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■平成25年健保-第8問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)被保険者が道路交通法規違反によって処罰されるべき行為中に起した事故により死亡した場合、健康保険法第116条に定める給付制限事由に該当するものとして、埋葬料は支給されない。

(B)保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合に保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(当該給付事由が被保険者の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。)が第三者に対して有する損害賠償請求権を取得するが、その損害賠償請求権は当然に移転するものであり、第三者に対する通知又はその承諾を要件とするものではない。

(C)事業主が、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、日雇特例被保険者の標準賃金日額に係る保険料の納付を怠ったときは、厚生労働大臣が決定した保険料額が1,000円未満であるときを除き、厚生労働大臣は保険料額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。)の100分の25に相当する額の追徴金を徴収する。

(D)保険医療機関又は保険薬局は、1か月以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。

(E)故意の犯罪行為により生じた事故について、給付制限がなされるためには、その行為の遂行中に事故が発生したという関係があるのみでは不十分であり、その行為が保険事故発生の主たる原因であるという相当な因果関係が両者の間にあることが必要である。



■解説

(A)誤り
法116条、昭和36年7月5日保険発第63号
被保険者又は被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、行わないこととされているが、道路交通法規違反等処罰せられるべき行為中起こした事故により死亡した場合においては、自殺の場合にならい、埋葬料を支給して差し支えないこととされている。
よって、「給付制限事由に該当するものとして、埋葬料は支給されない。」とした問題文は誤りとなる。

(参考)
自殺は、故意に基づく事故だが、死亡は最終的一回限りの絶対的な事故であるとともに、この死亡に対する保険給付としての埋葬料は、被保険者であった者に生計を依存していた者で埋葬を行う者に対して支給されるという性質のものであるから、法第116条に該当しないものとして取り扱う。(昭和26年3月19日保文発第721号)

(B)正解
法57条、昭和31年11月7日保文発第9218号
健康保険において保険者が第三者の行為によって生じた事故について保険給付をしたときに、その給付の価額の限度において被保険者が第三者に対して有する損害賠償請求の権利を取得するのは健康保険法第57条の規定に基く法上当然の取得であって、取得の効力は、法律に基き、第三者に対し直接何らの手続を経ることなくして及ぶもので、保険者が保険給付をしたときはその給付の価額の限度において当該損害賠償請求権は当然に移転するものであり、一般の債権譲渡のように、第三者に対する通知又はその承諾を要件とするものではないとされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法170条
事業主が、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、日雇特例被保険者の標準賃金日額に係る保険料の納付を怠ったときは、厚生労働大臣は、決定された保険料額(1,000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。 )の100分の25に相当する額の追徴金を徴収することとされている。ただし、決定された保険料額が1000円未満であるときは、追徴金は徴収されない。
よって、問題文は正解となる。
なお、追徴金は、その決定された日から14日以内に納付する必要がある。

(D)正解
法79条1項
保険医療機関又は保険薬局は、1月以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。
よって、問題文は正解となる。
なお、保険医又は保険薬剤師は、1月以上の予告期間を設けて、その登録の抹消を求めることができることになっている。

(E)正解
法116条、昭和35年4月27日保文発第3030号
故意の犯罪行為により生じた事故について本条を適用し給付制限を行うためには、その行為の遂行中に事故が発生したという関係があるのみでは不十分であって、その行為が保険事故発生の主たる原因であると考えるべきであるという、いわゆる相当な因果関係が両者の間にあることが必要であるとされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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