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トップページ過去問研究室(国民年金法) 平成28年国年-第8問(障害基礎年金及び遺族基礎年金の保険料納付要件)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成28年国年-第8問(障害基礎年金及び遺族基礎年金の保険料納付要件)

障害基礎年金及び遺族基礎年金の保険料納付要件に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)20歳に到達した日から第1号被保険者である者が、資格取得時より保険料を滞納していたが、22歳の誕生月に国民年金保険料の全額免除の申請を行い、その承認を受け、第1号被保険者の資格取得月から当該申請日の属する年の翌年6月までの期間が保険料全額免除期間となった。当該被保険者は21歳6か月のときが初診日となるけがをし、その後障害認定日において当該けがが障害等級2級に該当していた場合、障害基礎年金の受給権が発生する。

(B)厚生年金保険の被保険者期間中にけがをし、障害等級3級の障害厚生年金の受給権者(障害等級1級又は2級に該当したことはない。)となった者が、その後退職し、その時点から継続して第3号被保険者となっている。その者が、退職から2年後が初診となる別の傷病にかかり、当該別の傷病に係る障害認定日において、当該障害等級3級の障害と当該別の傷病に係る障害を併合し障害等級2級に該当した。この場合、障害等級2級の障害基礎年金の受給権が発生する。なお、当該別の傷病に係る障害認定日で当該者は50歳であったものとする。

(C)平成2年4月8日生まれの者が、20歳に達した平成22年4月から大学を卒業する平成25年3月まで学生納付特例の適用を受けていた。その者は、卒業後就職せず第1号被保険者のままでいたが、国民年金の保険料を滞納していた。その後この者が24歳の誕生日を初診日とする疾病にかかり、その障害認定日において障害等級2級の状態となった場合、障害基礎年金の受給権が発生する。

(D)20歳から60歳まで継続して国民年金に加入していた昭和25年4月生まれの者が、65歳の時点で老齢基礎年金の受給資格期間を満たさなかったため、特例による任意加入をし、当該特例による任意加入被保険者の期間中である平成28年4月に死亡した場合、その者の死亡当時、その者に生計を維持されていた16歳の子が一人いる場合、死亡した者が、死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料が未納である月がなくても、当該子には遺族基礎年金の受給権が発生しない。

(E)平成26年4月から障害等級2級の障害基礎年金を継続して受給している第1号被保険者が、平成28年4月に死亡した場合、その者の死亡当時、その者に生計を維持されていた16歳の子がいた場合、死亡した者に係る保険料納付要件は満たされていることから、子に遺族基礎年金の受給権が発生する。なお、死亡した者は国民年金法第89条第2項の規定による保険料を納付する旨の申出をしていないものとする。



■解説

(A)誤り
法30条1項
障害基礎年金の支給に際しては、その傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があるときは、被保険者期間中の保険料納付期間及び保険料免除期間を合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上であることを要件としている。なお、初診日が平成38年4月1日前にある傷病による障害については、その傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の滞納がない場合についても特例的に障害基礎年金の保険料納付要件を満たすものとされている。
問題文の事例の場合は、初診日(21歳6か月)の前日には、保険料免除の申請を行っていないため、保険料納付要件を満たすことができず、障害基礎年金を受給することはできない。
よって、問題文は誤りとなる。

(B)正解
単独の障害では、障害等級に該当しない複数の障害を併合して初めて障害等級2級以上の障害に該当した場合には、基準傷病による障害基礎年金が支給されることになっている。
この場合に、障害を併合して初めて2級以上の障害に該当することとなったそのきっかけとなる傷病を基準傷病とし、この基準傷病に係る障害(基準障害)の障害認定日をもって基準傷病による障害基礎年金の障害認定日とすることとされており、保険料の納付要件等はこの基準障害についてその要件を問うことになっている。
よって、問題文は正解である。
なお、厚生年金保険の3級の障害厚生年金受給権者に新たに3級程度の障害が生じた場合については、法30条の3の規定に該当していれば障害基礎年金の受給権が発生することとなるとともに、厚生年金保険法の規定により2級以上の障害厚生年金が支給されることになる。

(C)正解
法30条1項
障害基礎年金の支給に際しては、その傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があるときは、被保険者期間中の保険料納付期間及び保険料免除期間を合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上であることを要件としている。なお、初診日が平成38年4月1日前にある傷病による障害については、その傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の滞納がない場合についても特例的に障害基礎年金の保険料納付要件を満たすものとされている。
問題文の事例の場合は、初診日(平成26年4月8日)の属する月の前々月までの被保険者期間(3年11か月)のうち学生納付特例適用期間(3年)が3分の2以上あるため、保険料納付要件を満たすこととなり、初診日要件、障害認定日要件も満たすため障害基礎年金の受給権が発生する。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法37条1項、法37条の2第1項、法附則20条2項(昭和60年5月1日法律第34号)
遺族基礎年金の支給に際しては、その死亡日の前日において、当該死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があるときは、被保険者期間中の保険料納付期間及び保険料免除期間を合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上であることを要件としている。なお、死亡日が平成38年4月1日前にあるときは、その死亡日の前日において、当該死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料の滞納がない場合についても特例的に遺族基礎年金の保険料納付要件を満たすものとされている。しかしながら、この特例措置は、死亡の日が65歳以上である場合には適用されないことになっている。
問題文の事例の場合は、死亡日要件は満たしているが、保険料納付要件を満たしていないため、遺族基礎年金の受給権は発生しない。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法37条1項、法37条の2第1項、法附則20条2項(昭和60年5月1日法律第34号)
遺族基礎年金の支給に際しては、その死亡日の前日において、当該死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があるときは、被保険者期間中の保険料納付期間及び保険料免除期間を合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上であることを要件としている。なお、死亡日が平成38年4月1日前にあるときは、その死亡日の前日において、当該死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料の滞納がない場合についても特例的に遺族基礎年金の保険料納付要件を満たすものとされている。
問題文の事例の場合、死亡した者は、障害基礎年金の受給権者であり平成26年4月以降は保険料の法定免除対象者となるため、保険料納付要件を満たすことになり、死亡日要件、遺族の要件も満たしているため、子に遺族基礎年金の受給権が発生する。
よって、問題文は正解となる。

  

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