社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成24年健保-第9問(健康保険の保険給付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成24年健保-第9問(健康保険の保険給付)

健康保険の保険給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)療養上必要のあるコルセットは、療養の給付として支給すべき治療材料の範囲に属するため、法第87条に基づく療養費により支給することとされている。

(B)事業主が被保険者資格取得届の届出を怠った場合においては、その間に保険医療機関で受診しても被保険者の身分を証明し得ない状態であるので、療養費の対象となる。

(C)一定の要件を満たした者が、被保険者の資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けている場合、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者から傷病手当金を受給することができるが、退職日まで有給扱いで全額賃金が支給されていても、資格喪失後の傷病手当金は受給することができる。

(D)出産育児一時金の金額は40万4千円であるが、公益財団法人日本医療機能評価機構が運営する産科医療補償制度に加入する医療機関等において出産したことが認められた場合の出産育児一時金は、在胎週数第22週以降の出産の場合、1万6千円が加算され42万円である。(一部改正)

(E)被保険者資格が喪失日(任意継続被保険者の資格を取得した者にあっては、その資格を取得した日)の前日までの間引き続き1年以上であった者が、被保険者の資格喪失後6か月以内に出産したときは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者から出産手当金を受けることができる。



■解説

(A)正解
法87条、昭和17年3月26日社発第322号
療養上必要あるコルセットは、療養の給付として支給すべき治療材料の範囲に属し、法87条により支給することとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法87条、昭和3年4月30日保理発第1089号
被保険者が保険医について診療を受けた当時、事業主が資格取得届を懈怠していたため、当該被保険者は保険医に対し被保険者たる身分を証明し得ない状態にあったことは、法第87条の療養の給付をなすこと困難と認めたときに該当するため療養費の支給対象となる。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法104条、昭和27年6月12日保文発第3367号
傷病手当金又は出産手当金の継続給付の支給要件である資格喪失の際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているもの(現に給付を受けているものだけでなく受給権者も含む)であることとは、現にこれ等の保険給付を受けている者は勿論その受給権者であって、法第108条(傷病手当金又は出産手当金と報酬等との調整)の規定により一時給付の停止をされている者も含む。
なぜなら、法第108条において傷病手当金又は出産手当金を支給しないと規定しているのは、被保険者の給付受給権の消滅を意味するのではなく、その停止を意味するにすぎないから、その者が資格を喪失し、事業主より報酬を受けられなくなれば、法第104条により当然にその日より傷病手当金又は出産手当金は支給すべきものと思料されるためである。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法101条、令36条、平成26年11月27日保保発1127第2号
出産育児一時金等の支給額は40万4千円であるが、公益財団法人日本医療機能評価機構が運営する産科医療補償制度に加入する医療機関等において出産したことが認められた場合の出産育児一時金等の加算額は、健保令第36条において「3万円を超えない範囲内で保険者が定める金額」とされているが、機構の運営する産科医療補償制度における掛金(在胎週数第22週以降の出産(死産を含む。)の場合に発生)の額は、平成27年1月1日以降の出産については1万6千円となることから、1万6千円を基準とすることとされており、平成27年1月1日以降の出産に係る出産育児一時金等については、在胎週数第22週以降の出産の場合、健保令第36条に規定する40万4千円と合わせ42万円を支給することとなる。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法104条、法106条
被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者が被保険者の資格を喪失した日後6月以内に出産したときは、被保険者として受けることができるはずであった出産育児一時金の支給を最後の保険者から受けることができるが、出産手当金を受け取ることはできない。
よって、問題文は誤りとなる。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(健康保険法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved