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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成21年健保-第7問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成21年健保-第7問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)被保険者の配偶者で届出はしていないが、事実上の婚姻関係と同様の事情にある者の子であって、同一世帯に属していないが、被保険者により生計を維持している者は被扶養者として認められる。

(B)労働安全衛生法の規定によって伝染の恐れがある保菌者に対し事業主が休業を命じた場合、その症状から労務不能と認められないときは、傷病手当金が支給されない。

(C)移送費として支給される額は、最も経済的な通常の経路及び方法で移送されたときの費用について保険者が算定した額を基礎として、被保険者が実際に支払った額が、保険者が算定した額から3割の一部負担を差し引いた額よりも低い場合には全額が移送費として支払われ、実際に支払った額が算定額から一部負担を差し引いた額を超える場合には、その超過分は被保険者の自己負担となる。

(D)全国健康保険協会の管掌する健康保険の被保険者又はその被扶養者が、65歳に達することにより、介護保険第2号被保険者に該当しなくなったときは、被保険者は遅滞なくその旨を事業主を経由して厚生労働大臣(被保険者が任意継続被保険者であるときは保険者)に届け出なければならない。(一部改正)

(E)65歳以上70歳未満の者が療養病床に入院し評価療養を受けた場合は、療養(食事療養及び生活療養を除く。)に要した費用の3割と特別料金の合計額を自己負担額として医療機関に支払う。



■解説

(A)誤り
法3条7項
被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するものは被扶養者として認められる。
よって、事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの子は、被保険者と同一世帯に属していることが要件となっているため「同一世帯に属していない」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
法99条、昭和25年2月15日保文発320号
労働安全衛生法第68条により伝染の恐れある保菌者に対し事業主が休業を命じたがその者の症状からして労務不能と認められぬ場合の傷病手当金の請求は、法上労務不能と認められぬので支給しない。
よって、問題文は正解となる。
なお、病原体保有者に対する法第1条の適用に関しては、原則として病原体の撲滅に関し特に療養の必要があると認められる場合は、自覚症状の有無にかかわらず伝染病の病原体を保有することをもって保険事故たる疾病と解するものであり、従って病原体保有者が隔離収容等のため労務に服することができないときは、傷病手当金の支給対象になる。(昭和29年10月25日保険発第261号)

(C)誤り
法97条、則80条
移送費の支給額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定した金額とされている。(ただし、現に移送に要した費用の金額を超えることができない。)
よって、移送費の支給額について一部負担金を控除して算定するとした問題文は誤りとなる。
※移送費は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定した金額が全額支給されることになっており、もし実際に支払った金額が算定された金額より多い場合に、その超過分を自己負担することになる。

(参考)
移送費の算定方法(平成6年9月9日保険発第119号・庁保険発第9号)

1.経路については、必要な医療を行える最寄りの医療機関まで、その傷病の状態に応じ最も経済的な経路で算定すること
2.運賃については、その傷病の状態に応じ最も経済的な交通機関の運賃で算定すること
3.医師、看護師等の付添人については、医学的管理が必要であったと医師が判断する場合に限り、原則として1人までの交通費を算定すること
4.天災その他やむを得ない事情により、上記のような取扱が困難である場合には、現に要した費用を限度として例外的な取扱も認められること

(D)誤り
則40条
被保険者は、被保険者又はその被扶養者が介護保険第二号被保険者に該当しなくなったとき(国内に住所を有しなくなった場合や適用除外施設に入所した場合)は、遅滞なく、所定の事項を記載した届書を事業主を経由して厚生労働大臣又は健康保険組合(被保険者が任意継続被保険者であるときは保険者)に届け出なければならないことになっている。しかしながら、被保険者が65歳に達することにより介護保険第ニ号被保険者に該当しなくなった場合は、「介護保険適用除外等該当・非該当届」を提出する必要がない。
よって、問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法63条2項、法74条1項、法85条の2、法86条2項
65歳以上70歳未満の者が療養病床に入院し、評価療養を受けた場合は、入院時生活療養費の対象となるため、療養(食事療養及び生活療養を除く)に要した費用の3割と特別料金と生活療養標準負担額の合計額を自己負担する必要がある。
よって、生活療養標準負担額に関する記述がない問題文は誤りとなる。

  

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