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トップページ過去問研究室(一般常識) 平成19年一般-第5問(労働関係諸法令)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成19年一般-第5問(労働関係諸法令)

次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、この問において「高齢法」とは「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」のことであり、「調査」とは「平成18年賃金構造基本統計調査」のことである。


(A)高齢法が改正され、65歳未満の定年の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、平成19年4月1日以降、65歳未満の定年の定めをすることができなくなった。

(B)高齢法が改正され、事業主は、労働者の募集及び採用をする場合において、一定の年齢(65歳以下のものに限る。)を下回ることを条件とすることは、いかなる場合もできなくなった。

(C)高齢法第2条第1項において、「高年齢者」とは、厚生労働省令で定める年齢以上の者をいう、とされ、当該厚生労働省令で定める年齢は60歳と定められている。

(D)調査によれば、賃金がピークとなる年齢階級は、男では50〜54歳で420,000円(平均21.8年勤続)となっている。また、学歴別に賃金がピークとなる年齢階級をみると、男では、大学・大学院卒及び中卒が55〜59歳、高専・短大卒及び高卒が50〜54歳となっている。

(E)調査によれば、学歴別にみた年齢階級間の賃金格差(20〜24歳の賃金=100)は、男では大学・大学院卒は55〜59歳で247、高専・短大卒は50〜54歳で230、高卒は50〜54歳で192となっている。
また、女は、すべての学歴で、男に比べ年齢階級間の賃金格差が大きくなっている。



■解説

(A)誤り
高年齢者雇用安定法8条
事業主が定年の定めをする場合には、原則として60歳を下回ることができない(坑内作業の業務に従事する場合は60歳を下回る定年の定めをすることも認められている。)とする規定は改正されていない。
よって、「平成19年4月1日以降、65歳未満の定年の定めをすることができなくなった」とした問題文は誤りとなる。
なお、定年(65歳未満のものに限る。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、次の措置(高年齢者雇用確保措置)のいずれかを講じなければならないとされている。(高年齢者雇用安定法9条)
(1)定年の引上げ
(2)継続雇用制度の導入
(3)定年の廃止
※高年齢者雇用確保措置の年齢(65歳)は平成25年度までに段階的に引上げられることになっており、平成19年4月から平成22年3月までは63歳、平成22年4月から平成25年3月までは64歳、平成25年4月から65歳とされている。(高年齢者雇用安定法附則4条)

(B)誤り
高年齢者雇用安定法18条の2
事業主は、労働者の募集及び採用をする場合において、やむを得ない理由により一定の年齢(65歳以下のものに限る。)を下回ることを条件とするときは、求職者に対し、厚生労働省令で定める方法により、当該理由を示さなければならないとされている。
よって、「一定の年齢(65歳以下のものに限る。)を下回ることを条件とすることは、いかなる場合もできなくなった」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
高年齢者雇用安定法2条1項、高年齢者雇用安定則1条
高年齢者雇用安定法における「高年齢者」とは、55歳以上の者と定義されている。
よって、「60歳と定められている」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
平成18年賃金構造基本統計調査
平成18年賃金構造基本統計調査によると、賃金がピークとなる年齢階級は、男では、50〜54歳で420,000円(平均21.8年勤続)となり、女では、40〜44歳で246,000円(同10.2年勤続)となっている。
また、賃金がピークとなる年齢階級をみると、男では、大学・大学院卒及び中卒が55〜59歳、高専・短大卒及び高卒が50〜54歳、女では、大学・大学院卒が60〜64歳、高専・短大卒、高卒及び中卒が55〜59歳となっている。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
平成18年賃金構造基本統計調査
平成18年賃金構造基本統計調査では、学歴別の年齢階級間の賃金格差(20〜24歳の賃金=100)は、男では、大学・大学院卒は55〜59歳で247、高専・短大卒及び高卒は50〜54歳でそれぞれ230、192となっており、女では、大学・大学院卒の60〜64歳の年齢階級で213、高専・短大卒及び高卒は55〜59歳でそれぞれ158、124となっており、すべての学歴で、男に比べ年齢階級間の格差が小さい。
よって、「女は、すべての学歴で、男に比べ年齢階級間の賃金格差が大きくなっている。」とした問題文は誤りとなる。

  

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