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■平成27年健保-第5問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)強制適用事業所が、健康保険法第3条第3項各号に定める強制適用事業所の要件に該当しなくなったとき、被保険者の2分の1以上が希望した場合には、事業主は厚生労働大臣に任意適用事業所の認可を申請しなければならない。

(B)学生が卒業後の4月1日に就職する予定である適用事業所において、在学中の同年3月1日から職業実習をし、事実上の就職と解される場合であっても、在学中であれば被保険者の資格を取得しない。

(C)健康保険法施行規則においては、保険者は3年ごとに一定の期日を定め、被扶養者に係る確認をすることができることを規定している。

(D)被保険者が解雇され(労働法規又は労働協約に違反することが明らかな場合を除く。)、事業主から資格喪失届が提出された場合、労使双方の意見が対立し、当該解雇について裁判が提起されたときにおいても、裁判において解雇無効が確定するまでの間は、被保険者の資格を喪失したものとして取り扱われる。

(E)任意継続被保険者が、保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日までに納付しなかったときは、納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めた場合を除き、督促状により指定する期限の翌日にその資格を喪失する。



■解説

(A)誤り
法32条
適用事業所が、強制適用事業所の要件に該当しなくなったときは、その事業所について任意適用事業所の認可があったものとみなされることになっているおり、特に手続き等は必要ない。
よって、問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法3条1項、昭和16年12月22日社発第1580号
在学のまま職業実習するものが卒業後の就職予定先である適用事業所において職業実習をする場合は、事実上の就職と解されれば被保険者として扱うことになっている。
よって、「在学中であれば被保険者の資格を取得しない。」とした問題文は誤りとなる。
なお、技能養成という名目でも、事業所と技能養成工との関係が技能の養成のみを目的とするものでなく、稼動日数、労務報酬からみて実体的に使用関係が認められる場合は被保険者となる。(昭和26年11月2日保文第4602号)

(C)誤り
則50条1項
保険者は、毎年一定の期日を定め、被保険者証の検認若しくは更新又は被扶養者に係る確認をすることができることになっている。
よって、「3年ごとに一定の期日を定め」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
昭和25年10月9日保発第68号
解雇行為が労働法規又は労働協約に違反することが明らかな場合を除いて、事業主より被保険者資格喪失届の提出があった場合は、例え裁判等で係争中であっても、一応は資格喪失したものとしてこれを受理し、被保険者証の回収等の所定の手続きを行うこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(参考)
解雇無効について係争中の者の被保険者資格(昭和25年10月9日保発第68号)

(1)解雇行為が労働法規又は労働協約に違反することが明らかな場合を除いて、事業主より被保険者資格喪失届の提出があった場合は、例え裁判等で係争中であっても、一応は資格喪失したものとしてこれを受理し、被保険者証の回収等の所定の手続きを行う。

(2)その後、労働委員会又は裁判所が解雇無効の判定をなし、かつ、その効力が発生したときは、当該判定に従い遡及して資格喪失の処理を取消し、被保険者証を事業主に返付する。

(3)解雇無効の効力が発生するまでの間、資格喪失の取扱いのため自費で診療を受けていた者に対しては、療養の給付を行うことが困難であったものとして、その診察に要した費用は療養費として支給し、その他の現金給付についても遡って支給するとともに保険料も徴収する。

(4)仮処分申請等の暫定的な決定が本裁判において無効となり、解雇が遡って成立した場合には、すでに行なわれた保険給付は被保険者から返還させることとし、また徴収済保険料は事業主からの還付請求に基づいて還付手続きを行う。

(5)厚生年金保険における取扱いについても、上記に準じて適切な措置をとること。

(E)誤り
法38条
任意継続被保険者が、保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日までに納付しなかったときは、納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときを除いて、納付期日の翌日に資格喪失する。
よって、「督促状により指定する期限の翌日」とした問題文は誤りとなる。
なお、任意継続被保険者の資格得喪については、事業主と関係がないので、事業主との関係において争いが生ずるのを防止しようとする確認の制度(法39条)は適用されない。そのため、任意継続被保険者の資格喪失(法38条)に列挙された要件に該当すれば、確認を要することなく資格喪失することになり、期日までに保険料の納付がない場合であっても督促状は送付されない。

  

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