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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成25年健保-第1問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成25年健保-第1問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)標準報酬月額の定時決定等における支払基礎日数の取扱いとして、月給者で欠勤日数分に応じ給与が差し引かれる場合にあっては、就業規則、給与規程等に基づき、事業所が定めた日数から当該欠勤日数を控除した日数を支払基礎日数とする。

(B)任意継続被保険者の資格取得の申出は、被保険者の資格を喪失した日から20日以内にしなければならないが、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても受理することができる。なお、判例によると「法律の不知」によるという主張は、この場合の正当な理由にあたらないものと解されている。

(C)現物で支給される食事や住宅は、厚生労働大臣が都道府県ごとに告示で定めた現物給与の価額に基づいて報酬に算入する(健康保険組合が規約で別段の定めをした場合を除く。)。なお、現物給与の価額の適用に当たっては、被保険者の勤務地(被保険者が常時勤務する場所)が所在する都道府県の現物給与の価額を適用することを原則とし、派遣労働者については、派遣元と派遣先の事業所が所在する都道府県が異なる場合、派遣先事業所が所在する都道府県の現物給与の価額を適用する。

(D)適用事業所に使用されるに至った日とは、事実上の使用関係の発生した日であり、事業所調査の際に資格取得届のもれが発見された場合は、すべて事実の日にさかのぼって資格取得させるべきものである。

(E)引き続き1年以上の被保険者期間(任意継続被保険者期間、特例退職被保険者期間又は共済組合の組合員である期間を除く。)を有し、資格喪失後6か月以内に出産した者が、健康保険の被扶養者になっている場合、請求者の選択により被保険者本人としての出産育児一時金、又は被扶養者としての家族出産育児一時金のいずれかを受給することとなる。



■解説

(A)正解
法41条1項、平成18年5月12日庁保険発512001号
標準報酬月額の定時決定等における支払基礎日数の算定に当たっては、次によることとされている。
(1)月給者については、各月の暦日数によること。
(2)月給者で欠勤日数分に応じ給与が差し引かれる場合にあっては、就業規則、給与規程等に基づき事業所が定めた日数から当該欠勤日数を控除した日数によること。
(3)日給者については、各月の出勤日数によること。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法37条1項、昭和24年8月11日保文発第1400号、健康保険任意継続被保険者資格取得の承認に対する審査棄却決定取消請求事件(昭和36年2月24日最高裁判決)
任意継続被保険者の資格取得の申出は、被保険者の資格を喪失した日から20日以内にしなければならないが、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても、受理することができる。
この「正当な理由」とは、天災地変の場合とか、交通通信関係のスト等によって法定期間内に届出ができなかった場合が考えられる。そして、最高裁判所の判例においては、「単なる法の不知だけでは正当の事由がある場合に当らない。」とされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
法46条1項、平成25年2月4日保保発0204第1号
報酬、賞与又は賃金が金銭又は通貨以外のもので支払われる場合の価額は、その地方の時価により、厚生労働大臣が定めることとされているが、その現物給与の価額の適用に係る取扱いは、次のとおりとされている。
(1)現物給与の価額の適用に当たっては、被保険者の勤務地(被保険者が常時勤務する場所)が所在する都道府県の現物給与の価額を適用することを原則とすること。
(2)派遣労働者については、派遣元事業所において社会保険の適用を受けるが、派遣元と派遣先の事業所が所在する都道府県が異なる場合は、派遣元事業所が所在する都道府県の現物給与の価額を適用すること。
(3)在籍出向、在宅勤務等により適用事業所以外の場所で常時勤務する者については、適用事業所と常時勤務する場所が所在する都道府県が異なる場合は、その者の勤務地ではなく、その者が使用される事業所が所在する都道府県の現物給与の価額を適用すること。
(4)トラックの運転手や船員等の常時勤務する場所の特定が困難な者については、その者が使用される事業所が所在する都道府県(船員については当該船員が乗り組む船舶の船舶所有者の住所が属する都道府県)の現物給与の価額を適用すること。
なお、この取扱いについては、平成25年4月1日から適用することとされ、健康保険組合においては、規約により別段の定めを行っている場合があることに留意することとされている。
よって、問題文の記述は誤りとなる。

(D)正解
法35条、昭和3年7月3日保発第480号、昭和5年11月6日保規第522号
適用事業所に使用されるに至った日とは、事実上の使用関係の発生した日とされており、事業場調査をした場合に、資格取得届洩が発見された場合は、すべて事実の日に遡って資格取得させることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法104条、昭和48年11月保険発第99号・庁保険発第21号)
被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く)であり、被保険者の資格を喪失した日後6月以内に出産した場合には、資格喪失後の給付として出産育児一時金が支給される。一方、その被保険者であった者が健康保険の被扶養者になっている場合は、同時に家族出産育児一時金を受給することができる。
この場合の取扱いは、被保険者本人としての出産育児一時金を受給するか、被扶養者としての家族出産育児一時金を受給するかは請求者の選択にまかせることとされており、同じ出産に対して資格喪失後の出産育児一時金と家族出産育児一時金を併給することはできない。
よって、問題文は正解となる。

  

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