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トップページ過去問研究室(国民年金法) 平成26年国年-第9問(障害基礎年金等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成26年国年-第9問(障害基礎年金等)

障害基礎年金等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問において「現在」は平成26年4月11日とする。

(A)被保険者でなかった19歳の時に初めて医療機関で診察を受け、うつ病と診断され継続して治療している現在25歳の者は、20歳に達した日の障害状態が障害等級1級又は2級に該当していれば、その日に20歳前傷病による障害基礎年金の受給権が発生する。

(B)第1号被保険者であった50歳の時に初診日がある傷病を継続して治療している現在66歳の者は、初診日から1年6か月を経過した日の障害状態が障害等級1級又は2級に該当し、かつ、初診日の前日において保険料納付要件を満たしていれば、国民年金法第30条の規定による障害基礎年金を請求することができる。

(C)精神の障害による障害等級2級の障害基礎年金を30歳の時から継続して受給している者が、第1号被保険者であった45歳のときに、事故で足にけがをし、その障害認定日(平成26年4月 11日)において障害等級1級の状態に該当した。この場合、精神の障害による障害等級2級の障害基礎年金と足の障害による障害等級1級の障害基礎年金は、どちらかの選択となるが、年金受給選択申出書を提出しない場合は、引き続き精神の障害による障害等級2級の障害基礎年金が支給される。

(D)厚生年金保険の被保険者であった30歳の時に初診日がある傷病(先発傷病)について障害等級3級の障害厚生年金を受給している者が、第1号被保険者であった40歳の時に初診日がある別の傷病(後発傷病)の障害認定日において当該障害のみでは障害等級1級又は2級に該当しなかった。しかし、先発傷病の障害と後発傷病の障害を併合すると障害等級1級又は2級に該当している場合、後発傷病の初診日の前日における保険料納付要件を満たしていなくても、障害厚生年金の額の改定請求により、障害基礎年金の受給権が発生する。なお、先発傷病による障害は、障害等級1級又は2級に該当したことがない。

(E)障害等級2級の障害基礎年金の受給権者が、初診日が厚生年金保険の被保険者であった66歳の時である別の傷病について、障害認定日に障害等級3級に該当した場合、前後の障害を併合すると従前の障害基礎年金の障害の程度よりも増進するときは、障害基礎年金の額の改定請求を行うことができる。



■解説

(A)誤り
法30条の4
初診日において20歳未満であった者の障害認定日(初診日から起算して1年6か月を経過した日(その期間内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。))が20歳に達した日後であるときは、その障害認定日における障害状態が障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態にあれば20歳前の障害に基づく障害基礎年金が支給される。
よって、「20歳に達した日の障害状態が障害等級1級又は2級に該当していれば、その日に20歳前傷病による障害基礎年金の受給権が発生する。」とした問題文は誤りとなる。
なお、初診日において20歳未満であった者が、障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日における障害状態が障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態であれば20歳前の障害に基づく障害基礎年金が支給される。

(B)正解
法30条
初診日において、被保険者又は被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満である者が、障害認定日(初診日から起算して1年6か月を経過した日(その期間内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。))において、その傷病により障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態にあり、保険料納付要件を満たしていた場合は、障害基礎年金が支給されることになる。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
法31条1項
障害基礎年金の受給権者に対して更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金が支給されることになる。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、「1人1年金」の原則に基づいて国民年金の年金給付の併給調整が設けられているが、障害基礎年金は同一人について異なる支給事由により複数発生する可能性があるため、特別規定を設け、併給調整による1年金選択とはせず、前後の障害を併合した程度の障害基礎年金を支給することとされている。

(D)誤り
法30条の3
単独の障害では障害等級に該当しない複数の障害を併合して初めて障害等級2級以上の障害に該当した場合には、障害基礎年金が支給されことになる。この場合、障害を併合して初めて障害等級2級以上の障害に該当することとなったそのきっかけとなる傷病を「基準傷病」とし、この基準傷病に係る障害(基準障害)の障害認定日をもってこの基準傷病による障害基礎年金の障害認定日とすることとされている。
したがって、保険料の納付要件等については、この基準障害についてその要件を問うこととされている。
よって、「後発傷病の初診日の前日における保険料納付要件を満たしていなくても」とした問題文は誤りとなる。
なお、厚生年金保険の3級の障害厚生年金受給権者に新たに3級程度の障害が生じた場合については、基準傷病による障害基礎年金の要件に該当していれば障害基礎年金の受給権が発生することになるとともに、厚生年金保険の規定により2級以上の障害厚生年金が支給されることになる。

(E)誤り
法34条4項
障害基礎年金の受給権者にさらに障害等級の1級又は2級に満たない程度の軽度の障害(その他の障害)が発生し、その他の障害の障害認定日以後65歳に達するまでに、前後の障害を併合した障害の程度が受給中の障害基礎年金の障害の程度より増進した場合、障害基礎年金の額の改定を厚生労働大臣に請求できることになっている。
よって、その他の障害による改定請求は65歳に達するまでに請求する必要があるため、問題文は誤りとなる。

  

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