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トップページ過去問研究室(一般常識) 平成20年一般-第4問(労働者派遣法等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成20年一般-第4問(労働者派遣法等)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において、「指針」とは「日雇派遣労働者の雇用の安定等を図るために派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針」のことであり、「労働者派遣法」とは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」のことであり、「労働者派遣法施行規則」とは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則」のことである。(一部改正)

(A)厚生労働省「労働者派遣事業の平成18年度事業報告の集計結果について」によれば、平成18年度中に派遣された派遣労働者数は対前年度比約3割増であった。また、労働者派遣法の改正によって平成16年3月1日から製造業への労働者派遣が認められることとなり、平成18年6月1日現在で製造業務に従事した派遣労働者数は、一般労働者派遣事業、特定労働者派遣事業ともに対前年度比2倍以上に増えている。

(B)厚生労働省では、日雇派遣について、労働者派遣法等の法令違反が少なからずみられることや、派遣労働者の雇用が不安定であることなどの問題があり、緊急の取組が必要となっていることから、平成20年2月に労働者派遣法施行規則を改正するとともに、指針を公布し、これを期に、違法派遣を一掃するための取組を強化する「緊急違法派遣一掃プラン」を実施することとし、違法派遣や偽装請負の一掃に向けて努力を行うこととした。

(C)労働者派遣法施行規則が平成20年2月に改正されたことにより、派遣先管理台帳の記載事項に、派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事した事業所の名称及び所在地その他派遣就業をした場所が追加されるとともに、派遣就業をした場所、従事した業務の種類が、派遣先から派遣元事業主に対する通知事項に追加されることとなった。ただし、労働者派遣の期間が1日を超えない場合には、派遣先管理台帳の作成は不要とされている。

(D)指針によれば、派遣元事業主は、モデル就業条件明示書(日雇派遣・携帯メール用)の活用等により、日雇派遣労働者に対し労働者派遣法第34条に規定する就業条件等の明示を確実に行うこととされている。

(E)指針によれば、派遣元事業主は、その雇用する日雇派遣労働者の就業の状況等を踏まえ、労働保険及び社会保険に係る手続を適切に進め、被保険者である旨の行政機関への届出(労働者派遣法施行規則第27条の2第1項各号に掲げる書類の届出をいう。)が必要とされる場合には、当該届出を行ってから労働者派遣を行うこととされているが、当該届出が必要となる日雇派遣労働者について労働者派遣を行う場合であって、当該労働者派遣の開始後速やかに当該届出を行うときは、この限りではないとされている。



■解説

(A)正解
労働者派遣事業の平成18年度事業報告の集計結果について
労働者派遣事業の平成18年度事業報告の集計結果によれば、平成18年度中に実際に派遣された派遣労働者数は3,210,468人(対前年度比26.1%増)であった。
また、平成18年6月1日現在で製造業務に従事した派遣労働者数は、一般労働者派遣事業では208,805人(対前年度比241.3%増)、特定労働者派遣事業では30,438人(対前年度比259.8%増)、全体では240,179人(対前年度比244.9%増)となっている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
緊急違法派遣一掃プラン(平成20年2月28日)
日雇派遣については、労働者派遣法等の法令違反が少なからずみられること、派遣労働者の雇用が不安定であることなどの問題があり、緊急の取組が必要となっている。このため、厚生労働省では、省令・指針の公布を期に、違法派遣を一掃するための取組を強化する「緊急違法派遣一掃プラン」を早急に実施することとした。今後、プランの実施を通じ、労働者派遣制度の周知啓発や的確な指導監督を行い、違法派遣・偽装請負の一掃に向けて努力していくこととした。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
労働者派遣法42条、労働者派遣則35条・36条・38条
従来は、労働者派遣が1日を超えない場合には、派遣先管理台帳の作成が不要であったが、平成20年4月1日からの法改正により、労働者派遣が1日を超えない場合であっても、派遣先管理台帳の作成が義務化された。
よって、「労働者派遣の期間が1日を超えない場合には、派遣先管理台帳の作成は不要とされている。
」とした問題文は誤りとなる。
なお、「派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事した事業所の名称及び所在地その他派遣就業をした場所」が派遣先管理台帳の記載事項に追加された点、「派遣就業をした場所」、「従事した業務の種類」が、派遣先から派遣元事業主に対する通知事項に追加された点は正しい。

(D)正解
指針(平成20年厚生労働省告示第36号)
指針第5「日雇派遣労働者に対する就業条件等の明示」には、次のとおり示されている。
(1)派遣元事業主は、労働基準法第15条に基づき、日雇派遣労働者との労働契約の締結に際し、労働契約の期間に関する事項、就業の場所及び従事すべき業務に関する事項、労働時間に関する事項、賃金に関する事項(労使協定に基づく賃金の一部控除の取扱いを含む。) 及び退
職に関する事項について、書面の交付による明示を確実に行うこと。また、その他の労働条件についても、書面の交付により明示を行うよう努めること。
(2)派遣元事業主は、モデル就業条件明示書(日雇派遣・携帯メール用)の活用等により、日雇派遣労働者に対し労働者派遣法第34条に規定する就業条件等の明示を確実に行うこと。
よって、問題文の記述は正しい。

(E)正解
指針(平成20年厚生労働省告示第36号)
指針第4の2「労働・社会保険に係る適切な手続」には、次のとおり示されている。
派遣元事業主は、その雇用する日雇派遣労働者の就業の状況等を踏まえ、労働・社会保険に係る手続を適切に進め、被保険者である旨の行政機関への届出(労働者派遣則第27条の2第1項各号に掲げる書類の届出をいう。以下単に「届出」という。) が必要とされている場合には、当該届出を行ってから労働者派遣を行うこと。ただし、当該届出が必要となる日雇派遣労働者について労働者派遣を行う場合であって、当該労働者派遣の開始後速やかに当該届出を行うときは、この限りでないこと。
よって、問題文は正解となる。

  

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