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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成27年健保-第6問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)出産育児一時金の額は、公益財団法人日本医療機能評価機構が運営する産科医療補償制度に加入する医療機関等の医学的管理下における在胎週数22週に達した日以後の出産(死産を含む。)であると保険者が認めたときには42万円、それ以外のときには40万4千円である。

(B)保険薬局から薬剤の支給を受けようとする40歳の被保険者が、保険医療機関において保険医が交付した処方せんを当該保険薬局に提出した場合であっても、当該保険薬局から被保険者証の提出を求められたときは、被保険者証もあわせて提出しなければならない。

(C)保険医療機関は、食事療養に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、入院時食事療養費に係る療養について被保険者から支払を受けた費用の額のうち食事療養標準負担額とその他の費用の額とを区分して記載した領収証を交付しなければならない。

(D)被保険者が無医村において、医師の診療を受けることが困難で、応急措置として緊急に売薬を服用した場合、保険者がやむを得ないものと認めるときは、療養費の支給を受けることができる。

(E)70歳未満の被保険者が保険医療機関において、治療用補装具の装着を指示され、補装具業者から治療用補装具を購入し、療養費の支給を受けた場合には、高額療養費の算定上、同一の月の当該保険医療機関の通院に係る一部負担金と治療用補装具の自己負担分(21,000円未満)とを合算することができる。



■解説

(A)正解
令36条、平成26年11月27日保保発1127第2号
公益財団法人日本医療機能評価機構が運営する産科医療補償制度に加入する病院等において出産したことが認められた場合の出産育児一時金等への加算額は、健保令第36条において「3万円を超えない範囲内で保険者が定める金額」とされているが、機構の運営する産科医療補償制度における掛金(在胎週数第22週以降の出産(死産を含む。)の場合に発生)の額は、平成27年1月1日以降の出産については1万6千円となることから、1万6千円を基準とすることとし、平成27年1月1日以降の出産に係る出産育児一時金等については、在胎週数第22週以降の出産の場合、健保令第36条に規定する40万4千円と合わせ42万円を支給することとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
則54条
保険薬局等から薬剤の支給を受けようとする者は、保険医療機関等において、診療に従事する保険医又は医師若しくは歯科医師が交付した処方せんを当該保険薬局等に提出しなければならないことになっている。
そして、当該保険薬局等から被保険者証の提出を求められたときは、当該処方せん及び被保険者証(70歳以上の場合は高齢受給者証も添えて)提出しなければならないことになっている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
則62条
保険医療機関等が交付しなければならない領収証には、入院時食事療養費に係る療養について被保険者から支払を受けた費用の額のうち食事療養標準負担額とその他の費用の額とを区分して記載しなければならないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法87条、昭和13年8月20日社庶第1629号
無医村で諸般の状況上、療養の給付をなすことが困難と認められるときは、支給して差し支えない。緊急の場合で売薬を服用したときは、療養の給付をなすこと困難と認められれば支給して差し支えない。
この緊急の場合とは、例えば、無医村或は医師がいても相当の距離があっても交通の利便も思うに委せぬときで疾病の状況如何によって数日通院不可能の場合、又は、医師の往診を得るまでに同様数日を要するときで応急処置として売薬を服用した場合である。
よって、問題文は正解となる。

(参考)
1.郡部等の地域において、その地方に保険医がいない場合又は保険医がいても、その者が傷病のために、診療に従事することができない場合等には、勿論療養費の支給は認められるが、単に保険診療が不評の理由によって保険診療を回避した場合には、療養費の支給は認められない。(昭和24年6月6日保文発第1017号)

2.緊急疾病で他に適当な保険医がいるにかかわらず、好んで保険医以外の医師について診療又は手当を受けたときは、療養費は支給しない。(昭和24年6月6日保文発第1017号)

3.療養途中で、主治医が保険医の指定を受けたが被保険者が知らなかったとき、最初に療養を受けるとき法第87条の規定に該当する理由があるか否かによって療養費の支給、不支給を決定する。(昭和24年6月6日保文発第1017号)

(E)誤り
昭和48年11月7日保険発第99号・庁保険発第21号
治療用補装具にかかる高額療養費は、同一医療機関における、それぞれの費用のみをもって支給対象となるか否かを判断するものであり、当該医療機関におけるレセプトと合算して、支給額を決定するものではない。
よって、「合算することができる。」とした問題文は誤りとなる。
なお、月の途中で療養費払(現金)と家族療養費に分割されるようなケースの場合の高額療養費は、現物給付にかかるものについてはレセプト1件、現金給付にかかるものについては、これに準じて支給を行なう取扱いであるところから、月の途中で療養費払(現金)から家族療養費に変更されたような場合は、それぞれについて高額療養費の支給対象になるか否かを判断する取扱いとなることとされている。

  

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