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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成14年厚年-第4問(遺族厚生年金)
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■平成14年厚年-第4問(遺族厚生年金)

遺族厚生年金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)厚生年金の被保険者の死亡により妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生したが、妻と子が音信はあるものの生計を同一にしていない場合には、子に遺族基礎年金の受給権が発生し、妻の遺族厚生年金は支給停止される。

(B)被保険者等の死亡を理由に労働基準法による遺族補償を受けられるときは、遺族厚生年金は6年間支給停止される。

(C)遺族厚生年金の受給権者である妻が昭和31年4月1日以前の生まれであるときは、その妻が65歳に達してからは妻自身の老齢基礎年金が支給されるので、中高年寡婦加算及び経過的寡婦加算は支給停止される。

(D)厚生年金の被保険者の死亡により、妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生し、妻と子が生計を同一にしている場合、子の遺族厚生年金は支給停止される。また、厚生年金の被保険者の死亡により、夫と子に遺族厚生年金の受給権が発生している場合、夫の遺族厚生年金は支給停止される。

(E)平成8年4月1日前に死亡した被保険者又は被保険者であった者の夫に遺族厚生年金が支給される場合において、被保険者又は被保険者であった者の死亡当時からその夫が障害等級1級又は2級に該当する状態にある場合には、55歳未満であっても遺族厚生年金が支給される。



■解説

(A)正解
法66条2項
妻に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、妻が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止されることになっている。
なお、遺族基礎年金は、死亡した被保険者又は被保険者であった者に生計を維持されていた子のある妻又は子に支給されることになっているが、妻に対する遺族基礎年金は子と生計を同じくしていなければ支給されないことになっている。(国年法37条の2)
よって、問題文の場合は、遺族基礎年金の受給権を有する子に対して遺族厚生年金が支給されることになる。

(B)正解
法64条
遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について労働基準法の規定による遺族補償の支給が行われるべきものであるときは、死亡の日から6年間、その支給が停止されることになっている。

(C)誤り
法62条1項、法附則73条1項(昭和60年5月1日法律第34号)
遺族厚生年金の受給権者である妻であって、その権利を取得した当時40歳以上65歳未満であったもの又は、40歳に達した当時死亡した被保険者若しくは被保険者であった者の子で遺族基礎年金の支給要件に該当するものと生計を同じくしていたものが65歳未満であるときは、中高齢の寡婦加算額が加算される。
また、中高齢の寡婦加算額が加算された遺族厚生年金の受給権者である妻が昭和31年4月1日以前生まれである場合は、65歳に達した日の属する月の翌月から、経過的寡婦加算額が加算されることになっている。
よって、中高齢の寡婦加算額は65歳まで加算され、65歳以後は、老齢基礎年金と中高齢の寡婦加算額の差額が経過的寡婦加算額として加算される(昭和31年4月1日以前生れの者に限る)ことになっているため、「その妻が65歳に達してからは妻自身の老齢基礎年金が支給されるので、中高年寡婦加算及び経過的寡婦加算は支給停止される」とした問題文は誤りである。

(D)正解
法66条1項・3項
子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間については支給停止される。
また、夫に対する遺族厚生年金は、子が遺族厚生年金の受給権を有する期間については支給停止されることになっている。
よって、問題文は正解である。

(E)正解
法59条1項1号、法附則72条2項・4項(昭和60年5月1日法律第34号)
夫、父母又は祖父母が、被保険者又は被保険者であった者の死亡当時、その者によって生計を維持されており、55歳以上である場合は、遺族厚生年金を受けることができる遺族となる。(受給権は発生しても60歳までは支給停止となる。)
しかし、被保険者又は被保険者であった者が平成8年4月1日前に死亡した場合に限って、夫、父母又は祖父母が遺族厚生年金を受けることができる遺族となった場合に、その遺族が障害等級1級又は2級の障害の状態にあるときは、年齢に関係なく、遺族厚生年金の受給権を取得することになっており、この場合は受給権が発生したときから遺族厚生年金が支給される。

  

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