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■平成18年健保-第1問(健康保険の被保険者)

健康保険の被保険者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)日本国籍を有しない者が、法人経営である料理店で働く場合は、被保険者となることができない。

(B)船員保険の被保険者及び疾病任意継続被保険者は、健康保険の被保険者になることができない。

(C)被保険者資格喪失の前日まで継続して2月以上任意包括被保険者であった者が、任意包括脱退により資格を喪失した場合、任意継続被保険者となることができる。

(D)臨時的事業の事業所に4月間使用される予定の者が、業務の都合により4月を超えて使用されることとなった場合、4月を超えた日から被保険者となることができる。

(E)特別支給の老齢厚生年金の受給権者である被保険者が、定年による退職後引き続き再雇用された場合、使用関係はいったん中断したものとして被保険者資格を喪失させることができる。



■解説

(A)誤り
法3条1項、法3条3項2号、平成4年3月31日保険発第38号・庁文発第1244号
適法に就労する外国人に対しては、短時間就労者も含めて日本人と同様の取扱いをするものであることから、適用事業所(法人の事業所であって、常時従業員を使用するものは適用事業所となる)と実態的かつ常用的な使用関係のある被用者については、被保険者資格を取得することになる。
よって、「被保険者となることができない」とした問題文は誤りである。

(B)誤り
法3条1項1号
船員保険の被保険者にいては適用除外となっているために健康保険の被保険者になることができないが、船員保険の疾病任意継続被保険者は、適用事業所に使用される者となった場合、健康保険の被保険者資格を取得することになる。(この場合、疾病任意継続被保険者の資格は喪失することになる。)
よって、「疾病任意継続被保険者は、健康保険の被保険者になることができない」とした問題文は誤りである。

(C)誤り
法3条4項、昭和3年8月17日保理第2059号
任意継続被保険者の資格を取得することができるのは、適用事業所に使用されなくなったため、又は適用除外に該当するに至ったため、被保険者(日雇特例被保険者を除く。)の資格を喪失した者に限られるため、任意適用事業所の取消により被保険者資格を喪失した者は任意継続被保険者となることができない。
これは、任意適用事業所の取消は、任意適用事業所の事業主が、被保険者の4分の3以上の同意を得たうえで、厚生労働大臣の認可を受けすべての被保険者を喪失されるものであり、加入者側の自由意思によって制度から任意に脱退できる点で強制保険の原則に対する例外となるもので、このように任意脱退したものに再び任意加入(任意継続被保険者)を認めることは不合理であるという見地からの取扱いとなっている。
よって、「任意包括脱退により資格を喪失した場合、任意継続被保険者となることができる」とした問題文は誤りである。

(D)誤り
法3条1項5号
臨時的事業の事業所に使用される者は、当初より継続して6月を超えて使用されるべき場合を除いて、適用除外となっている。(当初6月未満使用されるべき予定であったが、業務等の都合により継続して6月以上使用されることとなった場合でも被保険者にならない。)
よって、問題文の場合は被保険者になることができないので、誤りとなる。
なお、臨時的事業の事業所に使用される者で被保険者となるべき者(当初より継続して6月を超えて使用される者)の資格取得届は、6月以上使用された後になすべきものではなく、使用され、資格を取得した時に行うべきものであるとされている。

(E)正解
平成8年4月8日保文発第269号・庁文発第1431号
健康保険法においては、一定の事業所に使用される者が事業主との間に事実上の使用関係が消滅したと認められる場合にその被保険者の資格を喪失するものと解されている。
したがって、同一の事業所において雇用契約上一旦退職した者が一日の空白もなく引き続き再雇用された場合は、退職金の支払いの有無又は身分関係若しくは職務内容の変更の有無にかかわらず、その者の事実上の使用関係は中断することなく存続しているものであるから、被保険者の資格も継続するものである。
ただし、特別支給の老齢厚生年金の受給権者である被保険者であって、停年による退職後継続して再雇用される者については、使用関係が一旦中断したものとみなし、事業主から被保険者資格喪失届及び被保険者資格取得届を提出させる取扱いとして差し支えないこと。
なお、この場合においては、被保険者資格取得届に停年による退職であることを明らかにする書類(就業規則の写し、退職辞令の写し、事業主の証明等)を添付させることとされている。
よって、問題文は正解である。

  

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