの改定率によって、改定が行われる」とした問題文は誤りである。

  

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