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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成17年厚年-第4問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成17年厚年-第4問(法令全般関係)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)遺族厚生年金の受給権者であって、その障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定する者が指定日までに提出しなければならない医師又は歯科医師の診断書は、指定日前1月以内に作成されたものでなければならない。(一部改正)

(B)総報酬制の導入に伴い、平成15年4月からの保険料は各被保険者種別毎に引き下げられたが、基金の加入員を除く全ての被保険者の保険料率は、その種別にかかわらず平成16年10月から毎年引き上げられ、平成29年9月以降は全ての被保険者の保険料率が1000分の183.00になる。

(C)一の適用事業所の事業主が他の適用事業所の事業主と業務、資本その他について密接な関係を有するものとして厚生労働省令で定める要件に該当する場合にあっては、合算して常時1,000人以上の被保険者数があるときに、共同して基金を設立することができる。

(D)被保険者の標準報酬月額の最高等級及びその額は第30級62万円であり、この基準となる報酬月額の上限は605,000円以上であるが、毎年3月31日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が最高等級の額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の9月1日から、健康保険法に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令により更に上の等級を加える改定を行うことができる。

(E)保険給付の受給権者が裁定請求を行う前に死亡したときは、その者の死亡の当時生計を同じくしていた姉と妹がいる場合には、そのどちらか一方が自己の名で未支給の保険給付を請求することができる。



■解説

(A)正解
法98条3項、則68条の3
遺族厚生年金の受給権者であって、その障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定したものは、厚生労働大臣が指定した年において、指定日までに、指定日前1月以内に作成されたその障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を厚生労働大臣に提出しなければならないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法81条4項、法附則33条(平成16年6月11日法律第104号)、法附則18条(平成8年6月14日法律第82号)
厚生年金保険の被保険者の保険料率は平成16年10月から毎年引き上げられ、平成29年9月以降は保険料率が1,000分の183.0になることとされている。
しかし、日本たばこ産業株式会社で使用される者については、特例保険料率(1,000分の155.5)が、旅客鉄道会社等で使用される者については特例保険料率(1,000分の156.9)が適用されており、引き上げられる一般保険料率が当該特例保険料率を上回るまで(平成20年9月)、引き続き当該特例保険料が適用されることになっており、具体的に引き上げが開始されるのは平成21年9月からである。
よって、「基金の加入員を除く全ての被保険者の保険料率は、その種別にかかわらず平成16年10月から毎年引き上げられ」とした問題文は誤りとなる。
なお、厚生年金の第3種被保険者(船員・坑内員)については、平成16年10月から平成29年8月までは一般被保険者と異なる特例保険料率で毎年引き上げされ、一般の保険料率が1,000分の183.0に達する平成29年9月から同率となる。

(C)正解
法110条、基金令1条
適用事業所の事業主は、共同して基金を設立することができ、その場合の被保険者の数はすべての設立事業所を合算して常時5,000人以上とされている。
しかし、一の適用事業所の事業主が他の適用事業所の事業主と業務、資本金その他について密接な関係を有するものとして厚生労働省令で定める要件に該当する場合にあっては、被保険者数が合算して常時1,000人以上であれば基金を設立することが可能である。
なお、1又は2以上の適用事業所について常時1,000人以上の被保険者を使用する事業主は、当該1又は2以上の適用事業所について、基金を設立することができることになっている。

(D)正解
法20条1項・2項
平成12年10月1日より被保険者の標準報酬月額は、98,000円から620,000円までの30等級とされており、第30級の報酬月額は、605,000円以上とされている。
そして、年度末(3月31日)における全厚生年金保険被保険者の標準報酬月額の平均額の100分の200に相当する額が、標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を上回り、当該状態が継続すると見込まれた場合には、政令により、その年の9月1日から最高等級の上に等級を追加できることとされている。
なお、この場合においては、健康保険法の標準報酬月額等級を参酌するものとされている。

(E)正解
法37条
保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができ、死亡した受給権者が死亡前にその保険給付を請求していなかったときは、自己の名で、その保険給付を請求することができることになっている。
そして、未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、「配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹」の順序となっており、未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなすことになっている。

  

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