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■平成17年一般-第3問(退職金)

退職金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、この問において「中退法」とは「中小企業退職金共済法」のことであり、「中退共制度」とは「中小企業退職金共済制度」のことであり、「賃確法」とは「賃金の支払の確保等に関する法律」のことである。


(A)退職金の原資管理は、現在では、社内積立による退職給与引当金制度と社外積立による適格退職年金制度と中退共制度のいずれかにより行われている。

(B)中退共制度においては、掛金月額は被共済者1人につき、5千円以上3万円以下と中退法施行規則第4条第2項に定められている。また、掛金月額を増額変更することはいつでもできるが、減額変更することはできない。

(C)新しく中退共制度に加入する事業主には、掛金月額の2分の1を、加入月から2年間、国が助成する。

(D)中退共制度においては、掛金は、被共済者である労働者の負担はなく、共済契約者である事業主が負担する。一方、中退共制度により退職金が支給される場合は、被共済者である労働者が退職したときは本人(退職が死亡によるものであるときは、その遺族)に支給され、共済契約者である事業主に支給されることはない。

(E)事業主は、賃確法第5条の規定に基づき、退職手当の全額について保全措置を講じなければならない。



■解説

(A)誤り
退職給与引当金制度は、平成14年8月施行の法人税法の改正により廃止されている。
また、社外積立による退職金の原資管理は、適格退職年金制度(平成24年3月31日で廃止予定)、中小企業退職金共済制度の他に、厚生年金基金、確定拠出年金制度、確定給付企業年金制度などがある。
よって、社内積立として「退職給与引当金制度」とした点、社外積立として「適格退職年金制度と中退共制度のいずれか」とした点により、問題文は誤りとなる。

(B)誤り
中小企業退職金共済法4条2項、中小企業退職金共済法9条2項
中小企業退職金共済制度の掛金金額は、中小企業退職金共済法4条2項において、5,000円(短時間労働被共済者は2,000円)以上30,000円以下と規定されている。
また、掛金月額の減少の申込みについては、「被共済者の同意を得たとき」、「掛金の納付を継続することが著しく困難であると厚生労働大臣が認めたとき」には、承諾できることになっている。
よって、掛金金額の範囲について「施行規則に定められている」とした点、「掛金月額の減額変更はすることはできない」とした点により、問題文は誤りとなる。

(C)誤り
中小企業退職金共済法23条1項、中小企業退職金共済規則45条
中小企業者の退職金共済契約の促進をするため、新たに共済契約の申込みをする中小企業者に対しては、共済契約の効力が生じた日の属する月から起算して、4月を経過する月から15月を経過する月(新規加入4か月目から1年間)の各月分として納付する掛金について、国が当該掛金の月額に2分の1を乗じて得た額を助成することになっている。
よって、「掛金月額の2分の1を、加入月から2年間、国が助成する」とした問題文は誤りである。

(D)正解
中小企業退職金共済法2条3項、中小企業退職金共済法10条1項
退職金共済契約とは、事業主が独立行政法人勤労者退職金共済機構(機構)に掛金を納付することを約し、機構がその事業主の雇用する従業員の退職について(退職が死亡によるものであるときは、その遺族)、退職金を支給することを約する契約とされている。
よって、掛金の負担は共済金契約者である事業主で、退職金については退職した労働者(又はその遺族)が受給することになり、共済契約者である事業主に支給されることはない。
なお、掛金納付月数が12月に満たないときは支給されないので注意すること。

(E)誤り
賃確法5条、賃確則5条1項
事業主は、労働契約又は労働協約、就業規則等において労働者に退職手当を支払うことを明らかにしたときは、当該退職手当の支払に充てるべき一定の額について、保全措置を講ずるように努めなければならないことになっている。(努力規定)
よって、「退職手当の全額について保全措置を講じなければならない」とした問題文は誤りである。
なお、中小企業退職金共済法による退職金共済契約を締結した事業主、法人税法による適格退職年金契約を締結した事業主、厚生年金基金設立事業主、確定給付企業年金実施事業主等については、退職手当の保全措置を講ずる必要はないとされている。

  

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