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■平成21年国年-第8問(遺族基礎年金又は寡婦年金)

遺族基礎年金又は寡婦年金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)死亡した被保険者によって生計を維持していた妻であっても、遺族の範囲に属する子を有しないときは、遺族基礎年金を受けることができない。ただし、当該妻が障害等級1級又は2級の障害の状態に該当する場合は、遺族基礎年金の受給権を取得できる。

(B)寡婦年金の受給権は、受給権者が繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得したとき、又は60歳台前半の老齢厚生年金の受給権を取得したときは、消滅する。

(C)第2号被保険者であった夫が死亡したため遺族基礎年金の受給権者となった妻は、当該遺族基礎年金の受給権が消滅するまでの間は、第1号被保険者とはならない。

(D)繰上げ支給の老齢基礎年金の額は、本来の老齢基礎年金の額に減額率を乗じて得た額を当該老齢基礎年金の額から減額した額となるが、減額率は1000分の5(昭和16年4月1日以前に生まれた者を除く。)に当該年金の支給の繰上げを請求した日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率である。(一部修正)

(E)寡婦年金の額は、死亡した夫の老齢基礎年金額の計算の例によって計算した額の4分の3に相当する額であるが、当該夫が付加保険料納付済期間を3年以上有していた場合には、当該額に8,500円を加算した額である。



■解説

(A)誤り
法37条の2第1項
遺族基礎年金の対象となる遺族は、いずれも被保険者等の死亡当時その者によって生計を維持していたものである。このうち妻については、いわゆる母子状態にあるものであって、被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持されていたその者の子と生計を同じくすることを要件としている。また、子については、被保険者等の死亡当時、18歳の誕生日の属する年度の年度末までの間にあるか、又は20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、結婚していないことを要件としている。
よって、妻が障害等級1級又は2級の障害の状態に該当する場合であっても子を有していなときは遺族基礎年金を受けることができないため、「遺族基礎年金の受給権を取得できる」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法51条、法附則9条の2第5項
寡婦年金の受給権は、受給権者が繰り上げ支給の老齢厚生年金の受給権を取得したときは、消滅することになっているが、受給権者が60歳台前半の老齢厚生年金の受給権を取得したときは、寡婦年金の受給権は消滅せずに選択受給することになる。
よって、問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法7条1項
遺族基礎年金の受給権者となった妻であっても、資格要件を満たしている場合は、国民年金第1号被保険者となる。(遺族基礎年金の受給権者は適用除外に該当しない。)
よって、「第1号被保険者とはならない」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法附則9条の2、令12条の2第1項
老齢基礎年金の支給の繰上げを受けた場合には、政令で定める額を老齢基礎年金の額から減額することとされている。政令では、本来の老齢基礎年金の額に減額率(1000分の5に支給の繰上げを請求した日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率)を乗じて得た額を減額することになっている。なお、昭和16年4月1日以前に生まれた者については、従来の減額率が適用される。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法50条
寡婦年金の年金額については、第1号被保険者としての保険料納付済期間及び免除期間を基礎として、老齢基礎年金相当額を算出し、その額の4分の3に相当する額とされており、付加保険料を納付していても加算されることはない。
よって、「8,500円を加算した額である」とした問題文は誤りとなる。
なお、付加保険料納付済期間が3年以上である者の遺族に支給する死亡一時金の額については、8,500円が加算されることになっている。(法52条の4第2項)


※本問については、社会保険労務士試験センターからの発表で「正しい選択肢について択一すべきところ、本来正答とされるべき選択肢(D)に誤りがあり、正答なしとなった。」とされたが、選択肢(D)の問題文を修正し、選択肢(D)を正解とした。

  

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