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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成29年国年-第9問(国民年金の保険給付)

国民年金の給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)老齢基礎年金の支給を受けている者が平成29年2月27日に死亡した場合、未支給年金請求者は、死亡した者に支給すべき年金でまだその者に支給されていない同年1月分と2月分の年金を未支給年金として請求することができる。なお、死亡日前の直近の年金支払日において、当該受給権者に支払うべき年金で支払われていないものはないものとする。

(B)障害等級3級の障害厚生年金の受給権者が65歳となり老齢基礎年金及び老齢厚生年金の受給権を取得した場合、この者は、障害等級3級の障害厚生年金と老齢基礎年金を併給して受けることを選択することができる。

(C)夫婦ともに老齢基礎年金のみを受給していた世帯において、夫が死亡しその受給権が消滅したにもかかわらず、死亡した月の翌月以降の分として老齢基礎年金の過誤払が行われた場合、国民年金法第21条の2の規定により、死亡した夫と生計を同じくしていた妻に支払う老齢基礎年金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。

(D)遺族である子が2人で受給している遺族基礎年金において、1人が婚姻したことにより受給権が消滅したにもかかわらず、引き続き婚姻前と同額の遺族基礎年金が支払われた場合、国民年金法第21条の2の規定により、過誤払として、もう1人の遺族である子が受給する遺族基礎年金の支払金の金額を返還すべき年金額に充当することができる。

(E)65歳に達したときに老齢基礎年金の受給資格を満たしていたが、裁定を受けていなかった68歳の夫が死亡した場合、生計を同じくしていた65歳の妻は、夫が受け取るはずであった老齢基礎年金を未支給年金として受給することができる。この場合、夫が受け取るはずであった老齢基礎年金は、妻自身の名で請求し、夫が65歳に達した日の属する月の翌月分から死亡月の分までの受け取るはずであった年金を受け取ることになる。



■解説

(A)誤り
法18条、法19条
年金給付は、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に、それぞれの前月までの分を支払うこととされており、年金は支払月の15日(15日が土曜日、日曜日または祝日のときは、その直前の平日)に支払われることになっている。問題文の事例の場合は、死亡日前の2月15日に12月分と1月分が支払済であるため、未支給の年金は「2月分」となる。
よって、「同年1月分と2月分の年金を未支給年金として請求」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法20条1項、法附則9条の2の4
基礎年金と厚生年金は、原則として、同一の支給に基づいて支給されるものは併給可能であるが、受給権者が65歳に達している場合は、「老齢基礎年金と遺族厚生年金」、「障害基礎年金と老齢厚生年金又は遺族厚生年金」の併給も認められている。しかしながら、「老齢基礎年金と障害厚生年金」の併給は認められていない。
よって、問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法21条の2、則86条の2
年金給付の受給権者が死亡したことにより失権すべき年金が、届出の遅れなどにより過払いされた場合において、これを返還すべき義務を負う者が他の年金給付を受給している場合には、この年金給付を返還金に充当することができるが、この過誤払の調整は次の場合に限って行うことができる。
1.年金たる給付の受給権者の死亡を支給事由とする遺族基礎年金の受給権者が、当該年金たる給付の受給権者の死亡に伴う当該年金たる給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき
2.遺族基礎年金の受給権者が同一の支給事由に基づく他の遺族基礎年金の受給権者の死亡に伴う当該遺族基礎年金の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき
よって、「妻に支払う老齢基礎年金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当すること」はできないため、問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法21条の2、則86条の2
年金給付の受給権者が死亡したことにより失権すべき年金が、届出の遅れなどにより過払いされた場合において、これを返還すべき義務を負う者が他の年金給付を受給している場合には、この年金給付を返還金に充当することができるが、この過誤払の調整は次の場合に限って行うことができる。
1.年金たる給付の受給権者の死亡を支給事由とする遺族基礎年金の受給権者が、当該年金たる給付の受給権者の死亡に伴う当該年金たる給付の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき
2.遺族基礎年金の受給権者が同一の支給事由に基づく他の遺族基礎年金の受給権者の死亡に伴う当該遺族基礎年金の支払金の金額の過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者であるとき
よって、「婚姻したことにより受給権が消滅した」場合は過誤払の調整の対象とならないため、問題文は誤りとなる。

(E)正解
法18条、法19条
年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができることになっている。
問題文の事例の場合は、夫が受け取るはずであった老齢基礎年金は、妻自身の名で請求することができる。なお、年金給付の支給は、これを支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から始め、権利が消滅した日の属する月で終るものとされているため、夫が受け取るはずであった老齢基礎年金は、夫が65歳に達した日の属する月の翌月分から死亡月の分までである。
よって、問題文は正解となる。

  

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