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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成26年一般-第6問(社会保険労務士法)

社会保険労務士法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)開業社会保険労務士事務所で業務に従事している職員が、顧問先企業において労働社会保険諸法令違反行為の指示等をした場合、当該職員とともに開業社会保険労務士は社会保険労務士法第15条違反の行為者として同法第32条の規定に基づいて処罰される。この場合、開業社会保険労務士が、当該職員に対して違反の防止に必要な措置を講じていれば開業社会保険労務士は免責され、処罰されないことが同法第36条に規定されている。

(B)社会保険労務士は、所属する社会保険労務士会の会則を遵守すべき義務があり、会則の不遵守は厚生労働大臣による懲戒処分の対象事由となりえる。

(C)経営コンサルタント業をしているA社からのあっせんを受け、開業社会保険労務士のB氏が、A社が受注したC社の新入社員の健康保険・厚生年金保険の資格取得手続きを行い、その報酬をA社から受けた場合、A社(元請け)と開業社会保険労務士のB氏(下請け)間で当該手続き業務に関する請負契約を締結していれば、開業社会保険労務士B氏の行為は、社会保険労務士法に抵触することはない。

(D)社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、社会保険労務士法第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合はこの限りでないとされており、この付随業務として行うことができる事務には、紛争解決手続代理業務も含まれている。

(E)社会保険労務士の業の一つにいわゆる提出代行事務があるが、これは労働社会保険諸法令に基づき事業主、使用者その他事業者(以下「事業主等」という。)が行政機関等に提出すべき書類について、その提出に関する手続きを代わってすることであり、行政機関等に対して説明を行い、行政機関等の質問に対し回答し、又は提出書類について必要な補正を行う等の行為が含まれている。そのため、開業社会保険労務士が提出書類に「提出代行者」と表示し、かつ、社会保険労務士の名称を冠して記名押印すれば、当該提出書類には、事業主等の記名押印を省略することができる。



■解説

(A)誤り
社労士法15条、社労士法32条、社労士法36条
不正行為の指示等の禁止の規定に違反した者は、3年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられることになっている。また、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して同様の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同様の罰金刑を科することとされている。(両罰規定)
よって、違反の防止に必要な措置を講じていれば免責されるという規定はなく、問題文は誤りとなる。

(B)正解
社労士法25条の3、社労士法25条の30
社会保険労務士法第25条の30において、社会保険労務士が所属社会保険労務士会の会則を守る義務を規定しており、厚生労働大臣は社会保険労務士が社会保険労務士法の規定等に違反したとき、又は社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があったときは、懲戒処分をすることができる。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
社労士法23条の2、社労士法27条
社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合を除き、他人の求めに応じ報酬を得て、所定の事務を業として行ってはならないことになっている。(業務の制限)
このことから、社会保険労務士法人でないA社が健康保険・厚生年金保険の資格取得手続業務を受注することはこの業務制限の規定に抵触する。
また、社会保険労務士は、名称の使用制限又は業務の制限の規定に違反する者から事件のあっせんを受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない(非社会保険労務士との提携の禁止)こととされており、開業社会保険労務士B氏の行為はこの規定に抵触することになる。
よって、「社会保険労務士法に抵触することはない。」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
社労士法27条、社労士法施行令2条
社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合を除き、他人の求めに応じ報酬を得て、所定の事務を業として行ってはならないことになっている。(業務の制限)
政令で定める業務は、公認会計士又は外国公認会計士が行う公認会計士法に規定する一定の業務、税理士又は税理士法人が行う税理士法に規定する一定の業務とされており、紛争解決手続代理業務はこれに含まれていない。
よって、「この付随業務として行うことができる事務には、紛争解決手続代理業務も含まれている。」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
社労士法施行規則16条、昭和53年8月8日庁文発2084号
社会保険労務士は、労働社会保険諸法令に基づき事業主、使用者その他の事業者(以下「事業主等」という。)が行政機関等に提出すべき書類(以下「提出書類」という。)について、その提出に関する手続を代わってすること(提出代行事務)ができることになっている。
この「提出に関する手続」とは、提出書類を行政機関等で受理するまでに必要な行為をいうものであり、提出代行事務には、行政機関等に対して説明を行い、行政機関等の質問に対し回答し、又は提出書類について必要な補正を行うなどの行為が含まれており、社会保険労務士が、提出代行事務を行う場合には、提出書類に「提出代行者」と表示するとともに、社会保険労務士の名称を冠して署名又は記名押印しなければならないこととされている。
そして、この提出代行事務の取扱いは次のとおりとされている。
(1)社会保険労務士が提出代行者となっている提出書類に関する質問、確認又は補正等は、当該社会保険労務士に対して行うこととなること。ただし、提出書類の内容又は当該提出代行者の説明内容等から必要と認められるときは、直接事業主等に質問又は確認をし、若しくは補正をさせることとなること。
(2)提出代行事務の性格は法律行為の代理とは異なるので、本来事業主等が意思決定すべき事項に及ばないものであること。
(3)提出代行者が提出する提出書類においても、当然事業主等の記名押印が必要であること。
よって、「当該提出書類には、事業主等の記名押印を省略することができる。」とした問題文は誤りとなる。

  

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