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■平成28年健保-第5問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)保険医又は保険薬剤師の登録及び登録取消に係る厚生労働大臣の権限は、地方厚生局長又は地方厚生支局長に委任されている。

(B)適用事業所の事業主が納期限が5月31日である保険料を滞納し、指定期限を6月20日とする督促を受けたが、実際に保険料を完納したのが7月31日である場合は、原則として6月1日から7月30日までの日数によって計算された延滞金が徴収されることになる。

(C)健康保険法では、保険給付を受ける権利は2年を経過したときは時効によって消滅することが規定されている。この場合、消滅時効の起算日は、療養費は療養に要した費用を支払った日の翌日、高額療養費は診療月の末日(ただし、診療費の自己負担分を診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った日の翌日)、高額介護合算療養費は計算期間(前年8月1日から7月31日までの期間)の末日の翌日である。

(D)被保険者が副業として行う請負業務中に負傷した場合等、労働者災害補償保険の給付を受けることのできない業務上の傷病等については、原則として健康保険の給付が行われる。

(E)被保険者が産前産後休業をする期間について、基本給は休業前と同様に支給するが、通勤の実績がないことにより、通勤手当が支給されない場合、その事業所の通勤手当の制度自体が廃止されたわけではないことから、賃金体系の変更にはあたらず、標準報酬月額の随時改定の対象とはならない。



■解説

(A)正解
法205条、則159条1項
保険医療機関又は保険薬局の指定、保険医又は保険薬剤師の登録、保険医療機関又は保険薬局のみなし指定の適用除外、保険医療機関又は保険薬局の指定の取消し、保険医又は保険薬剤師の登録の取消しに係る厚生労働大臣の権限は、地方厚生局長又は地方厚生支局長に委任されている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法181条
督促状に指定した期限までに保険料を納付しないときは、納期限の翌日から徴収金完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数によって計算された延滞金を徴収されることになる。
よって、問題文は正解となる。
なお、滞納につきやむを得ない事情があると認められる場合等は、延滞金は徴収されないことになっている。

(C)誤り
法193条1項、昭和31年9月17日保険発第170号、昭和48年11月7日保険発第99号・庁保険発第21号、平成21年4月30日保保発430001号
保険給付を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅することとされている。
療養費の消滅時効は、請求権が発生し、かつ、これを行使し得るに至った日の翌日から起算されることになっているため、療養に要した費用を支払った日の翌日が起算日となる。
高額療養費の請求権の消滅時効の起算日については、診療日の翌月の1日であり、傷病が月の途中で治癒した場合においても同様である。ただし、診療費の自己負担分を、診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った日の翌日が起算日となる。
高額介護合算療養費の請求権の消滅時効については、基準日(基準日とみなされる日を含む。)の翌日を起算日とすることとされているが、死亡以外の理由で精算対象者となった者に係る高額介護合算療養費については、計算期間の終了をもって精算対象者となることが確定し、請求書の受付が開始されるものであることから、請求権の消滅時効についても計算期間の末日の翌日から起算することになっている。
よって、「高額療養費は診療月の末日」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法1条、健康保険法の第1条(目的規定)等の改正に関するQ&Aについて(平成25年8月14日事務連絡)
被保険者が副業として行う請負業務中に負傷した場合や、被扶養者が請負業務やインターンシップ中に負傷した場合など、労災保険の給付が受けられない場合には、原則として健康保険の給付が受けられることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集の一部改正について(平成28年12月14日事務連絡)
産前産後休業期間について、基本給等は休業前と同様に支給するが、通勤手当については支給しないこととしている場合、通勤の実績がないことにより不支給となっている場合には、手当自体が廃止された訳ではないことから、賃金体系の変更にはあたらず、随時改定の対象とはならないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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