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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成16年健保-第4問(保険給付)
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■平成16年健保-第4問(保険給付)

保険給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)被保険者が死亡した場合に、当該被保険者により生計を維持していた者がいないときは、埋葬を行った者に対して、5万円の範囲内で、その埋葬に要した費用が支給される。(一部改正)

(B)手術にともない輸血を受ける場合、保存血については療養の給付として現物給付されるが、輸血の場合の血液料金は療養費として給付される。

(C)被保険者が70歳に達する日の属する月の翌月以後に、自己の選定する保険医療機関から療養の給付を受けるときは、保険医療機関等に高齢受給者証を被保険者証に添えて提出しなければならない。

(D)指定訪問看護ステーションの定める時間以外の時間に指定訪問看護を行った場合、割増料金を徴収することができるが、指定訪問看護事業者の都合により営業時間外の時間になった場合は割増料金を徴収することができない。

(E)高額療養費の多数回該当については、転職により健康保険組合の被保険者であった者が全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者に変わった場合でも、高額療養費の支給回数は通算される。(一部改正)



■解説

(A)正解
法100条2項、令35条
被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、5万円が支給される。
しかし、埋葬料の支給を受けるべき者がいない場合(被保険者の死亡時に、その者により生計を維持していた者がいない場合)は、埋葬料の範囲内で埋葬に要した費用に相当する額が支給されることになっている。

(参考)
生計を維持していたとは?
1.死亡当時その収入により生計を維持した者をいい、死亡者の収入により生計を維持した事実があれば足りる。民法上の親族又は遺族であることを要せず、かつ、被保険者が世帯主であることも、また被保険者により生計を維持する者が被保険者と同一世帯にあったか否かは関係のないことである。(昭和7年4月25日保規第129号)
2.被保険者が生計の全部若しくは大部分を維持した者のみに限らず、生計の一部分を維持した者をも含む。(昭和8年8月7日保発第502号)

(B)正解
昭和14年5月13日社医発第336号
輸血の場合の血液料金については、療養費として支給するが、保存血については現物給付であるとされている。
なお、血液の価格は、地方の事情に相違があるので、各府県の最も妥当と認められる額によるとされている。(昭和25年3月15日保険発第39号)
また、特に血液が得られなくて、移送費(旅費)もしくは運賃を要した場合は、その事由が絶対的なものであれば血液代に含めることもやむを得ないが、保存のために要した氷代等を血液代に含めることはできないとされている。(昭和31年5月22日保険発第81号)

(C)正解
則53条1項
保険医療機関等から療養の給付等を受けようとする者は、被保険者証を(被保険者が70歳に達する日の属する月の翌月以降の場合は、高齢受給者証を添えて)当該保険医療機関等に提出しなければならないとされている。
なお、「70歳に達する日」とは、70歳の誕生日の前日であるため、月の初日に生まれた者以外は70歳の誕生月の翌月から高齢受給者となり、月の初日に生まれた者は70歳の誕生月から高齢受給者となるので注意すること。

(D)正解
指定訪問看護及び指定老人訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準13条、平成12年6月8日保発109号・老発第518号、平成12年12月13日保発第227号
指定訪問看護ステーションが定める時間以外の時間に指定訪問看護を行った場合は、基本利用料のほか、その他の利用料を徴収することができるが、これは利用者が時間外の指定訪問看護を希望した場合に徴収できるものである。
また、指定訪問看護等の提供に当たっては、あらかじめ、利用者又はその家族等に対し、基本利用料、その他の利用料の内容及び額に関して説明を行い、利用者の同意を得る必要がある。
よって、指定訪問看護事業者の都合によって、時間外の指定訪問看護を行った場合については、割増料金を徴収することはできない。

(E)誤り
昭和59年9月29日保険発第74号・庁保険発第18号
転職等により管轄の全国健康保険協会が変わった場合においても、全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者として支給を受けた回数は通算される。
しかし、健康保険組合の被保険者から全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者に変わる等、管掌する保険者が変わった場合には、支給回数は通算されないことになっている。

  

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