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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成27年健保-第8問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成27年健保-第8問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)被保険者が同時に2事業所に使用される場合において、それぞれの適用事業所における保険者が異なる場合は、選択する保険者に対して保険者を選択する届出を提出しなければならないが、当該2事業所の保険者がいずれも全国健康保険協会であれば、日本年金機構の業務が2つの年金事務所に分掌されていても届出は必要ない。

(B)年収250万円の被保険者と同居している母(58歳であり障害者ではない。)は、年額100万円の遺族厚生年金を受給しながらパート労働しているが健康保険の被保険者にはなっていない。このとき、母のパート労働による給与の年間収入額が120万円であった場合、母は当該被保険者の被扶養者になることができる。

(C)月、週その他一定期間によって報酬が定められている被保険者に係る資格取得時の標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した日現在の報酬の額をその期間における所定労働日数で除して得た額の30倍に相当する額を報酬月額として決定される。

(D)資格を取得する際に厚生労働大臣から被保険者資格証明書の交付を受けた被保険者に対して被保険者証が交付されたときは、当該資格証明書はその被保険者に係る適用事業所の事業主が回収し、破棄しなければならない。

(E)標準報酬月額の定時決定に際し、当年の4月、5月、6月の3か月間に受けた報酬の額に基づいて算出した標準報酬月額と、前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の額に基づいて算出した標準報酬月額の間に2等級以上の差が生じ、この差が業務の性質上例年発生することが見込まれるため保険者算定に該当する場合の手続きはその被保険者が保険者算定の要件に該当すると考えられる理由を記載した申立書にその申立に関する被保険者の同意書を添付して提出する必要がある。



■解説

(A)誤り
則1条
被保険者が、同時に2以上の事業所に使用される場合において、保険者が2以上あるときは、その被保険者の保険を管掌する保険者を選択し、選択する保険者に保険者選択届を提出する必要がある。
そして、2事業所の保険者がいずれも全国健康保険協会であっても、日本年金機構の業務が2つの年金事務所に分掌されているときも保険者選択届の提出が必要とされている。
よって、「届出は必要ない。」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法3条7項、平成5年3月5日保発第15号・庁保発第4号
認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合は、認定対象者の年間収入が130万円(認定対象者が60歳以上の者である場合又は概ね厚生年金保険法の障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては180万円。)未満であって、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は、原則として被扶養者に該当するものとされている。
問題文の事例の場合は、母親の収入は遺族厚生年金100万円とパート収入120万円の合計220万円であり収入基準を超えるため生計維持要件を満たすことができず被扶養者に該当しない。
よって、問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法42条1項
保険者等は、被保険者の資格を取得した者があるときは、次の額を報酬月額として、標準報酬月額を決定することになっている。
(1)月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額
(2)日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前1月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額
(3)上記(1)、(2)によって算定することが困難であるものについては、被保険者の資格を取得した月前1月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額
(4)上記(1)、(2)、(3)のうち2以上に該当する報酬を受ける場合には、それぞれについて、上記(1)、(2)、(3)によって算定した額の合算額
よって、「所定労働日数で除して得た額」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
則50条の2
被保険者資格証明書の交付を受けた被保険者は、被保険者証の交付、返付若しくは再交付を受けたとき、又は被保険者資格証明書が有効期限に至ったときは、直ちに、被保険者資格証明書を事業主を経由して厚生労働大臣に返納しなければならないことになっている。
よって、「適用事業所の事業主が回収し、破棄しなければならない。」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法44条、平成23年3月31日保保発0331第6号・年管管発0331第14号
当年の4月、5月及び6月の3か月間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額と、前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額(報酬の支払の基礎日数となった日数が17日未満である月があるときは、その月は除く。)から算出した標準報酬月額の間に2等級以上の差を生じた場合であって、この差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合について、保険者算定の対象となるが、この保険者算定の申立手続について次のとおりとされている。
(1)年間平均による保険者算定を申し立てるに当たっては、事業主は日本年金機構(事業所が健康保険組合の設立事業所である場合には当該健康保険組合。以下「保険者等」という。)に対して、その被保険者が保険者算定の要件に該当すると考えられる理由を記載した申立書を提出すること。
(2)上記(1)の申立書には、保険者算定を申し立てることに関する被保険者の同意書を添付させること。
(3)上記(1)の申立を行うに当たっては、保険者算定の要件に該当するものであることを保険者等が確認できるよう、事業主は前年7月から当年6月の被保険者の報酬額等を記載した書類を提出すること。
(4)上記(1)の申立を行う事業主は、その被保険者の報酬月額算定基礎届の備考欄に、その旨を附記して提出すること。
よって、問題文は正解となる。

  

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