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■平成26年一般-第1問(労働契約法等)

労働契約法等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する」とするのが、最高裁判所の判例である。

(B)就業規則で定める基準と異なる労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、無効となった部分は、就業規則で定める基準によるとされている。

(C)労働者が職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合においては、現に就業を命じられた特定の業務について労務の提供が十全にはできないとしても、その能力、経験、地位、当該企業の規模、業種、当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供をすることができ、かつ、その提供を申し出ているならば、なお債務の本旨に従った履行の提供があると解するのが相当であるとするのが、最高裁判所の判例である。

(D)労働契約法第3条第1項において、「労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。」と規定されている。

(E)労働契約法第4条第2項は、労働者及び使用者は、期間の定めのある労働契約に関する事項を含む労働契約の内容について、できる限り書面によって確認するものとする旨、定めている。



■解説

(A)正解
フジ興産事件(平成15年10月10日最高裁判決)
職場秩序を乱したとして懲戒解雇処分を受けた労働者が、勤務する事業場に就業規則が備え付けられていなかったために就業規則に基づく懲戒解雇は無効であるとして訴えを提起した裁判で最高裁判所は、「使用者が労働者を懲戒するにはあらかじめ就業規則において、懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する。」そして、「就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要する。」としている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
労働契約法12条
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とし、この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準によることとされている。
よって、「就業規則で定める基準と異なる労働条件を定める労働契約」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
片山組事件(平成10年4月9日)
「労働者が職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合においては、現に就業を命じられた特定の業務について労務の提供が十全にはできないとしても、その能力、経験、地位、当該企業の規模、業種、当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供をすることができ、かつ、その提供を申し出ているならば、なお債務の本旨に従った履行の提供があると解するのが相当である。そのように解さないと、同一の企業における同様の労働契約を締結した労働者の提供し得る労務の範囲に同様の身体的原因による制約が生じた場合に、その能力、経験、地位等にかかわりなく、現に就業を命じられている業務によって労務の提供が債務の本旨に従ったものになるか否か、また、その結果、賃金請求権を取得するか否かが左右されることになり、不合理である。」 というのが最高裁判所の判例である。

(D)正解
労働契約法3条1項
労働契約法において、労働契約の原則として、次のように規定されている。
1.労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2.労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3.労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4.労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5.労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
労働契約法4条2項
使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとし、労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認することとされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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