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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成15年厚年-第2問(保険給付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成15年厚年-第2問(保険給付)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)障害手当金の額は、老齢厚生年金の額の規定の例により計算された額(被保険者期間が300月に満たないときは300月とする。)の100分の200に相当する額として計算される。ただし、この額が1,168,000円(平成20年度価額)に満たないときは、1,168,000円を障害手当金の額とする。(一部改正)

(B)障害厚生年金(旧法による障害年金を含む。)又は障害手当金(旧法による障害手当金を含む。)を受けたことがある者には脱退手当金は支給しない。

(C)昭和18年7月生まれの男性で、既に退職しており厚生年金被保険者期間が40年以上あるときは、60歳から定額部分と報酬比例部分の老齢厚生年金を請求することができる。

(D)遺族厚生年金の受給権者で配偶者以外の者が2人いる場合に、そのどちらかが死亡した場合には、残りの受給権者は社会保険庁長官に対して年金額の改定請求を行わなければならない。

(E)老齢厚生年金の受給権者が死亡したことにより支給される遺族厚生年金の額について、その額の計算の基礎となる被保険者期間が300月未満のときは、これを300月として計算する。



■解説

(A)正解
法57条
障害手当金の額は、老齢厚生年金(報酬比例部分)の額の規定の例により計算された額(障害手当金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときは、これを300として計算する)の100分の200に相当する額である。
ただし、算定された額が、1,168,000円(平成20年度価額)に満たない場合は最低保障として、1,168,000円(平成20年度価額)が支給額となる。

(参考)
障害手当金の最低保障額
原則的な障害厚生年金の最低保障額に2を乗じて得た額((780,900円×改定率)×4分の3)×2で計算する。
なお、(780,900円×改定率)で端数処理(50円未満切捨て、50円以上100円未満を100円に切上げ)を行い、その額に4分の3を乗じた額にさらに端数処理を行う。
※平成20年度の改定率は0.997なので、最低保障額は1,168,000円となっている。

(B)誤り
法附則75条(昭和60年5月1日法律第34号)、旧法69条、旧法70条2項
脱退手当金の受給権者がその被保険者であった期間の全部又は一部を基礎として計算された障害厚生年金(旧法の障害年金)又は障害手当金(旧法の障害手当金)の支給を受けたものである者である場合において、すでに支給を受けた障害厚生年金(旧法の障害年金)又は障害手当金(旧法の障害手当金)の額が、脱退手当金の額に満たない場合は、その差額が支給されることになっている。(既に支給を受けた障害厚生年金等の額が脱退手当金の額を超える場合は支給されない。)
よって、「脱退手当金は支給しない」とした問題文は誤りである。

(C)誤り
法附則9条の3第1項、法附則18条・19条(平成6年11月9日法律第95号)
昭和18年7月生まれの男性(特例に該当していないものとする)については、62歳から報酬比例部分と定額部分の特別支給の老齢厚生年金が支給される。(60歳から報酬比例部分は支給される)
なお、60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者のうち厚生年金保険の被保険者期間が44年以上ある者については長期加入者の特例として支給開始年齢でなくても老齢厚生年金の受給権が発生したときから定額部分についても支給されることになる。(厚生年金保険の被保険者である場合は除く)
問題文の場合は、厚生年金保険の被保険者期間が「40年以上」となっており、長期加入者の特例に該当しないため誤りとなる。

(D)誤り
法61条
配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者の数に増減を生じたときは、増減を生じた月の翌月から年金額が改定されることになっており、改定請求をする必要はない。
よって、「社会保険庁長官に対して年金額の改定請求を行わなければならない」とした問題文は誤りである。

(E)誤り
法58条1項4号、法60条1項
老齢厚生年金の受給権者又は老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている者が死亡したときは、長期要件の遺族厚生年金に該当するため、被保険者期間の月数が300に満たない場合のみなし計算はおこなわれず、実際の被保険者期間で計算されることになっている。

  

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