社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成20年健保-第2問(健康保険の保険給付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成20年健保-第2問(健康保険の保険給付)

健康保険法に関する以下の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)自らの所得区分についてあらかじめ保険者の認定を受けた70歳未満の被保険者が、同一の月に同一の保険医療機関で入院療養を受け、その一部負担金等の額が著しく高額である場合であっても、高額療養費の現物給付が行われることはない。

(B)配偶者である被保険者から暴力を受けた被扶養者である被害者が、当該被保険者から暴力の被害を受けている旨の証明書を添付して被扶養者から外れたい旨の申出を保険者に行った場合、保険者は、被保険者自身から被扶養者を外す旨の届出がなされなくても、当該被害者を被扶養者から外すことができる。

(C)法律によって組織された共済組合の組合員は、共済組合の組合員資格を有したまま健康保険の被保険者となることはない。

(D)保険者は、被保険者が震災、風水害、火災等により、住宅、家財等が著しい損害を受け、その生活が困難となった場合において必要があると認めるときは、当該被保険者の申請により、6か月以上1年未満の期間を限って、一部負担金等の徴収を猶予することができる。

(E)高額介護合算療養費が支給されるためには、健康保険から高額療養費、介護保険から高額介護サービス費又は高額介護予防サービス費が、いずれも支給されており、かつ、それぞれの自己負担額から高額療養費、高額介護サービス費又は高額介護予防サービス費を控除した額の合計額が、自己負担限度額を超えていることが必要である。



■解説

(A)誤り
法115条、令43条1項
保険医療機関での窓口負担を軽減するため、70歳未満の被保険者及び被扶養者についても事前に保険者の認定を受けることにより、同一の月に同一の保険医療機関で入院療養等を受けた場合においては、所得区分に応じ、窓口での一部負担金等の支払いを高額療養費の自己負担限度額までとする高額療養費の現物給付が行われている。
よって、「高額療養費の現物給付が行われることはない。」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
平成16年12月2日保保発1202002号・庁保険発1202001号
健康保険において、被扶養者を外す手続きについては、被保険者からの申出に基づいて行われているところであるが、配偶者である被保険者からの暴力を受けた被扶養者が、当該被保険者の被扶養者から外れるに当たっては、被保険者から被扶養者を外す旨の申出は期待できないため、被保険者自身から被扶養者を外す旨の届出がなされなくとも、被扶養者から配偶者からの暴力の被害を受けている旨の証明書を添付して被扶養者から外れたい旨の申告がなされた場合には、被扶養者から外すことができる。
よって、問題文は正解となる。
なお、当該証明書等において、当該被害者に同伴している者についても同様の証明が行われている場合においては、当該同伴者についても被扶養者から外すことができる。

(C)誤り
法3条1項、法200条、昭和23年7月12日保発1号
共済組合の組合員は、健康保険法の被保険者であり、かつ、共済組合の組合員としての資格も取得することとなるため、給付の競合が生じないように、健康保険の保険給付は行われないこととされている。(当然、保険料徴収も行われない。)
なお、共済組合の組合員に対しては、法律上当然に、同共済組合に対して、実質上の事業代行を認めるものであるから、これらの被保険者の資格に関しては、健康保険の保険者に対する何等の手続を要しないものとされている。
よって、「健康保険の被保険者となることはない。」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法75条の2、則56条の2、平成18年9月14日保保発0914001号
保険者は、被保険者が震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、住宅、家財又はその他の財産について著しい損害を受けたことにより、その生活が困難となった場合において必要と認めるときは、当該被保険者の申請により、6か月以内の期間を限って、一部負担金等の徴収を猶予することができるとされている。
よって、「6か月以上1年未満の期間」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法115条の2第1項
一部負担金等の額(高額療養費が支給される場合には当該支給額を控除して得た額)、介護保険法の介護サービス利用者負担額又は介護予防サービス利用者負担額(高額介護サービス費又は高額介護予防サービス費が支給される場合には当該支給額を控除して得た額)の合計額が自己負担限度額を超える場合、当該一部負担金等の額に係る療養の給付等の支給を受けた者に対し、高額介護合算療養費が支給されることになっている。
よって、「健康保険から高額療養費、介護保険から高額介護サービス費又は高額介護予防サービス費が、いずれも支給」されていることは高額介護合算療養費の支給要件とはなっておらず、問題文は誤りとなる。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(健康保険法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved