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■平成16年厚年-第5問(法令全般関係)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)定額部分の計算の際に用いる被保険者期間の月数は、「昭和21年4月2日以後」に生まれた者については480月が上限である。(一部改正)

(B)海外に在住している日本国籍を有しない者で脱退一時金に関する処分を受けた者が、当該処分について不服がある場合には、社会保険審査会に審査請求をすることができる。

(C)労働協約により報酬と傷病手当金との差額を見舞金として支給する場合には、これは事業主と被保険者との雇用関係に基づいて事業主が病気療養中報酬の一部を支給し生活を保障しようとするものであり、報酬に含まれる。

(D)社会保険審査会に再審査請求をした日から60日を経過しても裁決がないときは、処分の取消しの訴訟を提起することができる。

(E)障害基礎年金の受給権者が遺族厚生年金の受給権を取得し、遺族厚生年金の支給を選択した場合において、支給停止されるべき障害基礎年金の支払が行われたときは、その支払われた額については、遺族厚生年金の内払いとみなすことができる。



■解説

(A)正解
法附則9条の2第2項第2号、法附則36条(平成16年6月11日法律第104号)
定額部分の年金額は、単価に被保険者期間を乗じて算定されることになっており、被保険者期間については生年月日に応じた段階的な単価設定に合わせて、440月(37年)を上限とする措置が講じられていた。
しかし、定額部分の上限が440月のままだと、昭和19年4月2日以後生まれの者については、定額部分の額が老齢基礎年金の額を下回ることになるので、昭和19年4月2日以後生まれの者については、定額部分の単価に乗じる被保険者期間の月数の上限を480月(40年)に引き上げることとされた。
なお、これらの者の上限を一律に480月に引き上げると年齢が若い世代が、上の世代の年金額を逆転してしまう可能性があるため、段階的に引き上げる経過措置が設けられている。

(参考)
生年月日 被保険者期間の上限
昭和4年4月1日以前 420月
昭和4年4月2日から昭和9年4月1日 432月
昭和9年4月2日から昭和19年4月1日 444月
昭和19年4月2日から昭和20年4月1日 456月
昭和20年4月2日から昭和21年4月1日 468月
昭和21年4月2日以後 480月

(B)正解
法附則29条5項
脱退一時金の支給に関する処分に不服がある場合には、他の給付とは異なり、社会保険審査官への審査請求を経ずに、直接社会保険審査会に審査請求(再審査請求ではないので注意)を行うことになっている。

(C)正解
法3条1項3号、昭和32年8月6日保文発第6737号
労働協約で労務不能となったとき、事業主が報酬と傷病手当金との差額を見舞金として支給する場合、これは名目的に見舞金でもいわゆる御見舞でなく、事業主と被保険者との雇用関係に基づいて事業主が病気中報酬の一部を支給し生活を保障しようとするものであり、報酬の中に含まれるとされている。

(D)誤り
法90条の3
審査請求をした日から60日以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなして、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる規定(法90条2項)はあるが、処分の取消しの訴えについては、当該処分についての再審査請求又は審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、次に該当する場合は、社会保険審査会の裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができることになっている。(行事訴法8条)
1.審査請求があった日から3か月を経過しても裁決がないとき
2.処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき
3.その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき

(E)正解
法39条3項
併給調整により選択替え等を行った場合に、従来、国民年金の年金給付を受けていた者が、厚生年金保険の年金給付を受けることとなる場合が生ずることが予想され、(逆の場合もありえる)このような場合に、届出の遅滞等から停止すべきであった年金が支給されてしまうことも考えられるが、一度過誤払いの年金を返還し、新たな年金給付を支給するのではなく、両制度間により内払調整を行うことにより、受給権者の利便に資することとされている。
なお、国民年金法にも同様の内払い調整の規定がある。(国年法21条3項)

  

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