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■平成22年一般-第3問(雇用動向)

雇用動向に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は、「平成21年版労働経済白書(厚生労働省)」及び「平成20年雇用動向調査(厚生労働省)」を参照している。

(A)農林業以外の業種における15〜24歳層の雇用者(役員を除く)に占める正規の職員・従業員以外の者の割合は、1980年代半ばに1割未満だったが、2008年は3割を超える水準になっている。

(B)日本の労働力人口は、1998年をピークに減少が始まり、その後一時期減少に歯止めがかかったものの、2008年に再び減少に転じた。労働力人口の減少を少しでも食い止める方策として、政府は、高齢者の雇用を促進したり、女性が出産育児を機に労働市場から退出することが少なくなるような施策を実施したりしている。

(C)1990年代以降の年齢別の完全失業率は、若年層において大きく上昇し、特に20〜24歳では2003年に10%近くになった。その後の景気回復に伴い、完全失業率は低下傾向を示したが、60〜64歳層など高齢層での完全失業率の低下にくらべ、若年層の低下ポイントは小さく、若年層の雇用情勢は相対的に厳しかった。

(D)離職者の離職理由として最も多いのは契約期間の満了であり、次いで経営上の都合、個人的理由の順になっている。

(E)転職入職者が前職を辞めた理由(「その他の理由」を除く)として最も多いのは、男性の場合は「定年、契約期間の満了」、女性の場合は「労働条件が悪い」である。



■解説

(A)正解
平成21年版労働経済白書
平成21年版労働経済白書169ページの資料では、農林業以外の業種における(役員を除く)に占める正規の職員・従業員以外の者の割合は、1980年代半ばに1割未満だったが、2008年は3割を超える水準になっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、正規の職員・従業員以外の者の割合を年齢階級別にみると、どの年齢層においても、上昇傾向が見られるが、若年層ほど大きく上昇しており、特に、15〜24歳層において1990年代半ばから2000年代の初めにかけて大きな上昇がみられる。

(B)正解
平成21年版労働経済白書
労働力人口の推移をみると、1998年の6793万人をピークに減少に転じ、2004年に年平均で6642万人となった後、3年連続で増加を続けていたが、2008年に入って再び減少に転じた。2008年の労働力人口(季節調整値)は、1〜3月期に6667万人、4〜6月期に6664万人、7〜9月期に6632万人、10〜12月期に6636万人となり、年平均では6650万人(対前年差19万人減)となった。労働力人口の減少を少しでも食い止める方策として、政府は、高齢者の雇用を促進したり、女性が出産育児を機に労働市場から退出することが少なくなるような施策を実施したりしている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
平成21年版労働経済白書
平成21年版労働経済白書168ページにおいて、「1990年代以降の完全失業率の推移を年齢階級別にみると、若年層の完全失業率の上昇が大きく、特に、20〜24歳では1990年から2003年にかけ、3.7%から9.8%へと上昇した。また、その後、景気の回復に伴い、完全失業率は低下傾向を示したが、60〜64歳層など、高齢層での完全失業率の低下にくらべ、若年層の低下ポイントは小さく、若年層の雇用情勢は相対的に厳しかった。特に、若年層の完全失業率の改善については、20歳台前半層の改善に比べ、20歳台後半以降層の改善ポイントは小さく、新規学卒採用時に入職機会を逸すると、その後の就職環境が厳しいことがうかがわれる。
なお、2008 年には、低下してきた完全失業率も6 年ぶりに増加することとなり、ほとんどの年齢階層において完全失業率は上昇したが、20〜24歳層に限っては若干の低下がみられ、これは、2008年3月卒の新規学卒者の採用状況を反映したものと考えられる。」と分析している。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
平成20年雇用動向調査
平成20年雇用動向調査における離職者の離職理由別割合をみると、「個人的理由」が73.4%と最も多く、次いで「契約期間の満了」が10.7%、「経営上の都合」が8.2%、「定年」が4.8%%となっている。
よって、「最も多いのは契約期間の満了であり、次いで経営上の都合、個人的理由の順」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
平成20年雇用動向調査
平成20年雇用動向調査における転職入職者が前職を辞めた理由をみると、男では、「その他の理由」以外で「定年、契約期間の満了(14.8%)が最も多く、次いで「会社の将来が不安」(10.6%)が多い。年齢階級別にみると、「定年、契約期間の満了」は、60〜64歳と65歳以上で多く、「会社の将来が不安」は、20歳台後半から40歳台前半にかけて多い。女では、「その他の理由」以外で「労働条件が悪い」(13.2%)が最も多く、次いで「定年、契約期間の満了」(11.7%)が多い。年齢階級別にみると、「労働条件が悪い」は、20歳台から50歳台前半にかけて多い。「定年、契約期間の満了」は、60〜64歳と65歳以上で多いが、20歳台から50歳台にかけても10%前後を占めるとしている。
よって、問題文は正解となる。

  

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