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トップページ過去問研究室(一般常識) 平成16年一般-第3問(労働関係諸法令)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成16年一般-第3問(労働関係諸法令)

次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、この問において「次世代支援法」とは「次世代育成支援対策推進法」のことであり、「育児・介護休業法」とは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」のことであり、「基本調査」とは「平成14年度女性雇用管理基本調査」のことである。


(A)次世代支援法の基本理念は、第3条において「次世代育成支援対策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮して行われなければならない。」とされ、事業主の責務として、第5条において「事業主は、基本理念にのっとり、その雇用する労働者に係る多様な労働条件の整備その他の労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備を行うことにより自ら次世代育成支援対策を実施するよう努めるとともに、国又は地方公共団体が講ずる次世代育成支援対策に協力しなければならない。」とされている。

(B)育児・介護休業法に基づき、育児又は家族介護を行う労働者に関して転勤を命ずる場合には、当該労働者の同意を得る必要がある。

(C)1歳(一定の場合は1歳6か月)未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、雇用保険の被保険者であるなどの一定の要件を満たすと育児休業給付の対象となる。育児休業給付のうち、育児休業基本給付金は育児休業中に毎月支給されるが、育児休業者職場復帰給付金は育児休業が終了して、元の職場に復帰したらその時点でまとめて支給される。(一部改正)

(D)基本調査によると、平成14年度で育児休業制度の規定がある事業所の割合は、61.4%(平成11年度53.5%)と前回調査より上昇している一方、育児休業取得率は、女性の64.0%に対して男性は33.0%と女性の半分程度の低い取得率となっている。

(E)基本調査によると、育児休業を終えて復職後の職場・職種の取扱いで最も多いのは、「原則として原職復帰する」である。 一方、復職後の賃金の取扱いで最も多いのは、「休業前の額を下回ることもある」で、次いで「休業前の賃金又はそれ以上の額を保障する」の順になっている。



■解説

(A)正解
次世代支援法3条・5条
次世代支援法の基本理念は、「次世代育成支援対策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮して行われなければならない。」とされており、また、事業主の責務としては、「事業主は、基本理念にのっとり、その雇用する労働者に係る多様な労働条件の整備その他の労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備を行うことにより自ら次世代育成支援対策を実施するよう努めるとともに、国又は地方公共団体が講ずる次世代育成支援対策に協力しなければならない。」と規定されている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
育児介護休業法26条
育児介護休業法では、労働者の配置に関する配慮として、事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならないとしている。
よって、「育児又は家族介護を行う労働者に関して転勤を命ずる場合には、当該労働者の同意を得る必要がある」(配慮しなければならないが同意までは必要ない)とした問題文は誤りである。

(C)誤り
雇用保険法61条の4、雇用保険法61条の5、雇用保険則101条の13、雇用保険則101条の14
雇用保険法の育児休業給付のうち、育児休業基本給付金については、初めて育児休業基本給付金の支給を受けようとするときは、支給単位期間の初日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日までに申請書等を提出することにより、その後は公共職業安定所長の指定する時期までに申請書を提出することにより、支給はその申請に基づき行われることになっている。
また、育児休業者職場復帰給付金は、職場復帰後6か月を経過した場合にその翌日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までに申請書を提出することによって、一時金としてまとめて支給されることになっている。
よって、育児休業基本給付金について「育児休業期間中に毎月支給される」とした点、育児休業者職場復帰給付金について「育児休業が終了して、元の職場に復帰したらその時点でまとめて支給される」とした点により問題文は誤りとなる。

(D)誤り
平成14年度女性雇用管理基本調査
基本調査によると、平成14年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む)の割合(育児休業取得率)を男女別にみると、女性は64.0%と前回(平成11年度56.4%)より7.6%ポイント上昇し、男性は0.33%と前回(0.42%)に引き続き取得率は低かったとされている。
よって、「男性は33.0%と女性の半分程度の低い取得率」とした問題文は誤りである。

(E)誤り
平成14年度女性雇用管理基本調査
基本調査では、育児休業終了後の復職後の職場・職種の取扱いについては、「原則として原職復帰する」が71.3%、「本人の希望を考慮し会社が決定する」が15.1%、「会社の人事管理等の都合により決定する」は9.7%と原職又は本人の希望が考慮された形での復職とする事業所の割合が高くなっている。
また、復職後の賃金の取扱いについては、「休業前の賃金又はそれ以上の額を保障する」が70.7%を占めており、「休業前の額を下回ることもある」は7.3%であるという結果になっている。
よって、「復職後の賃金の取扱いで最も多いのは、「休業前の額を下回ることもある」で、次いで「休業前の賃金又はそれ以上の額を保障する」の順になっている」とした問題文は誤りである。

  

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