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■平成15年一般-第3問(賃金等)

賃金等に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)厚生労働省「平成14年賃金構造基本統計調査(初任給)」によると、産業計、規模計でみた平成14年の高卒以上の初任給は、男女計では各学歴とも概ね前年と同水準になっている。男性についてみると、大卒を除き、高専・短大卒、高卒ともに前年を下回っている。

(B)厚生労働省の調査によると、平成14年の民間主要企業の春季賃上げ妥結結果は、賃上げ額、賃上げ率のいずれにおいても、前年の妥結結果を下回った。このような結果は5年連続のことである。

(C)厚生労働省「平成14年賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、全企業のうち平成14年中に1人当たり平均賃金を引き上げる企業割合は前年に比べて大幅に減少し、これを引き下げる企業割合や賃金の改定を実施しない企業割合は前年に比べて増加した。
また、平成14年中に何らかの賃金カット等を実施又は予定している企業割合は、前年よりも増加した。賃金カット等の方法としては、「賃金カットを行った・行う」企業割合が、「諸手当の減額を行った・行う」企業割合を上回っている。

(D)平成14年度の地域別最低賃金の改正については、各都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会において、厚生労働省に設置されている中央最低賃金審議会から提示された「平成14年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)」を参考にし、関係労使の意見、賃金実態の調査の結果等を考慮して審議が進められ、すべての都道府県で、地域別最低賃金が決定された。なお、現在、地域別最低賃金額は、日額及び時間額で表示されている。

(E)厚生労働省「平成14年労働組合基礎調査」によると、労働組合数も労働組合員数も前年に比べ減少し、労働組合の推定組織率は20.2%と前年に比べてわずかに低下し、推定組織率の低下傾向が続いている。なお、こうした中で、パートタイム労働者の組合員数は前年より増加しているが、パートタイム労働者にかかる推定組織率は3%を下回る状況である。



■解説

(A)正解
平成14年賃金構造基本統計調査(初任給)
賃金構造基本統計調査によると、産業規模計でみた平成14年の男女計の初任給は、大卒195,100円(前年195,100円)、高専・短大卒166,000円(前年165,900円)、高卒154,000円(前年154,000円)となっており、各学歴とも概ね前年と同水準となっている。
また、男性についてみると、大卒198,500円(前年198,300円)、高専・短大卒169,500円(前年170,300円)、高卒157,500円(前年158,100円)となっており、大卒を除いて、前年を下回っている。
よって、問題文は正解となる。
なお、女性については、大卒188,800円(前年188,600円)、高専・短大卒164,300円(前年163,800円)、高卒148,800円(前年148,700円)となっており、各学歴とも前年を上回っている。

(B)正解
平成14年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況について
民間主要企業における春季賃上げ状況の推移によると、賃上げ額は、平成14年が5,265円、平成13年が6,328円、平成12年が6,499円、平成11年が7,005円、平成10年が8,323円となり5年連続で前年の妥結結果を下回っている。
また、賃上げ率も平成14年が1.66%、平成13年が2.01%、平成12年が2.06%、平成11年が2.21%、平成10年が2.66%となっており、同様に5年連続で前年の妥結結果を下回っている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
平成14年賃金引上げ等の実態に関する調査
賃金引上げ等の実態に関する調査によると、平成14年中に1人当たり平均賃金を引き上げる企業割合は61.5%(前年73.8%)、1人当たり平均賃金を引き下げる企業割合は7.0%(同2.2%)、賃金の改定を実施しない企業割合は27.1%(同21.3%)で、引き上げる企業割合は前年と比べ大幅に減少し、引き下げる企業割合は「引き上げ」と「引き下げ」を区別した平成11年以降最高、実施しない企業割合は調査項目とした昭和50年以降最高となっているとしている。
また、全企業のうち,平成14年中に何らかの賃金カット等を実施又は予定している企業割合は14.8%(前年4.0%)で、このうち、「賃金カットを行った・行う」企業割合は70.8%、「諸手当の減額を行った・行う」企業割合は46.1%となっている。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
平成14年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)
現在、地域別最低賃金は、時間額のみで表示されている。
よって、「地域別最低賃金額は、日額及び時間額で表示されている」とした問題文は誤りである。
なお、答申の内容は、平成14年度地域別最低賃金額改定の目安については、意見の一致をみるに至らず、昨年度同様、目安に関する公益委員見解を地方最低賃金審議会に提示するというものであり、公益委員見解の内容は、「平成14年度地域別最低賃金額(時間額)としては、現行水準の維持を基本として引上げ額の目安は示さないことが適当」となっている。
今後、各地方最低賃金審議会は、この公益委員見解を参考にしつつ地域における賃金実態調査、参考人の意見等も踏まえ審議を行い、その審議結果に基づき都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなったとしている。

(E)正解
平成14年労働組合基礎調査
労働組合基礎調査では、平成14年6月30日現在における単位労働組合の労働組合数は65,642組合で、前年に比べ2,064組合(3.0%)の減少となり、単一労働組合の労働組合員数は1,080万1千人で、前年に比べ41万2千人(3.7%)減少し、昭和28年以降減少幅は最大となったとしている。
また、推定組織率は20.2%で、前年の20.7%に比べ0.5ポイントの低下となり、低下傾向が続いているとしている。
なお、労働組合員数(単位労働組合)のうちパートタイム労働者についてみると、29万3千人(対前年比4.5%増)で、全労働組合員数に占める割合は2.7%となり、推定組織率は2.7%となっているとしている。
よって、問題文は正解となる。

  

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