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トップページ過去問研究室(国民年金法) 平成21年国年-第6問(国民年金の給付等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成21年国年-第6問(国民年金の給付等)

国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)66歳に達した日後に他の年金給付の受給権者となった者が、他の年金給付を支給すべき事由が生じた日以後は、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることはできない。

(B)遺族基礎年金(旧国民年金法による母子福祉年金又は準母子福祉年金の裁定替えされた遺族基礎年金を除く。)の受給権を有したことがある者は、脱退一時金の支給要件を満たした場合でも、当該脱退一時金の支給を請求することはできない。

(C)昭和61年4月1日において、障害福祉年金からいわゆる裁定替された障害基礎年金、旧国民年金法による障害年金、旧厚生年金保険法による障害年金、その他の障害を支給事由とする年金たる給付であって政令で定めるもの(以下「障害年金等」という。)を受ける権利を有し、かつ、当該障害年金等を受ける権利を有するに至った日(一部の障害年金は、政令で定める日)から昭和61年3月31日までの期間に旧国民年金法に規定する保険料納付済期間を有する者(一部の者は除く。)は、特別一時金の支給を請求することができる。

(D)第1号被保険者は、保険料滞納により老齢基礎年金の受給資格を得ることができなくなった場合には、いつでも、任意脱退の承認の申請をすることができる。

(E)日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって、被用者年金各法に基づく老齢給付等を受けることができるものが、任意加入しなかった期間(合算対象期間)は、任意脱退の規定の適用については、被保険者期間とみなされない。



■解説

(A)誤り
法28条2項
老齢基礎年金の受給権が発生してから1年経過後に、老齢・退職以外の他の保険事故が発生し、その後に繰下げを申し出た場合は、老齢・退職以外の他の保険事故が発生したところまでの繰下げを認めることとしている。老齢・退職以外の他の保険事故が発生した時点を申出とみなすことにより、老齢基礎年金の受給権が発生してから、他の保険事故が発生した時点までの月数に応じて繰下加算を行うこととされている。
よって、「老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることはできない」とした問題文は誤りとなる。
なお、支給繰下げの申出を行った者に対する老齢基礎年金の支給は、当該申出のあった月の翌月分からとされており、他の保険事故が発生した時点を申出時点とみなした場合、このときまで遡及して年金の支給が行われてしまうこととなるため、実際の支給開始に関しては、他の保険事故が発生した時点を申出時点とみなすことはしない。(その結果、本来の申出があった月の翌月から支給が開始されることになる。)

(B)誤り
法附則9条の3の2第1項、令14条の3
脱退一時金の支給要件は、@請求のときに日本国籍を有していないこと、A国民年金の第1号被保険者としての被保険者期間が6か月以上であること、B老齢基礎年金等の保険料納付要件を満たしていないこと、C脱退一時金を請求したこととされている。
しかし、次のいずれかに該当する場合は、脱退一時金の請求ができないことになっている。
(1)日本国内に住所を有する場合
(2)本人の納付した保険料が(※)障害基礎年金等の給付の受給権に結びついたことがある場合
(3)最後に国民年金の被保険者を喪失した日から2年を超えた場合
(4)外国との年金通算協定の締結等により国民年金法による老齢給付に相当する給付を受けられるようになった場合等
よって、本問の場合は脱退一時金の請求ができるため、「当該脱退一時金の支給を請求することはできない」とした問題文は誤りとなる。

(※)障害基礎年金等の給付(国民年金法施行令14条の3)
(1)旧陸軍共済組合等の組合員であった期間を有する者に対する老齢年金
(2)旧国民年金法による母子福祉年金又は準母子福祉年金の裁定替えされた遺族基礎年金
(3)旧法による障害年金、母子年金、準母子年金及び老齢福祉年金(老齢特別給付金を含む。)

(C)正解
法附則94条(昭和60年5月1日法律第34号)
昭和61年4月1日において、旧厚生年金保険法等の障害年金等を受ける権利を有し、かつ、当該障害年金等を受ける権利を有するに至った日(一部の障害年金は、政令で定める日)から昭和61年3月31日までの期間に旧国民年金法に規定する保険料納付済期間を有する者(一部の者は除く。)は、特別一時金の支給を請求することができることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(参考)
特別一時金の制度趣旨

昭和61年3月31日までの旧国民年金法では、厚生年金保険の障害年金受給権者は国民年金の適用除外とされており、本人が希望すれば任意加入できることとされていた。この者が任意加入していた場合は、国民年金及び厚生年金保険とでは制度が異なるために厚生年金保険の障害年金と国民年金の老齢年金が併給されることとなっていたが、昭和61年4月1日の国民年金法改正においては、制度間を含めて一人一年金の原則が適用されることとなったため、厚生年金保険の障害年金と国民年金の老齢基礎年金のいずれか一方を選択することとなった。このような事例について、今後も従来どおり併給することとすれば、基礎年金を重複して支給するのと同様の結果が生ずることとなるため、併給はしないが、このような加入の事情の特殊性に鑑みて特別一時金を支給することとされた。

(D)誤り
法10条1項
国民年金に加入したときの年齢が高く、老齢基礎年金の受給資格期間を満たせない場合には、厚生労働大臣の承認を受けて脱退(任意脱退)することが認められているが、保険料の滞納により老齢基礎年金の受給資格を得ることができないといった理由により任意脱退することは認められていない。
よって、問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法附則7条、法附則8条5項(昭和60年5月1日法律第34号)
任意脱退の規定の適用については、任意脱退を認めるがどうかを問う際に、任意加入の対象であった期間であって任意加入しなかった期間のうち、20歳以上60歳未満の期間を合算対象期間として被保険者期間とみなすこととされている。
よって、「任意脱退の規定の適用については、被保険者期間とみなされない」とした問題文は誤りとなる。

  

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