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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成16年健保-第2問(傷病手当金)
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■平成16年健保-第2問(傷病手当金)

傷病手当金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)傷病手当金を受けるための待期期間は、労務不能となった日から起算して3日間となっているが、療養後労務に服し、同一の疾病又は傷によりさらに労務不能となった場合は、待期の適用がない。

(B)休業中に家事の副業に従事していたときにケガをしたため、勤務している事業所における労務に従事することができなくなった場合でも、傷病手当金は支給される。

(C)被保険者がその本来の職場における労務に就くことが不可能な場合、傷病手当金の支給があるまでの間、一時的に軽微な他の労務に服することにより、賃金を得るような場合には、労務不能に該当するものとして傷病手当金が支給される。

(D)労働基準法の規定によって伝染病の恐れのある保菌者に対して事業主が休業を命じた場合、その症状から労務不能と認められるか否かにかかわりなく、傷病手当金が支給される。

(E)療養の給付の対象とならない整形手術を自費で受けたことにより、労務に服することができなかった場合には、傷病手当金の支給は行われない。



■解説

(A)正解
法99条1項、昭和2年2月19日保理第700号、昭和2年3月11日保理第1085号、昭和2年6月疑義事項解釈、昭和2年9月5日保理第3222号
ある傷病について待期が完成し、傷病手当金の支給を受け、その後いったん労務に服し、再び同一の傷病について労務不能となった場合の待期の取扱いは、最初に療養のため労務に服することができなくなった場合においてのみ、待期を必要とするとされている。

(B)正解
法99条1項、昭和31年1月19日保文発第340号
労務不能の基準は、必ずしも医学的基準によらず、その被保険者の従事する業務の種別を考え、その本来の業務に堪えうるか否かを標準として社会通念に基づき認定することになっているので、休業中に家事の副業に従事していたときのケガであっても、勤務している事業所における労務に従事することができない場合であれば、労務不能と判断され、傷病手当金は支給される。
なお、傷病手当金が支給されている期間中に引き続き家事の副業に従事していても、当該疾病の状態が勤務している事業所における労務不能の程度のものであれば傷病手当金は支給されることになる。(昭和3年12月27日保理第3176号)

(C)正解
法99条1項、平成15年2月25日保保発第0225007号・庁保険発第4号
労務不能の解釈運用については、被保険者がその本来の職場における労務に就くことが不可能な場合であっても、現に職場転換その他の措置により就労可能な程度の他の比較的軽微な労務に服し、これによって相当額の報酬を得ているような場合は、労務不能には該当しないものであるが、本来の職場における労務に対する代替的性格をもたない副業ないし内職等の労務に従事したり、あるいは傷病手当金の支給があるまでの間、一時的に軽微な他の労務に服することにより、賃金を得るような場合その他これらに準ずる場合には、通常なお労務不能に該当するものであるとされている。

(D)誤り
法99条1項、昭和25年2月15日保文発第320号
旧労働基準法51条(労働安全衛生法68条)により伝染の恐れのある保菌者に対し事業主が休業を命じたがその者の症状からして労務不能と認められない場合の傷病手当金の請求は、健康保険法上労務不能と認められないので支給しないとされている。
よって、「労務不能と認められるか否かにかかわりなく」とある問題文は誤りである。

(E)正解
法99条1項、昭和4年6月29日保理第1704号
療養の給付をなさないこととした疾病等(美容整形手術など)について、被保険者が自費で手術を施し、そのため労務不能となった場合には、これに対し傷病手当金は支給すべきでないとされている。

  

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