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トップページ過去問研究室(国民年金法) 平成18年国年-第10問(障害基礎年金)
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■平成18年国年-第10問(障害基礎年金)

障害基礎年金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)保険料納付等の要件を満たしているが、障害認定日において障害の程度が2級以上に該当しなかった者が、65歳に達する日の前日までに障害の程度が悪化し、2級以上の状態に該当したときは、請求することによって、いわゆる事後重症による障害基礎年金が支給される。

(B)既に障害の状態にある者が、新たに発生した傷病(「基準傷病」という)に係る障害認定日から65歳に達する日の前日までの間に、基準傷病による障害と基準傷病の初診日以前に初診のある他の障害とを併合して、初めて障害の程度が2級以上に該当した場合には、基準傷病の初診日の前日において保険料納付等の要件を満たしていることを条件として、障害基礎年金が支給される。

(C)傷病の初診日において20歳未満であった者が、20歳に達した日又はその後の障害認定日において、障害の程度が2級以上に該当するときは、受給権者及び扶養義務者の所得が政令で定める額以下であることを条件として、障害基礎年金が支給される。

(D)厚生労働大臣は、障害基礎年金の受給権者について障害の程度を診査し、従前の等級に該当しないと認められるときは、年金額を改定することができる。(一部改正)

(E)障害基礎年金は、受給権者が2級以上の状態に該当しない程度の障害の状態に軽快したときは、その間、支給が停止される。



■解説

(A)正解
法30条の2第1項
障害認定日における障害の状態が障害等級に該当しなかったため障害基礎年金を受けることができなかった場合であっても、その後、障害の状態が重くなり、65歳に達する日の前日までの間に、障害等級に該当することになった場合には、請求することにより事後重症の障害基礎年金が支給されることになっている。
よって、問題文は正解である。

(B)正解
法30条の3
単独の障害では、障害等級に該当しない複数の障害を併合して初めて障害等級2級以上の障害に該当した場合には、基準傷病による障害基礎年金が支給されることになっている。
この場合に、障害を併合して初めて2級以上の障害に該当することとなったそのきっかけとなる傷病を基準傷病とし、この基準傷病に係る障害(基準障害)の障害認定日をもって基準傷病による障害基礎年金の障害認定日とすることとされており、保険料の納付要件等はこの基準障害についてその用件を問うことになっている。
よって、問題文は正解である。

(C)誤り
法30条の4、法36条の3
20歳前の傷病による障害に基づく障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において20歳未満であった者が、障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日において、障害認定日が20歳に達した日後であるときはその障害認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときは、その者に支給されることになっている。
しかし、この20歳前の傷病による障害に基づく障害基礎年金の受給権者の前年の所得が、その者の所得税法に規定する控除対象配偶者及び扶養親族の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の8月から翌年の8月まで、政令で定めるところにより、その全部又は2分の1に相当する部分の支給が停止されることになっている。
よって、「受給権者及び扶養義務者の所得」(支給停止の判断基準となる前年の所得は受給権者の所得のみで判断する)とした問題文は誤りである。
なお、この20歳前の傷病による障害に基づく障害基礎年金の本人の所得制限については、受給権者である本人が全く保険料の拠出をしていないか、ほとんど拠出していないにもかかわらず支給されるものであり、その支給に要する費用は広く国民が負担している租税ないし、他の加入者の保険料に賄われているものであることを鑑みて、相当程度の所得のある者には全部又は一部の支給停止を行うという趣旨である。

(D)正解
法34条1項
厚生労働大臣は、障害基礎年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、障害基礎年金の額を改定することができることになっている。
よって、問題文は正解である。
なお、障害基礎年金の受給権者は、厚生労働大臣に対し、障害の程度が増進したことによる障害基礎年金の額の改定を請求することも可能である。(法34条2項)

(E)正解
法36条2項
障害基礎年金は、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは、その障害の状態に該当しない間、支給停止されることになっている。
よって、問題文は正解である。
なお、障害基礎年金の受給権は、厚生年金保険法に規定する障害等級(障害等級3級)に該当しなくなっても65歳までの間は支給停止され、65歳に達したとき(障害等級に該当しなくなった時から65歳に達する日までの間が3年未満である場合には、該当しなくなった時から3年を経過したとき)に消滅することとされている。(法35条)

  

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