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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成29年健保-第3問(健康保険給付)
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■平成29年健保-第3問(健康保険給付)

給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)傷病手当金の額の算定において、原則として、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額(被保険者が現に属する保険者等により定められたものに限る。)の平均額を用いるが、その12か月間において、被保険者が現に属する保険者が管掌する健康保険の任意継続被保険者である期間が含まれるときは、当該任意継続被保険者である期間の標準報酬月額も当該平均額の算定に用いることとしている。

(B)被保険者が死亡したとき、被保険者の高額療養費の請求に関する権利は、被保険者の相続人が有するが、診療日の属する月の翌月の1日から2年を経過したときは、時効により消滅する。なお、診療費の自己負担分は、診療日の属する月に支払済みのものとする。

(C)健康保険組合は、規約で定めるところにより、被保険者が保険医療機関又は保険薬局に支払った一部負担金の一部を付加給付として被保険者に払い戻すことができる。

(D)被保険者の標準報酬月額が260,000円で被保険者及びその被扶養者がともに72歳の場合、同一の月に、被保険者がA病院で受けた外来療養による一部負担金が20,000円、被扶養者がB病院で受けた外来療養による一部負担金が 10,000円であるとき、被保険者及び被扶養者の外来療養に係る高額療養費は18,000円となる。

(E)保険医療機関又は保険薬局の指定は、病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により、厚生労働大臣が行い、指定の日から起算して6年を経過したときは、その効力を失う。



■解説

(A)正解
法99条2項、則84条の2
傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12か月以内の期間において被保険者が現に属する保険者が管掌する健康保険の任意継続被保険者である期間が含まれるときは、当該期間の標準報酬月額を含むものとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法193条1項、昭和2年2月18日保理第719号、昭和48年11月7日保険発第99号・庁保険発第21号
保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅することになっている。
高額療養費の消滅時効の起算日は、診療日の翌月の1日であり、傷病が月の途中で治癒した場合においても同様である。ただし、診療費の自己負担分を、診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った日の翌日が起算日となる。
また、被保険者死亡後に於て其被保険者が請求権を有する傷病手当金又は療養の給付に代えて支給せられる療養費等(分娩費、出産手当金も同じ)は公法上の債権になるも金銭債権であり其の相続権者が当然請求権を有する。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法53条、健康保険組合事業運営指針
保険者が健康保険組合である場合においては、法定給付に併せて、規約で定めるところにより、保険給付としてその他の給付を行うことができることになっている。一部負担還元金及び付加給付については、コスト意識の喚起、受診する者としない者との負担の均衡、他の医療保険制度との均衡等の点に留意し、組合の財政状況を十分勘案した上で、一定の範囲に留めることを基本として実施することとされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
令41条5項、令42条5項
平成30年8月診療以後の70歳以上の一般所得者(現役並み所得者及び低所得者以外の者)に係る高額療養費算定基準額(個人単位・外来療養)は、18,000円とされている。
問題文の事例の場合は、標準報酬月額が260,000円であるため、一般所得者区分になり、個人ごとの高額療養費算定基準額は18,000円となる。被扶養者の自己負担額は10,000円であるため高額療養費に該当せず、被保険者の自己負担額は20,000円であるため2,000円(20,000円−18,000円)が高額療養費として支給される。
よって、「高額療養費は18,000円」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法65条1項、法68条1項
保険医療機関又は保険薬局の指定は、病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により厚生労働大臣が行うこととされている。保険医療機関又は保険薬局の指定は、指定の日から起算して6年を経過したときはその効力を失うこととされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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