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■平成19年一般-第4問(労働経済)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、この問において「実態調査」とは「平成17年企業における若年者雇用実態調査」のことであり、「白書」とは「平成18年版厚生労働白書」のことである。


(A)実態調査によれば、3年前と比べた若年正社員の定着率の変化は、「向上している」が9.3%、「やや向上している」が16.5%、「ほぼ横ばいである」が56.5%、「やや低下している」が10.8%、「低下している」が4.9%となっている。D.I.(「向上している企業の割合」−「低下している企業の割合」)でみると10.1となっている。

(B)実態調査によれば、企業が若年正社員の定着に役立っているとしている施策(複数回答)は、「本人の能力・適性に合った配置」(48.5%)、「職場での意思疎通の向上」(36.8%)、「教育訓練の実施・援助」(33.5%)の順に多くなっている。

(C)実態調査によれば、企業が若年正社員に望むことや身につけて欲しい能力(3つまでの複数回答)は、「企画・立案力」(49.0%)、「新しい感性・柔軟な発想」(40.4%)、「リーダーシップ」(39.4%)が多くなっており、「職業意識・勤労意欲」、「チャレンジ精神・向上心」、「マナー・社会常識・一般教養」は少なくなっている。

(D)白書によれば、平成18年1月に「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」の改訂版がとりまとめられ、厚生労働省では関係府省間のみならず、国と地方、行政と産業界・教育界の連携の下、フリーターの常用雇用化、ニートの自立化支援など、若者一人一人の状況に応じたきめ細かな対策等に取り組むこととしている。

(E)白書によれば、ニート等若者の働く意欲と能力を高めるための総合的な取組みを推進するために、平成17年度から「若者自立塾」事業が推進され、さらに、平成18年度においては、ニート等の自立を支援するための地域における体制の構築を図るために、各地域に「地域若者サポートステーション」を設置し、若者の置かれた状況に応じた専門的な相談を行うとともに、地域の若者自立支援ネットワークの中核として各機関のサービスが効果的に受けられるようにすることにより、ニート等の自立を支援することとしている、とされている。また、若者の就業をめぐる悩みに対する専門的相談体制の整備についても、平成18年度においては、全国のハローワーク等において、臨床心理士等の専門的人材を活用し、就職活動等における不安などの多様な悩み、課題を有するフリーター層、早期離職者等を含めた若年求職者を対象に、就職に関わるそれぞれ個々人の課題に応じた個別的、専門的相談を提供し、その就職促進を図ることとしている、とされている。



■解説

(A)正解
平成17年企業における若年者雇用実態調査
平成17年企業における若年者雇用実態調査によると、3年前と比べた若年正社員の定着率については、「向上している」が9.3%、「やや向上している」が16.5%、「ほぼ横ばいである」が56.5%、「やや低下している」が10.8%、「低下している」が4.9%となっている。D.I.(「向上している企業の割合」−「低下している企業の割合」)でみると、10.1となっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、企業規模が大きくなるほどD.I.が小さく、5,000人以上では特にD.I.はマイナスとなっている。

(B)正解
平成17年企業における若年者雇用実態調査
平成17年企業における若年者雇用実態調査によると、若年正社員の定着に役立っている施策(複数回答)は、「本人の能力・適性に合った配置」(48.5%)、「職場での意思疎通の向上」(36.8%)、「教育訓練の実施・援助」(33.5%)が多くなっている。特に「教育訓練の実施・援助」、「職場での意思疎通の向上」は企業規模が大きくなるほど役立っているとする企業の割合が高くなっている。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
平成17年企業における若年者雇用実態調査
平成17年企業における若年者雇用実態調査によると、若年正社員に望むことや身につけて欲しい能力(3つまでの複数回答)として、「職業意識・勤労意欲」(49.0%)、「チャレンジ精神・向上心」(40.4%)、「マナー・社会常識・一般教養」(39.4%)が多くなっている。
一方、「企画・立案力」(6.8%)、「新しい感性・柔軟な発想」(15.4%)、「リーダーシップ・実行力」(10.4%)は少なくなっている。
よって、割合が多いものと少ないもの記述が逆になっており、問題文は誤りとなる。

(D)正解
平成18年版厚生労働白書231ページ、232ページ
平成18年版厚生労働白書では、「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン(改訂版)」の推進として、「若者の失業率が高い水準で推移していることや、フリーターの増加、学校に通っておらず、働いてもおらず、職業訓練も行っていないいわゆるニートの状態にある若年無業者の増加を背景に、厚生労働大臣をはじめとした関係閣僚により「若者自立・挑戦戦略会議」が発足している。会議においては、2003(平成15)年6月に「若者自立・挑戦プラン」を、2004(平成16)年12月には、プランの実効性・効率性を高めるため、「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」を取りまとめ、関係府省が密接に連携しつつ、若年失業者等の増加傾向を転換させることを目指し、各種対策に取り組んでいるところである。この結果、24歳以下の若者の失業率は、2004年をピークに減少に転じ、また、フリーターについても、2004年から2年連続で減少するなど、各種対策の効果が現れつつある。しかしながら、依然としてなお厳しい状況にあることから、2006(平成18)年1月にはプランの最終年度である2006年度に向けて、アクションプランの改訂版を取りまとめた。これに基づき、厚生労働省では関係府省間のみならず、国と地方、行政と産業界・教育界の連携の下、フリーターの常用雇用化、ニートの自立化支援など、若者一人一人の状況に応じたきめ細かな対策等に取り組むこととしている。」と記述している。
よって、問題文は正解である。

(E)正解
平成18年版厚生労働白書234ページ
平成18年版厚生労働白書では、ニート等若者の働く意欲と能力を高めるための総合的な取組みの推進のうち、(1)若者自立塾事業の推進として「様々な要因により、働く自信をなくした若者を対象として、合宿生活による集団生活の中で、生活訓練、労働体験等を通じて、働くことについての自信と意欲を付与することにより、就労等へと導く「若者自立塾」事業を2005(平成17)年度から開始し、全国20団体において、若者の自立に向けた支援等を実施しているところである。2006(平成18)年度においては、新たに5団体を選定し、2005年度に選定した20団体と合わせ、全国25団体において、一層の支援を実施し、「若者自立塾」事業の推進を図っていくこととしている。」、(2) ニート等の自立を支援するための地域における体制の構築として、「ニート等の若者の自立を支援するためには、基本的な能力(人間力:社会の中で人と交流し、協力し、自立した一人の人間として力強く生きるための総合的な力)等の養成だけに留まらず、職業意識の啓発や社会適応支援を含む包括的な支援が必要である。こうした支援は、各人の置かれた状況に応じて、個別的に行うことや、一度限りの支援にとどまらず、継続的に行うことが必要となっている。このため、各地域において、地方自治体の主導により、関係機関が若者自立支援のためのネットワークを構築し、これを活用した若者の職業的自立支援の取組みが促進されるよう、2006(平成18)年度においては、各地域に「地域若者サポートステーション」を設置し(全国25か所)、若者の置かれた状況に応じた専門的な相談を行うとともに、地域の若者自立支援ネットワークの中核として各機関のサービスが効果的に受けられるようにすることにより、ニート等の自立を支援することとしている。」、(3)若者の就業をめぐる悩みに対する専門的相談体制の整備として、「若者の中には、対人関係における不安や就職活動での失敗による挫折等が原因となって、就職を希望しながら就職活動に対して消極的になっている者も少なくない。これら若者に対しては、就職の実現を図る前提として、心理面も含めたよりきめ細かい支援が不可欠である。このため、2006(平成18)年度においては、全国のハローワーク等において、臨床心理士等の専門的人材を活用し、就職活動等における不安などの多様な悩み、課題を有するフリーター層、早期離職者等を含めた若年求職者を対象に、就職に関わるそれぞれ個々人の課題に応じた個別的、専門的相談を提供し、その就職促進を図ることとしている。」と記述している。
よって、問題文は正解となる。

  

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