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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成24年健保-第6問(療養の給付等)
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■平成24年健保-第6問(療養の給付等)

療養の給付等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等から評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について、保険外併用療養費が支給される。この場合、被保険者に支給すべき保険外併用療養費は、その病院若しくは診療所又は薬局に対して支払うものとする。(一部改正)

(B)被保険者が療養の給付若しくは入院時食事療養費、入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給に代えて療養費の支給を受けることを希望した場合、保険者は療養の給付等に代えて療養費を支給しなくてはならない。

(C)被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養を含む。)を受けるため、病院又は診療所に移送されたときは、保険者が必要であると認める場合に限り、移送費が支給される。この金額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定した金額となるが、現に移送に要した費用の金額を超えることができない。

(D)被保険者は、療養費の支給を受けようとするときは、申請書を保険者に提出しなければならない。この申請書には、療養に要した費用の額を証する書類を添付しなければならない。この書類が英語で作成されている場合には、省令の規定により、その書類に日本語の翻訳文を添付する。

(E)被保険者は、療養の給付に係る事由又は入院時食事療養費、入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給に係る事由が、第三者の行為によって生じたものであるときは、@届出に係る事実、A第三者の氏名及び住所又は居所(氏名又は住所若しくは居所が明らかでないときは、その旨)、B被害の状況、以上を記載した届書を遅滞なく保険者に提出しなければならない。



■解説

(A)正解
法86条、則63条
被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち自己の選定するものから、評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について、保険外併用療養費が支給される。
保険外併用療養費は、「療養費」という名称はとっているものの、実際の支給にあたっては現物給付方式となっており、評価療養又は選定療養を行った保険医療機関等に対して保険者が直接、保険外併用療養費を支払い、そのときに被保険者に対して保険外併用療養費の支給があったものとみなすことにより行われることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法87条1項
健康保険においては、疾病又は負傷に対して、療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費の支給(療養の給付等)を行うことが原則である。しかし、療養の給付等を行うことができない場合もあり、そのため、現金給付としての療養費支給の方法を認めている。したがって、療養費の支給は療養の給付等の補完的役割を果たすものであり、被保険者に現物給付と現金給付との選択の自由を与えたものではない。保険者が療養の給付等を行うべきであるが、これを行うことが困難であると認めたとき、または、保険医療機関等以外の病院、診療所、薬局その他の者から診察、薬剤の支給もしくは手当を受け、しかも保険者がやむを得ないと認めたときに限り支給されるものである。
よって、「保険者は療養の給付等に代えて療養費を支給しなくてはならない。」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
法97条、則80条、平成6年9月9日保険発第119号・庁保険発第9号
被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養を含む。)を受けるため、病院又は診療所に移送されたときは、保険者が必要であると認める場合に限り、移送費が支給される。
移送費の額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定した金額(ただし、現に移送に要した費用の金額を超えることができない。)とされている。
具体的には次のとおり取扱われている。
1.経路については、必要な医療を行える最寄りの医療機関まで、その傷病の状態に応じ最も経済的な経路で算定すること。
2.運賃については、その傷病の状態に応じ最も経済的な交通機関の運賃で算定すること。
3.医師、看護師等の付添人については、医学的管理が必要であったと医師が判断する場合に限り、原則として1人までの交通費を算定すること。
4.天災その他やむを得ない事情により、上記のような取扱が困難である場合には、現に要した費用を限度として例外的な取扱も認められること。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法87条1項、則66条
療養費の支給を受けようとするときは、被保険者は、所定の事項を記載した申請書を保険者に提出しなければならないことになっているが、申請書には、療養に要した費用の額を証する書類を添付しなければならない。
また、療養に要した費用の額を証する書類が外国語で作成されたものであるときは、その書類に日本語の翻訳文を添付しなければならないことになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、海外療養について療養費の支給を受けようとするときは、療養費申請書に次に掲げる書類を添付しなければならないことになっている。
(1)旅券、航空券その他の海外に渡航した事実が確認できる書類の写し
(2)保険者が海外療養の内容について当該海外療養を担当した者に照会することに関する当該海外療養を受けた者の同意書

(参考)
海外療養費の申請手続について(昭和56年2月25日保険発第10号・庁保険発第2号)

1.療養費支給申請書等に添付する証拠書類が外国語で記載されている場合は、日本語の翻訳文を添付すること。
2.療養費支給申請書等の証拠書類に添付する翻訳文には翻訳者の氏名及び住所を記載させること。
3.海外における療養費の支給申請書に添付させる証拠書類の様式は、別添6「診療内容明細書」及び同6「領収明細書」を参考にすること。
4.現に海外にある被保険者からの療養費等の支給申請は、原則として、事業主等を経由して行なわせ、その受領は事業主等が代理して行なうものとし、国外への送金は行なわないこと。なお、療養費等の受領が事業主又は事業主の代理人に委任された場合は、当該療養費等の授受の状況を明らかにしておくよう指導すること。
5.現に海外にある被保険者の療養費等の支給に係る照会は、事業主等を経由して行なうこと。
6.海外における療養費等の支給額の算定に用いる邦貨換算率は、その支給決定日の外国為替換算率(売りレート)を用いること。

(E)正解
法57条、則65条
療養の給付に係る事由又は入院時食事療養費、入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給に係る事由が第三者の行為によって生じたものであるときは、被保険者は、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した届書を保険者に提出しなければならない。
(1)届出に係る事実
(2)第三者の氏名及び住所又は居所(氏名又は住所若しくは居所が明らかでないときは、その旨)
(3)被害の状況
よって、問題文は正解となる。

  

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