社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成19年健保-第4問(患者の負担)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成19年健保-第4問(患者の負担)

患者の負担に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)72歳で標準報酬月額が20万円である被保険者が評価療養を受け、その費用が保険診療の部分10万円、保険外診療の部分5万円であるとき、被保険者の支払額は6万円となる。

(B)70歳未満の被保険者が訪問看護を受けたとき、厚生労働大臣が定める基準により算定した指定訪問看護の費用から訪問看護療養費支給額を差し引いた額と、当該被保険者の選定に基づいて提供された指定訪問看護等に要する平均的な時間を越える指定訪問看護等及び指定訪問看護ステーションが定める営業日以外の日又は営業時間以外の時間における指定訪問看護等の利用料がある場合はその費用とを負担しなければならない。

(C)標準報酬月額が53万円の70歳未満である被保険者が、同一の月に同一の医療機関で人工透析治療を受け、それに係る自己負担金が1万円を超えた場合、超えた額が高額療養費として支給される。

(D)入院時食事療養費の給付に係る標準負担額は1食につき260円が原則であるが、市区町村民税が非課税とされている被保険者は申請により減額が認められており、その減額後の額は70歳未満の場合、減額申請を行った月以前12か月以内の入院日数が90日以下のときは210円、90日を超えるときは160円である。

(E)70歳未満で標準報酬月額が53万円未満の被保険者又はその被扶養者が、同一の月にそれぞれ1つの保険医療機関から受けた療養に係る一部負担金等のうち、21,000円以上のものを世帯で合算した額が、80,100円+{(医療費−267,000円)×1%}を超えたときは、その超過額が高額療養費として支給される(高額療養の多数該当の場合を除く。)。


■解説

(A)正解
法74条1項、法86条2項、令34条1項、平成24年2月8日保発208第1号
70歳以上で療養を受ける月の標準報酬月額が28万千円未満の場合の一部負担金の割合は2割(平成25年3月31日までは1割)となる。
よって、問題文の被保険者の場合は1割負担となり、保険外併用療養費の保険診療部分10万円の1割である1万円と保険外診療分(自費部分)5万円の計6万円が支払い額となる。

(B)正解
法88条4項、平成12年6月8日保発第109号
指定訪問看護及び指定老人訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準13条、平成12年6月8日保発109号・老発第518号、平成12年12月13日保発第227号
訪問看護事業者が受ける利用料は、基本利用料とその他の利用料に区分されており、基本利用料は、指定訪問看護に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した費用の額より、訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額である。(一部負担金に相当する額)
また、その他の利用料としては、指定訪問看護の利用者の選定にかかる訪問看護ステーションが定める営業時間以外の時間における指定訪問看護等その他の厚生労働大臣が定める指定訪問看護等(指定訪問看護に要する平均的な時間を超える指定訪問看護、指定訪問看護ステーションが定める営業日以外の日又は営業時間以外の時間における指定訪問看護)や指定訪問看護等の提供にかかる交通費、おむつ代等に要する費用があり、利用者が希望した場合は、基本利用料のほか、その他の利用料を負担する必要がある。
よって、問題文は正解となる。
なお、利用料については指定訪問看護を提供する前に、あらかじめ、利用者又はその家族等に対し、基本利用料、その他の利用料の内容及び額に関して説明を行い、利用者の同意を得る必要がある。

(C)誤り
法115条2項、令42条1項・6項、平成14年9月5日厚労省告示第294号、平成18年9月8日厚労省告示第489号
療養のあった月の標準報酬月額が530千円以上である70歳未満の被保険者は上位所得者となり、人工透析治療を受けた場合の高額療養費算定基準額は20,000円となる。
よって、「自己負担金が1万円を超えた場合、超えた額が高額療養費として支給される」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法85条1項、平成19年3月27日厚労省告示第59号
食事療養標準負担額は1食につき260円が原則であるが、市町村民税非課税者等は申請による減免の対象となっており、減免申請を行った月以前12ヶ月以内の入院日数が90日以下の場合は1食210円、減免申請を行った月以前12ヶ月以内の入院日数が90日を超える場合は1食160円とされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、市区町村民税非課税者等で減免申請を行った月以前12ヶ月以内の入院日数が90日を超え、被保険者及びすべての被扶養者の所得が一定の基準額に満たない高齢受給者については1食100円とされている。

(E)正解
法115条2項、令41条1項、令42条1項
70歳未満の被保険者及び70歳未満の被扶養者が、同一月にそれぞれ一の医療機関等から受けた療養に係る一部負担金等のうち、その額が21,000円以上であるものを合算した額が高額療養費算定基準額を超えた場合、その超過額が高額療養費として支給されることとされている。
高額療養費算定基準額は、上位所得者(療養のあった月の標準負担額が530千円以上の被保険者及びその被扶養者)の場合150,000円+{(医療費−500,000円)×1%}、一般の場合80,100円+{(医療費−267,000円)×1%}、低所得者(市区町村民税非課税者)35,400円となっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、高額療養費の多数該当の場合(療養を受けた月以前12ヶ月間に既に3回以上高額療養費の対象となっている場合)の高額療養費算定基準額は、上位所得者83,400円、一般44,400円、低所得者24,600円となる。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(健康保険法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved