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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成17年厚年-第5問(保険給付)
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■平成17年厚年-第5問(保険給付)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)すでに退職した68歳の老齢厚生年金の受給権者が、再就職して被保険者となったがその月に退職して資格を喪失した場合は、当該月について総報酬月額相当額と基本月額との合計が支給停止調整額を超えるときであっても年金額は改定されない。

(B)老齢厚生年金の額の全部につき支給が停止されている場合を除き、加給年金額の対象者がある老齢厚生年金の受給権者が正当な理由なくして毎年提出すべき現況届書及びこれに添えるべき書類を提出しないときは、老齢厚生年金の支払を一時差止めることができるが、差止事由が消滅したときは差止分の支給を受けることができる。(一部改正)

(C)60歳代前半の在職者に適用される特別支給の老齢厚生年金の支給停止額の計算において、当該被保険者の基本月額が支給停止調整開始額以下であり、かつ総報酬月額相当額が支給停止調整変更額を超えるときは、支給停止調整変更額と基本月額との合計額から支給停止調整開始額を控除して得た額に2分の1を乗じて得た額に、総報酬月額相当額から支給停止調整変更額を控除して得た額を加えた額が、支給停止される。

(D)被保険者であった平成13年4月1日に初診日がある傷病により、被保険者資格喪失後の平成17年5月1日に死亡した者について、死亡日の前日において保険料納付要件を満たしている場合には、その者の遺族に対して遺族厚生年金が支給される。

(E)昭和20年4月2日生まれの被保険者に支給される特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額は、1,628円に老齢基礎年金の改定率、当該被保険者の乗率1.032及び480月を上限とする被保険者期間の月数を乗じて得た額として計算される。



■解説

(A)正解
法46条1項、令3条の6
被保険者の資格を喪失した日の属する月についても、在職老齢年金の規定による支給停止の対象となるが、この場合は、前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する場合に限られている。
よって、同月得喪の場合は、在職老齢年金の規定は適用されない。

(B)正解
法78条、法98条3項、則35条の3第1項
加給年金額の対象者がある老齢厚生年金の受給権者が、正当な理由がなくて、毎年提出すべき現況届書及び添付書類を提出しないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができる。
しかし、この支給差止めは、支給停止と異なり、差止め事由が消滅したときは、遡及してその期間分の年金も支給されることになる。

(C)正解
法附則11条1項
60歳台前半の在職老齢年金の支給停止額の計算式は次のようになっている。
1.基本月額と総報酬月額相当額の合計額が280,000円以下
全額支給
2.総報酬月額相当額が470,000円以下で基本月額が280,000円以下
(総報酬月額相当額+基本月額−280,000円)÷2
3.総報酬月額相当額が470,000円以下で基本月額が280,000円以上
総報酬月額相当額÷2
4.総報酬月額相当額が470,000円超で基本月額が280,000円以下
((470,000円+基本月額−280,000円)÷2))+(総報酬月額相当額−470,000円)
5.総報酬月額相当額が470,000円超で基本月額が280,000円超
(470,000円÷2)+(総報酬月額相当額−470,000円)
問題文の場合は、基本月額が280,000円以下で、総報酬月額相当額が470,000円を超えるので上記4のパターンで支給停止額が計算されることになる。

(D)正解
法58条1項2号
被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡していた場合に、死亡日の前日において保険料納付要件をみたしているときは、その遺族に遺族厚生年金が支給されることになる。

(E)誤り
法附則19条2項(平成6年11月9日法律第95号)、法附則36条(平成16年6月11日法律第104号)
昭和20年4月2日生まれの被保険者に支給される特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額は、1,628円に老齢基礎年金の改定率、当該被保険者の乗率1.032及び468月を上限とする被保険者期間の月数を乗じて得た額として計算される。
よって、「480月を上限とする被保険者期間の月数を乗じて」とした問題文は誤りである。

(参考)
定額部分の年金額は、単価に被保険者期間を乗じて算定されることになっており、被保険者期間については生年月日に応じた段階的な単価設定に合わせて、440月(37年)を上限とする措置が講じられていた。
しかし、定額部分の上限が440月のままだと、昭和19年4月2日以後生まれの者については、定額部分の額が老齢基礎年金の額を下回ることになるので、昭和19年4月2日以後生まれの者については、定額部分の単価に乗じる被保険者期間の月数の上限を480月(40年)に引き上げることとされた。
なお、これらの者の上限を一律に480月に引き上げると年齢が若い世代が、上の世代の年金額を逆転してしまう可能性があるため、段階的に引き上げる経過措置が設けられている。

生年月日 被保険者期間の上限
昭和4年4月1日以前 420月
昭和4年4月2日から昭和9年4月1日 432月
昭和9年4月2日から昭和19年4月1日 444月
昭和19年4月2日から昭和20年4月1日 456月
昭和20年4月2日から昭和21年4月1日 468月
昭和21年4月2日以後 480月

  

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