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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成29年健保-第10問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成29年健保-第10問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)被保険者が、故意に給付事由を生じさせたときは、その給付事由に係る保険給付は行われないこととされているが、自殺未遂による傷病について、その傷病の発生が精神疾患等に起因するものと認められる場合は、故意に給付事由を生じさせたことに当たらず、保険給付の対象となる。

(B)任意継続被保険者の標準報酬月額は、原則として当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額、又は前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額のいずれか少ない額とされるが、その保険者が健康保険組合の場合、当該平均した額の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額又は当該規約で定めた額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額のいずれか少ない額とすることができる。

(C)前月から引き続き被保険者であり、7月10日に賞与を30万円支給された者が、その支給後である同月25日に退職し、同月26日に被保険者資格を喪失した。この場合、事業主は当該賞与に係る保険料を納付する義務はない。

(D)標準報酬月額の定時決定について、賃金計算の締切日が末日であって、その月の25日に賃金が支払われる適用事業所において、6月1日に被保険者資格を取得した者については6月25日に支給される賃金を報酬月額として定時決定が行われるが、 7月1日に被保険者資格を取得した者については、その年に限り定時決定が行われない。

(E)全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者が、報酬の一部を現物給与として受け取っている場合において、当該現物給与の標準価額が厚生労働大臣告示により改正されたときは、標準報酬月額の随時改定を行う要件である固定的賃金の変動に該当するものとして取り扱われる。



■解説

(A)正解
法116条、平成22年5月21日保保発0521第1号
健康保険法では、故意に給付事由を生じさせた場合は、その給付事由についての保険給付等は行わないこととされているが、自殺未遂による傷病について、その傷病の発生が精神疾患等に起因するものと認められる場合は、「故意」に給付事由を生じさせたことに当たらず、保険給付等の対象とされる。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法47条
任意継続被保険者の標準報酬月額については、次に掲げる額のうちいずれか少ない額をもって、その者の標準報酬月額とすることになっている。
1.当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額
2.前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額(健康保険組合が当該平均した額の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額)を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法156条3項
前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合においては、その月分の保険料は、算定しないこととされている。問題文の事例の場合は、賞与支給日が7月10日で資格喪失日が、7月26日であるため当該賞与は保険料の対象とならない。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法41条3項
6月1日から7月1日までの間に被保険者の資格を取得した者及び随時改定、育児休業終了時改定、産前産後休業終了時改定により7月から9月までのいずれかの月から標準報酬月額を改定され、又は改定されるべき被保険者については、その年に限り定時決定の対象にはならない。
よって、「6月1日に被保険者資格を取得した者については6月25日に支給される賃金を報酬月額として定時決定が行われる」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
平成29年7月10日事務連絡(標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集)
厚生労働大臣の告示改正による現物給与単価の変更は、固定的賃金の変動に該当することから、随時改定の対象となるものとされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、現物給与の価額に関して規約で別段の定めをしている健康保険組合が管掌する被保険者については、当該規約の定めによる価額の変更がなければ、随時改定の対象にはならない。

  

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