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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成13年厚年-第6問(遺族厚生年金)
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■平成13年厚年-第6問(遺族厚生年金)

遺族厚生年金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)厚生年金保険の被保険者であって、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が20年以上ある者が死亡した場合には、裁定請求時に遺族が申し出ることにより、老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている者として取り扱われる。

(B)大学に在学中の20歳から卒業時(22歳)まで国民年金の保険料の免除(学生等の保険料納付特例)を受け、卒業後直ちに適用事業所に使用された者が、就業後1年未満で死亡した場合、一定の要件を満たす遺族がいるときは、その者に遺族厚生年金の受給権が発生する。

(C)遺族厚生年金を受けることができる遺族について、父母は、配偶者又は子が、祖父母は、配偶者、子又は父母が、孫は、配偶者、子、父母又は祖父母が遺族厚生年金の受給権を有したときは、それぞれ遺族厚生年金を受ける遺族としない。

(D)遺族厚生年金の受給権者である妻の受給権が失権する要件は、死亡したとき、婚姻(届出はしていないが事実上の婚姻関係にある者を含む。)したとき、直系血族及び直系姻族以外の者の養子(届出はしていないが事実上の養子縁組関係にある者を含む。)になったとき、実家に復籍して旧姓に復したとき、のいずれかである。

(E)平成28年4月1日前に死亡日がある被保険者について、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるとき、当該被保険者期間の直近の1年間に保険料の滞納がない場合には保険料納付要件を満たすことから、その遺族に遺族厚生年金が支給される。(一部改正)



■解説

(A)誤り
法42条2号、法58条1項4号
遺族厚生年金は、老齢厚生年金の受給権者又は老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている者が死亡した場合には支給されるが、老齢厚生年金の受給資格期間は保険料納付済期間と保険料免除期間と合算対象期間を合わせて原則として25年以上(特例の適用あり)必要とされている。
なお、「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が20年以上ある者が死亡した場合には、裁定請求時に遺族が申し出ることにより、老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている者として取り扱われる」という規定はなく、問題文は誤りとなる。

(B)正解
法58条1項1号、国年法90条の3
被保険者が死亡した場合にその遺族が遺族厚生年金の支給を受けるためには、保険料納付要件を満たしている必要がある。
そして、保険料納付要件は、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるときは、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が被保険者期間全体の3分の2以上あればよいことになっている。
問題文の場合は、学生等の保険料納付特例の適用を受けており、保険料滞納期間がないので遺族厚生年金の受給権は発生する。
なお、被保険者資格喪失後、被保険者であった期間中に初診日がある傷病により、初診日から起算して5年以内に死亡した場合にその遺族が遺族厚生年金の支給を受けるときも、保険料納付要件が問われることになっている。

(C)誤り
法59条2項
遺族厚生年金を受けることができる遺族の優先順位は次のようになっている。
なお、先順位者が受給権を取得したときは、次順位の遺族は受給権者となることはできない。
1.配偶者及び子(同順位)
2.父母
3.孫
4.祖父母

よって、「祖父母は、配偶者、子又は父母」、「孫は、配偶者、子、父母又は祖父母」とした問題文は誤りである。

(D)誤り
法63条1項、昭和32年2月9日保文発第9485号
遺族厚生年金の受給権者である配偶者は次のいずれかに該当した場合は消滅することになっている。
1.死亡したとき。
2.婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。
3.直系血族及び直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となったとき。
4.離縁によって、死亡した被保険者又は被保険者であった者との親族関係が終了したとき。

なお、遺族年金受給権者である妻が、実家に復籍し姓名も旧に復した場合であっても「離縁によって、死亡した被保険者又は被保険者であった者との親族関係が終了したとき」に該当せず、遺族厚生年金の受給権は失権しないこととされている。
よって、「実家に復籍して旧姓に復したときに失権する」とした問題文は誤りである。

(E)誤り
法58条1項、法附則64条2項(昭和60年5月1日法律第34号)
保険料納付要件の特例として、死亡日が平成28年4月1日前にある傷病による障害については、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料滞納期間がなければ保険料要件を満たしたものとして扱われる。
しかし、この特例は死亡日において65歳以上の者には適用されないことになっている。
よって、問題文は、「死亡日の前日において要件を見る点」、「65歳以上の者には適用されないという点」が記載されておらず、誤りとなる。

  

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