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■平成22年一般-第2問(高齢者の雇用)

高齢者雇用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問は、「労働力調査(総務省)」及び「平成21年版高齢社会白書(内閣府)」を参照している。

(A)ここ10年以上、60歳代の労働力率は、男女ともに一貫して上昇しているが、これは、年金の支給開始年齢の引上げが影響していると言われている。

(B)60歳代の男性の就業形態は、雇用者が最も多く、次いで役員、自営業主の順になっている。自営業主は、健康であれば何歳まででも働ける就業形態なので、高齢者のこれからの働き方の一つとして注目されている。

(C)60〜64歳の者が働く理由としてあげている項目の中で最も多いのは、男女ともに「健康を維持したい」であり、「失業している」とか「収入を得る必要が生じた」といった経済的な理由をあげる人の割合を上回っている。

(D)いわゆる団塊の世代が60歳を超えて65歳に迫ろうとする状況の中で、政府は、「70歳まで働ける企業」を増やそうとしている。このため「中小企業定年引上げ等奨励金制度」が設けられているが、これは、一定規模以下の企業が、希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度を導入した場合及び定年年齢を70歳以上に引き上げた場合に限り、奨励金を支給するものである。(参考問題)

(E)日本の高齢化のスピードは、世界に例を見ないスピードで進行しており、高齢化率(総人口に占める65歳以上の者の割合)が7%を超えてからその倍の14%に達するまでの所要年数によって比較すると、フランスが115年、ドイツが40年、イギリスが47年であるのに対し、日本はわずか24年しかかからなかった。



■解説

(A)誤り
総務省「労働力調査」
60〜64歳男性の労働力率は、平成12年(74.1%)から平成17年(70.3%)まで低下し、その後、上昇しており平成21年には76.5%となった。一方、60〜64歳女性の労働力率は、平成11年(39.7%)から平成17年(40.1%)までほぼ横ばいで、その後、上昇しており平成21年には44.6%となっている。
よって、「60歳代の労働力率は、男女ともに一貫して上昇している」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
平成21年版高齢社会白書
60〜64歳の男性の就業形態は、雇用者(44.8%)が最も多く、次いで自営業者(16.4%)、役員(11.7%)の順になっており、65〜69歳の男性の就業形態も、雇用者(24.5%)、自営業者(17.1%)、役員(8.1%)の順となっている。
よって、「雇用者が最も多く、次いで役員、自営業主の順になっている」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
平成21年版高齢社会白書
60〜64歳の男性の就業希望者が働く理由としてあげている項目の中で最も多いのは「失業している(21.1%)」で、次いで「健康を維持したい(18.6%)」、「収入を得る必要が生じた(16.8%)」となっている。一方、60〜64歳の女性の就業希望者が働く理由としてあげている項目の中で最も多いのは「収入を得る必要が生じた(22.3%)」で、次いで「健康を維持したい(19.8%)」となっている。
よって、問題文は誤りとなる。

(D)誤りだった
中小企業定年引上げ等奨励金は、65歳以上への定年引上げ、希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度の導入、定年の廃止又は希望者全員を対象とする65歳前に契約期間が切れない安定的な継続雇用制度(65歳安定継続雇用制度)の導入を行う中小企業事業主に対して助成されることになっていた。
よって、「希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度を導入した場合及び定年年齢を70歳以上に引き上げた場合に限り、奨励金を支給するもの」とした問題文は誤りであったが、中小企業定年引上げ等奨励金は平成25年3月31日で廃止されたため参考問題とする。

(E)正解
平成21年版高齢社会白書
先進諸国の高齢化率を比較してみると、我が国は1980年代までは下位、90年代にはほぼ中位であったが、21世紀初頭には最も高い水準となり、世界のどの国もこれまで経験したことのない高齢社会になると見込まれている。また、高齢化の速度について、高齢化率が7%を超えてからその倍の14%に達するまでの所要年数(倍化年数)によって比較すると、フランスが115年、スウェーデンが85年、比較的短いドイツが40年、イギリスが47年であるのに対し、我が国は、1970(昭和45)年に7%を超えると、その24年後の1994(平成6)年には14%に達している。このように、我が国の高齢化は、世界に例をみない速度で進行している。
よって、問題文は正解となる。

  

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