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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成13年厚年-第7問(保険給付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成13年厚年-第7問(保険給付)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)厚生年金保険の被保険者が死亡したとき、遺族厚生年金の受給対象となりうる遺族が55歳の父母のみであった場合、遺族厚生年金は、その額を等分した額が父母にそれぞれ支給される。

(B)業務上の傷病に起因して障害状態になり、労働者災害補償保険法による障害補償年金の給付を受けた場合には、障害厚生年金の一部が併給調整されることになる。

(C)厚生年金保険法第34条の規定に基づく調整期間における保険給付額の自動調整(マクロ経済スライド)に関し、老齢厚生年金の加給年金額、障害厚生年金(1級、2級)の加給年金額、3級の障害厚生年金の最低保障額、及び遺族厚生年金の中高齢の寡婦加算額にはマクロ経済スライドが適用されるが、障害手当金及び老齢厚生年金の加給年金額に係る配偶者特別加算額にはマクロ経済スライドは適用されない。(一部改正)

(D)被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定した場合には、その処分についての不服を保険給付に関する処分の不服の理由とすることはできない。

(E)在職者で、特別支給の老齢厚生年金を受給している者の基本月額は、報酬比例部分の100分の80に相当する額を12で除した額であり、この額と総報酬月額相当額の合計が支給停止調整開始額28万円以下の場合には、報酬比例部分の100分の20が支給停止されるが、定額部分及び加給年金額は停止されない。(一部改正)



■解説

(A)誤り
法60条の2、法65条の2
夫、父母又は祖父母に対する遺族厚生年金は、受給権者が60歳に達するまでの期間、支給停止されることになっている。
よって、「55歳の父母」には遺族厚生年金は支給されず、問題文は誤りとなる。
なお、配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者が2人以上であるときは、遺族厚生年金として算定された額を受給権者の数で除して得た額がそれぞれに支給されることになっている。

(B)誤り
法54条、昭和41年1月18日庁発第1号、労災法別表第1
業務上の事由により障害の状態にある者については、障害厚生年金及び労災法の障害補償年金を併給することができるが、この場合は、障害厚生年金が全額支給され、障害補償年金が調整されることになっている。
よって、「障害厚生年金の一部が併給調整される」とした問題文は誤りである。

(C)誤り
法34条、法57条、法附則60条2項(昭和60年5月1日法律第34号)
障害手当金及び老齢厚生年金の加給年金額に係る配偶者特別加算額についてもマクロ経済スライドは適用されることになっている。
よって、「障害手当金及び老齢厚生年金の加給年金額に係る配偶者特別加算額にはマクロ経済スライドは適用されない。」とした問題文は誤りである。

(D)正解
法90条4項
被保険者資格又は標準報酬に関する処分が確定したにもかかわらず、当該処分に基づく保険給付の際に、再び被保険者資格又は標準報酬に関する処分に不服があるとして争うことは、確定した内容をさらに争うことになるため、認められていない。

(E)誤り
法附則11条
受給権者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整開始額(28万円)以下である場合には支給停止は行わずに老齢厚生年金が全額支給される。
基本月額とは、加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分と定額部分)の額を12で除した額である。
加給年金額については、支給停止額を算出する計算の基礎に含めないが、60歳前半の在職老齢年金のしくみにより、老齢厚生年金が全額支給停止された場合には、加給年金額も支給停止されることになっている。
なお、60歳前半の在職老齢年金に関して一律2割が支給停止されるしくみは、平成17年4月1日から廃止された。
よって、「基本月額は、報酬比例部分の100分の80に相当する額を12で除した額」、「報酬比例部分の100分の20が支給停止される」とした問題文は誤りである。

  

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