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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成21年健保-第5問(健康保険の保険給付)
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■平成21年健保-第5問(健康保険の保険給付)

保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)介護保険適用病床に入院している要介護被保険者である患者が、急性増悪により密度の高い医療行為が必要となったが、患者の状態等により患者を医療保険適用病床に転床させず、当該介護保険適用病床において緊急に医療行為が行われた場合は、介護保険から給付される部分に相当する療養を除いて、その給付は医療保険から行う。

(B)被保険者の被扶養者である子で被保険者と世帯を異にしている者が、指定訪問看護事業者から訪問看護を受けたときは、被扶養者に対し、その指定訪問看護に要した費用について、家族訪問看護療養費を支給する。

(C)患者が緊急受診の必要がなく自己の都合により保険医療機関の標榜診療時間帯以外に受診した場合であっても、社会通念上時間外とされない時間帯(例えば平日の午後4時)の場合には、選定療養として認められる時間外診療には該当しない。

(D)被保険者が死産児を出産した場合、出産育児一時金及び家族埋葬料が支給される。

(E)高額療養費の支給は、償還払いを原則としており、被保険者からの請求に基づいて行われるものであることから、被保険者がそれを請求する場合には、法令上、高額療養費支給申請書に必ず領収書を添付することが義務づけられている。



■解説

(A)正解
法55条2項、平成12年3月31日保険発55号・老企56号・老健80号
介護保険適用病床に入院している要介護者である患者が、急性憎悪等により密度の高い医療行為が必要となった場合については、当該患者を医療保険適用病床に転床させて療養を行うことが原則であるが、患者の状態、当該病院又は診療所の病床の空き状況等により、患者を転床させず、当該介護保険適用病床において緊急に医療行為を行う必要のあることが想定され、このような場合については、当該病床において療養の給付又は医療が行われることは可能であり、この場合の当該緊急に行われた医療に係る給付については、医療保険から行うものであることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法111条1項
被保険者の被扶養者が指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときは、被保険者に対し、その指定訪問看護に要した費用について、家族訪問看護療養費が支給されることになっている。
よって、「被扶養者に対し」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法86条、平成18年3月13日保医発0313003号
社会通念上時間外とされない時間帯(例えば平日の午後4時)であっても、当該保険医療機関の標榜診療時間帯以外であれば、診療報酬上の時間外加算とは異なり、保険外併用療養費制度に基づく時間外診察に係る費用徴収は認められることになっている。
よって、「選定療養として認められる時間外診療には該当しない」とした問題文は誤りとなる。
なお、選定療養の一である時間外診察は、国民の生活時間帯の多様化や時間外診察に係るニーズの動向を踏まえて創設されたものであり、したがって、保険外併用療養費制度の対象となるのは、緊急の受診の必要性はないが患者が自己の都合により時間外診察を希望した場合に限られ、緊急やむを得ない事情による時間外の受診については従前通り診療報酬点数表上の時間外加算の対象となり、患者からの費用徴収は認められないとされている。

(D)誤り
方101条、法113条、昭和27年6月16日保文発2427号、昭和23年保文発898号
健康保険による出産育児一時金等は、母体を保護する目的のために、分娩の事実に基づいて支給されるので、妊娠4か月以上(85日以後)の分娩については、生産、死産、流産(人工流産を含む。)又は早産を問わずすべて出産育児一時金等が支給される。
しかしながら、死産時は被扶養者に該当しないので家族埋葬料は支給されないことになっている。
よって、「家族埋葬料が支給される」とした問題文は誤りとなる。
なお、分娩後2、3時間経過した生産児死亡のときは、家族埋葬料が支給される。このような場合、戸籍上は氏名を記載しないときが多いが、事実を立証できるときには、戸籍上の氏名の有無をとわず支給されることになっている。(昭和22年7月3日保発797号)

(E)誤り
法115条、昭和48年10月17日保発39号・庁保発20号
高額療養費の支給は、償還払いを原則としており、被保険者からの請求に基づき高額療養費を支給することとされている。この場合において、保険者は、原則的には診療報酬請求明細書に基づいて高額療養費を支給するものであり、法令上は、請求書に証拠書類を添付することは、特に義務づけられていない。
よって、「高額療養費支給申請書に必ず領収書を添付することが義務づけられている」とした問題文は誤りとなる。

  

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