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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成14年健保-第8問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成14年健保-第8問(法令全般関係)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)被保険者等の保険給付を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅するが、高額療養費の消滅時効の起算日は、診療日の翌月の1日である。ただし、診療費の自己負担分を診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った日の翌日とする。

(B)日雇特例被保険者が出産したとき、出産の日の属する月の前2ヵ月間に、通算して26日分以上の保険料を納付している場合は、出産育児一時金が支給される。(一部改正)

(C)5月2日に初めて日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者は、その年の7月31日まで特別療養費の支給を受けることができる。

(D)健康保険の適用事業所が事業を廃止したときは、事業主は5日以内に被保険者全員の資格喪失届を保険者に提出しなければならない。

(E)政府管掌健康保険に係る国庫補助金は、療養の給付等の保険給付に要する費用(療養の給付については、一部負担金に相当する額を控除するものとする。)の1000分の130並びに老人保健法の規定による医療費拠出金及び介護納付金の納付に要する費用の1000分の164である。(一部改正)



■解説

(A)正解
法193条1項、昭和48年11月7日保険発第99号・庁保険発第21号
保険給付を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅する。
なお、高額療養費の時効の起算日は、診療月の翌月の1日であり、傷病が月の途中で治ゆした場合においても同様であるとされている。
ただし、診療費の自己負担分を、診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った日の翌日が起算日となる。

(B)誤り
法137条
日雇特例被保険者が出産した場合において、その出産の日の属する月の前4月間に通算して26日分以上の保険料がその者について納付されているときは、出産育児一時金が支給される。
なお、出産育児一時金(出産手当金も同じ)については、出産直前には就労が困難となる場合を想定して、支給要件が他の給付と比べて緩和されている。
よって、「出産の日の属する月の前2月間に通算して26日分以上」とした問題文は誤りである。
※「前2月間に通算して26日分以上」保険料が納付されていれば、当然に「前4月間に通算して26日分以上」の保険料を納付していることになり、現実的には出産育児一時金は支給されることになるが、この問題は単純に日雇特例被保険者の出産育児一時金の支給要件を聞いたものと考え「誤り」とした。

(C)正解
法145条1項
初めて日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者については、特別療養費の対象となるが、特別療養費の支給期間は、日雇特例被保険者手帳の交付を受けた日の属する月の初日から起算して3月(月の初日に手帳の交付を受けた場合は2月)とされている。
よって、5月2日に日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者についての支給期間は5月1日から起算して3月(7月31日)までとなる。

(参考)
特別療養費の支給対象者
1.初めて日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者
2.保険料納付要件を満たした月に日雇特例被保険者手帳が無余白になり、その後に初めて日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者
3.保険料納付要件を満たした月の翌月中に日雇特例被保険者手帳を返納し、その後に日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者
4.前に交付を受けた日雇特例被保険者手帳(前に2回以上にわたり日雇特例被保険者手帳の交付を受けたことがある場合においては、最後に交付を受けた日雇特例被保険者手帳)が無余白になった日から起算して1年以上を経過した後に日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者
5.前に交付を受けた日雇特例被保険者手帳(前に2回以上にわたり日雇特例被保険者手帳の交付を受けたことがある場合においては、最後に交付を受けた日雇特例被保険者手帳)を返納した日から起算して1年以上を経過した後に日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者

(D)正解
法36条2号、法48条、則29条1項
事業所が廃止された場合は、「その事業所に使用されなくなったとき」に該当し被保険者資格を喪失することになる。
よって、事業主は、健康保険被保険者資格喪失届を5日以内に、社会保険事務所長等又は健康保険組合に提出する必要がある。
また、事業主は、5日以内に適用事業所に該当しなくなった場合の届出を社会保険事務所長等又は健康保険組合にする必要がある。(則20条)

(E)正解
法153条
国庫は、政府管掌健康保険の被保険者(日雇特例被保険者は除く)に係る療養の給付(一部負担金相当分は控除される)、入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、出産手当金、家族療養費、家族訪問看護療養費、高額療養費、家族移送費の支給にようする費用に1000分の164から1000分の200までの範囲内において政令で定める割合(法附則5条により100分の130とされている)を乗じて得た額を補助する。
また、国庫は健康保険の保険者である政府が拠出すべき老人保健法の規定による医療費拠出金及び介護納付金(両方とも日雇特例被保険者に係るものは除く)に100分の164(法附則5条)を乗じて得た額を補助するとされている。
なお、国庫補助の対象となる保険給付には「埋葬料(埋葬に要する費用の支給)、家族埋葬料、出産育児一時金、家族出産育児一時金」は含まれていないので注意すること。
※出題当時は「老人保健拠出金」となっており、老人保健拠出金のうち医療費拠出金か事務費拠出金か曖昧だったために社会保険労務士試験センターでは誤りを「B又はE」としていた。
よって、曖昧な部分を改変し、本問を正解とした。

  

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