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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成17年健保-第8問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成17年健保-第8問(法令全般関係)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)74歳の被保険者及びその被扶養者について厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が520万円に満たない場合であっても、標準報酬月額が28万円以上の場合における一部負担金は、療養の給付に要する費用の額の100分の30である。(一部改正)

(B)保険外併用療養費の支給対象となる治験は、患者に対する情報提供を前提として、患者の自由な選択と同意がなされたものに限られる。したがって、治験の内容を患者等に説明することが医療上好ましくないと認められる場合は、保険外併用療養費の支給対象とならない。(一部改正)

(C)交通事故等のやむを得ない理由により保険診療を行わない医療機関で診療を受けた場合の療養費の額は、当該療養に要した費用の額から一部負担金の額を控除した額及び食事療養又生活療養に要する費用から食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額を控除した額で統一されている。(一部改正)

(D)法人の代表者または業務執行者については、法人に使用される者ではないので、法人から報酬を受けている場合であっても、被保険者として扱うことはできない。

(E)育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する育児休業とこれに準じて子が3歳になるまで取得される休業の期間中も被保険者資格は存続するものであり、事業主がその旨を保険者に申し出た場合であっても、この期間内において、事業主はその被保険者の保険料を納付しなければならない。



■解説

(A)誤り
法74条1項、令34条
70歳に達する日の属する月の翌月以後にある者は健康保険の高齢受給者となり、医療機関で療養の給付等を受けた場合の一部負担金等の割合は、100分の20(軽減特例措置により平成23年3月31日までは100分の10)又は100分の30となる。
一部負担金等の割合が100分の30となるのは、療養の給付等を受ける月の標準報酬月額が28万円以上である被保険者(高齢受給者)とその被扶養者(高齢受給者)となる。(よって、標準報酬月額が28万円以上である70歳未満の被保険者に扶養されている高齢受給者の負担割合は100分の20(ただし平成23年3月31日までは、100分の10)となる。)
ただし、70歳以上の被保険者及びその70歳以上の被扶養者について厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が520万円(70歳以上の被扶養者がいない場合は383万円。後期高齢者医療の被保険者等に該当したことにより被扶養者でなくなった者であって、その該当するに至った日の属する月以後5年を経過する月までの間に限り、同日以後継続して後期高齢者医療の被保険者等に該当する被扶養者がいる場合は520万円)に満たない者については、標準報酬月額が28万円以上であっても、一部負担金は100分の20(ただし平成23年3月31日までは、100分の10)となる。
よって、「収入額が520万円に満たない場合であっても、標準報酬月額が28万円以上である場合の一部負担金を100分の30」とした問題文は誤りである。

(B)正解
法86条1項、平成18年3月31日保医発第0313003号
保険外併用療養費の支給対象となる治験は、患者に対する情報提供を前提として、患者の自由な選択と同意がなされたものに限られるとし、したがって、治験の内容を患者等に説明することが医療上好ましくないと認められる等の場合にあっては、保険外併用療養費の支給対象とされないことになっている。

(C)誤り
法87条2項
療養費は、本来なら療養の給付等の支給を行うべきであるが、これをなし得ることが困難である等の理由により、療養の給付に代えて現金給付として支給されるものである。
したがって、実際に療養に要した額のうち、療養の給付等の範囲外とされているものは除いて療養費の額が算定されることになる。
具体的には、健康保険法の規定による「療養に要する費用の額の算定方法」により算定した療養(食事療養及び生活療養を除く)についての費用の額(その算定額が実際に療養に要した費用の額を上回る場合は、実際に療養に要した額)から、一部負担金相当額を控除した額を標準として保険者が定めることになる。
また、入院時の食事療養及び生活療養を受けるべき場合には、「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準」により費用の算定を行い、その額から食事療養標準負担額相当額又は生活療養標準負担額相当額を控除した額を標準として保険者が定めることになる。
よって、「当該療養に要した費用の額から一部負担金の額を控除した額及び食事療養又生活療養に要する費用から食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額を控除した額で統一されている」とした問題文は誤りである。

※ようするに、療養費の額は、実際に受けた療養の範囲及び費用について、療養の給付等の基準に当てはめた金額を算出(実際に支払った費用の方が算出額より少ない場合は実際の費用の額)し、その額から一部負担金相当額を控除した額が支給されることになる。
よって、実際に支払った金額から一部負担金を控除した額が療養費の支給額になるわけではないので注意すること。(海外療養費の場合も同様に算定される)

(D)誤り
昭和24年7月28日保発第74号
会社等法人の理事、監事、取締役、代表社員等のいわゆる代表機関は、民法又は商法の規定においては、法人に使用される者とは解されないが、健康保険法の適用については、法人から労務の対償として報酬を受けている者は、その法人に使用されるものとして被保険者資格を取得することになる。
なお、法人でない社団又は組合の総裁、会長及び組合長等その団体の理事の地位にある者も同様に取扱いとされている。
よって、「法人の代表者等は被保険者として扱うことはできない」とした問題文は誤りである。

(E)誤り
法159条、平成17年3月29日保保発第329001号・庁保険発第329002号
育児休業等をする被保険者については、総合的な次世代育成支援対策を推進する観点から、事業主が保険者に申出をすることにより、子が3歳に達するまでの育児休業等期間中の保険料(調整保険料を含む。)を免除することができることとされている。
よって、「事業主がその旨を保険者に申し出た場合であっても、この期間内において、事業主はその被保険者の保険料を納付しなければならない」とした問題文は誤りである。

  

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