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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成14年厚年-第3問(保険給付)
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■平成14年厚年-第3問(保険給付)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付で、まだその者に支給されなかったものがあるときに、その者に配偶者、子、父母、祖父母がいないときは、その者の兄弟姉妹が自己の名でその保険給付の支給を請求することができる。

(B)被保険者又は被保険者であった者が、被保険者の資格取得若しくは喪失又は被保険者種別変更の確認を社会保険事務所長等に対して請求する場合、文書だけではなく口頭による請求でもよい。

(C)老齢厚生年金の受給権者が死亡したにもかかわらず、死亡した日が属する月の翌月以降の分として当該年金が過誤払いされた場合において、過誤払いによる返還金債権に係る債務の弁済をするべき者に支払うべき遺族厚生年金給付があるときは、当該過誤払いの債権の金額をもって当該遺族厚生年金の給付の内払いとみなす。

(D)老齢厚生年金として支給を受けた金銭について、これを標準として租税その他の公課を課すことはできないが、国税滞納処分により差し 押さえることはできる。

(E)1級又は2級の障害の状態になる子が20歳に達して遺族厚生年金の受給権が消滅した場合には、10日以内に当該受給権の失権の届書を社会保険庁長官に提出しなければならない。



■解説

(A)誤り
法37条1項・4項
保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。
なお、未支給の保険給付を受けるべき者の順位は記述の順番となっている。
よって、問題文の場合は、単に「兄弟姉妹」とあり、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたか不明である点、「その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた孫」がいる場合は、「兄弟姉妹」に優先する点から問題文は誤りとなる。

(B)正解
法31条1項、則12条1項
被保険者又は被保険者であった者は、いつでも、資格の取得若しくは喪失又は種別の変更の確認請求を社会保険庁長官に行うことができる。(権限は社会保険事務所長等に委任されている。)
なお、確認の請求は、社会保険事務所長等に対して、文書又は口頭で行うものとされている。

(C)誤り
法39条の2、則89条の2第1号
年金たる保険給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以後の分として当該年金たる保険給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金債権に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき遺族厚生年金がある場合には、当該遺族厚生年金の支払金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。
よって、「当該過誤払いの債権の金額をもって当該遺族厚生年金の給付の内払いとみなす」とした問題文は誤りである。
なお、例えば、新しい年金の受給権を取得して、従前の年金受給権が消滅した場合にもかかわらず、従前の年金が支給されてしまったときなどに、支給された年金は、新しい年金の内払いとみなす調整がおこなわれる。

(参考)
1.内払
前後の受給権者が同一である場合に行われる。
2.充当
従前の受給権者が死亡し、前後の受給権者が異なる場合に行われる。
なお、充当先は遺族厚生年金のみである。

(D)誤り
法41条
保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができないが、年金たる保険給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供すること、老齢厚生年金を受ける権利を国税滞納処分により差し押えることはできる。
また、租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができないが、老齢厚生年金については除かれている。
よって、老齢厚生年金については、租税その他公課を課し、国税滞納処分により差し押さえることもできるので、「標準として租税その他の公課を課すことはできない」とした問題文は誤りである。

(E)誤り
法63条2項1号・3号、則63条1項3号
遺族厚生年金の受給権者であり、1級又は2級の障害状態にある子又は孫が20歳に達したときは、遺族厚生年金の受給権は消滅するが、受給権の失権の届出を社会保険庁長官に行う必要はない。(18歳到達により失権した場合も同様)
よって、「10日以内に当該受給権の失権の届書を社会保険庁長官に提出しなければならない」とした問題文は誤りである。

  

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