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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成16年健保-第8問(保険給付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成16年健保-第8問(保険給付)

保険給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)介護保険における訪問看護ステーションから訪問看護を受けている者の急性増悪等により、特別指示書に係る指定訪問看護を受ける場合の給付は、医療保険から行われる。

(B)生活保護法による医療扶助と健康保険による保険給付が併用される場合は、健康保険による保険給付が優先され、費用のうち健康保険による保険給付が及ばない部分について、医療扶助の対象となる。

(C)いわゆる資格喪失後の継続給付は、平成15年3月31日をもって廃止されたことにともない、すでに発行されている健康保険継続療養証明書による受給期限が平成15年4月1日以降となっている傷病についても同年3月31日をもって資格喪失後の継続給付が受給できなくなった。

(D)人工腎臓を実施している慢性腎不全など厚生労働大臣が定める疾病に係る療養について、当該療養を受けた被保険者又はその被扶養者が同一の月に同一の医療機関等で受けた当該療養に係る一部負担金等の額が12,000円を超える場合は、その額から12,000円を控除した額が、高額療養費として支給される。

(E)予約診療について保険外併用療養費を徴収するに当たって、それぞれの患者を予約時間から1時間以上待たせたり、医師1人につき1日に診療する予約患者が40人を大幅に超えるような場合は、特別の料金の徴収は認められないとされている。(一部改正)



■解説

(A)正解
法88条、平成12年03月31日保険発第55号・老企第56号・老健第80号
介護保険適用病床に入院している要介護者である患者が、急性憎悪等により密度の高い医療行為が必要となった場合については、当該患者を医療保険適用病床に転床させて療養を行うことが原則であるが、患者の状態、当該病院又は診療所の病床の空き状況等により、患者を転床させず、当該介護保険適用病床において緊急に医療行為を行う必要のあることが想定され、このような場合については、当該病床において療養の給付又は医療が行われることは可能であり、この場合の当該緊急に行われた医療に係る給付については、医療保険から行うとされている。

(B)正解
法55条3項、生活保護法4条2項
生活保護法による医療扶助を受けることができる者について、健康保険の給付が行われる場合は、健康保険の給付が優先し、健康保険で給付されない自己負担分に対して、生活保護による医療扶助が行われることになっている。

(C)正解
法98条、平成15年02月25日保発第225001号・庁保発第1号
従来の被保険者の資格喪失後の継続療養が平成15年3月31日をもって廃止されることに伴い、継続療養証明書は廃止された。
また、その実施に当たっては、各保険者において、継続療養証明書を回収するか又は被保険者に対し破棄するよう連絡を行うかのいずれかの措置をとることとされている。

(参考)
継続療養の廃止
法改正前の継続療養制度は、健康保険の被保険者がその資格を喪失することにより、被扶養者や国民健康保険制度の被保険者として低い給付率で医療行為を受けることになるため設けられていたが、法改正により平成15年4月1日から医療保険各法において給付率が統一され、いずれの医療保険制度に加入していても同水準の医療給付を受けることができることとなり、その意義を失われることになったため、廃止された。

(D)誤り
法115条、令41条6項、令42条6項、昭和59年9月28日厚生省告示第156号(改正文平成14年9月5日厚生労働省告示第294号)
人工腎臓を実施している慢性腎不全などの高額長期疾病に係る高額療養費算定基準額は10,000円(70歳未満の上位所得者(標準報酬月額が53万円以上)である被保険者とその被扶養者(70歳未満であり、その者を扶養する被保険者(70歳未満であるか70歳以上であるかは問わない)の標準報酬月額が53万円以上の場合)については20,000円)とされており一部負担金等が10,000円(70歳未満の上位所得者とその被扶養者については20,000円)を超えた場合は、その超過額が高額療養費として支給される。
なお、高額長期疾病に係る高額療養費は現物給付化されているので、実際の医療機関での窓口負担は10,000円(70歳未満の上位所得者とその被扶養者については20,000円)が限度となる。(令43条4項・5項)
よって、「12,000円」とした問題文は誤りとなる。

(参考)
厚生労働大臣が定める高額長期疾病(特定疾病)
1.人工腎臓を実施している慢性腎不全
2.血漿しよう分画製剤を投与している先天性血液凝固第[因子障害又は先天性血液凝固第\因子障害
3.抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群

(E)正解
法86条、平成8年3月8日保険発第22号、平成14年3月18日保医発第0318001号
予約診察による特別の料金の徴収に当たっては、それぞれの患者が予約した時刻に診療を適切に受けられるような体制が確保されていることが必要であり、予約時間から一定時間(30分程度)以上患者を待たせた場合は、予約料の徴収は認められず、予約患者については、予約診察として特別の料金を徴収するのにふさわしい診療時間(10分程度以上)の確保に努めるものとし、医師1人につき1日に診察する予約患者の数は概ね40人を限度とするとされている。

  

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