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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成14年厚年-第6問(老齢厚生年金)
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■平成14年厚年-第6問(老齢厚生年金)

老齢厚生年金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)昭和12年4月1日以前に生まれ、平成14年4月1日前に老齢厚生年金の受給権を有する者が、66歳に達する前に当該老齢厚生年金を請求していなかった場合は、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。

(B)老齢厚生年金は、同一の事由に基づいて支給される退職共済年金の受給権が生じた場合には支給停止される。

(C)昭和60年改正前の厚生年金保険法による通算老齢年金については、65歳に達している受給権者が遺族厚生年金の支給を受けるときは、当該通算老齢年金の額の2分の1に相当する額についての支給が停止される。

(D)老齢厚生年金の受給要件について、昭和27年4月2日から昭和28年4月1日までに生まれた者であって、厚生年金保険の被保険者期間のみを有する者は、当該期間が21年以上あることを要する。

(E)昭和24年4月2日以後に生まれた男子には、報酬比例相当分の老齢厚生年金が支給され、昭和36年4月2日以後に生まれた男子には、65歳になるまで老齢厚生年金が支給されない。



■解説

(A)正解
法附則17条1項(平成12年3月31日法律第18号)
平成14年4月1日から老齢厚生年金の繰下げ支給制度については廃止されたが、平成14年4月1日前において、既に65歳に達している者(昭和12年4月1日以前生まれの者)で、老齢厚生年金の請求をしていなかった者については、廃止前の規定が適用され、老齢厚生年金の繰下げの申出をすることができる。
よって、問題文は正解である。
なお、法改正により再び平成19年4月1日から老齢厚生年金の繰下げ制度が導入されることとなった。

(参考)
老齢厚生年金の繰下げ制度(法44条の3、法附則42条(平成16年6月11日法律第104号))
老齢厚生年金の受給権を有する者であってその受給権を取得した日から起算して1年を経過した日(1年経過日)前に老齢厚生年金の請求をしていなかったものは、社会保険庁長官に老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。(この繰下げ制度が適用されるのは、平成19年4月1日以後に老齢厚生年金の受給権を有することとなった者に限られる)
しかしながら、老齢厚生年金の受給権を取得したときに老齢基礎年金(付加年金)、障害基礎年金又は退職を支給事由とする被用者年金を除く他の年金給付(他の年金給付)の受給権者であったとき、1年経過日までの間に、他の年金給付の受給権者となったときは老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることはできない。
また、1年経過日後に他の年金給付の受給権者となった者が、他の年金給付の受給権者となった日以後に、老齢厚生年金の支給の繰下げの申出をした場合には、他の年金給付の受給権者となった日に老齢厚生年金の支給繰下げの申出をした日とみなされることになっている。
なお、平成12年の法改正時に廃止された従来の老齢厚生年金の繰下げ制度(問題文にある制度)では、老齢基礎年金の支給繰下げと同時に申出する必要があり(今回の制度では別々に行うことも可能)、65歳に達した日以後に他の年金給付の受給権者となった場合には、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることはできなかった。

(B)誤り
法38条1項
同一の支給事由に基づいて支給されるものは併給することができる。
なお、老齢厚生年金と退職共済年金は同一の支給事由ではないが、それぞれの年金額の計算の基礎となる被保険者期間(組合員期間)が異なるので併給されることになっている。
よって、「支給停止される」とした問題文は誤りである。

(C)正解
法附則56条6項(昭和60年5月1日法律第34号)
旧厚生年金保険法による老齢年金等の受給権者が、遺族厚生年金の受給権を取得した場合は、65歳以後、旧厚生年金保険法による老齢年金の2分の1に相当する額を支給停止することにより、遺族厚生年金と併給することが可能である。

(D)正解
法附則12条1項2号(昭和60年5月1日法律第34号)、附則別表第2(昭和60年5月1日法律第34号)
厚生年金保険の被保険者期間及び共済組合の組合員期間を有する者に対する経過的特例として昭和27年4月1日以前に生まれた者については、被用者年金保険の被保険者等期間が20年以上あれば老齢基礎年金の受給資格期間を満たしたものとされる。
なお、昭和27年4月2日から昭和28年4月1日までに生まれた者については、被用者年金保険の被保険者等期間が21年以上必要である。

(参考)
被用者年金加入期間の特例
生年月日 加入期間
昭和27年4月1日以前 20年
昭和27年4月2日から昭和28年4月1日 21年
昭和28年4月2日から昭和29年4月1日 22年
昭和29年4月2日から昭和30年4月1日 23年
昭和30年4月2日から昭和31年4月1日 24年

(E)正解
法附則8条、法附則8条の2、法附則19条1項(平成6年11月9日法律第95号)
特別支給の老齢厚生年金については、生年月日に応じて支給開始年齢が引き上げられることになっており、男子(特例該当者は除く)については、昭和24年4月2日以後に生まれた者については、報酬比例部分相当が支給され、昭和36年4月2日以後に生まれた者については、特別支給の老齢厚生年金は支給されないことになっている。
なお、女子(特例該当者は除く)については、5年遅れで支給開始年齢の引き上げが行われ、昭和41年4月2日以後に生まれた者については、特別支給の老齢厚生年金は支給されないことになっている。

(参考)
男子(特例該当者は除く)の報酬比例部分の支給開始年齢
生年月日 支給開始年齢
昭和24年4月2日から昭和28年4月1日 60歳
昭和28年4月2日から昭和30年4月1日 61歳
昭和30年4月2日から昭和32年4月1日 62歳
昭和32年4月2日から昭和34年4月1日 63歳
昭和34年4月2日から昭和36年4月1日 64歳
※女子(特例該当者は除く)については5年遅れで支給開始年齢が引き上げ

  

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