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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成17年厚年-第7問(遺族厚生年金)
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■平成17年厚年-第7問(遺族厚生年金)

遺族厚生年金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)遺族厚生年金に加算される中高齢の寡婦加算の額は、生年月日等にかかわらず老齢基礎年金の額の4分の3相当額であり、経過的寡婦加算の額は中高齢寡婦加算の額から老齢基礎年金の満額にその妻の生年月日に応じた率を乗じて得た額を控除した額である。

(B)夫婦とも被保険者であり、妻が死亡した場合に死亡当時夫婦の収入によって生計を維持されていた障害等級に該当しない18歳未満の子及び60歳以上の母がいる場合、当該子が受給権者となったときは、その者が18歳に達する日以降の最初の3月31日を終了して失権しても、60歳以上の母は受給権者となることはできない。

(C)被保険者の死亡当時その者によって生計を維持していた55歳以上の養父母及び死亡前に直系血族の者の養子となっている子や孫で、18歳に達する日後の最初の3月31日にまでの間にあるか又は20歳未満で障害等級1級若しくは2級に該当する者は、遺族厚生年金の受給資格者となることができる遺族である。

(D)老齢厚生年金の受給権者の死亡により支給される遺族厚生年金の額の計算において、計算の基礎となる被保険者期間の月数に300月の最低保障は適用されないが、給付乗率については生年月日に応じた乗率が適用される。

(E)妻と子に遺族厚生年金の受給権が発生した場合において、妻と子が生計を同一にしていないときは子に対してのみ遺族基礎年金が支給されるが、子の所在が1年以上不明のときは子の遺族厚生年金が支給停止されるため、妻に対して遺族厚生年金が支給される。



■解説

(A)誤り
法62条1項、法附則73条(昭和60年5月1日法律第34号)
中高齢寡婦加算額は、遺族基礎年金の4分の3に相当する額とされており、65歳以降の寡婦に対する経過的寡婦加算の額は、中高齢寡婦加算額から老齢基礎年金の額にその妻の生年月日に応じて0から480分の348まで定められている率を乗じて得た額を控除した額となっている。
なお、経過的寡婦加算額は、昭和31年4月1日以前に生まれた妻が対象となる。
よって、「中高齢の寡婦加算の額は、生年月日等にかかわらず老齢基礎年金の額の4分の3相当額」とした問題文は誤りである。


(B)正解
法59条1項・2項、昭和37年10月22日庁文発第3769号
遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持したものとする。
ただし、妻以外の者にあっては、次の要件に該当した場合のみ遺族厚生年金を受けることができる遺族となる。
1.夫、父母又は祖父母については、55歳以上であること。
2.子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。
そして、遺族厚生年金の支給を受けることのできる遺族の順位は「配偶者、子、父母、孫、祖父母」とされており、先順位者が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、次順位以下の者は、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としないことになっている。
よって、受給権を取得した先順位者が失権したときでも、次順位者に受給権が転給することはない。

(C)誤り
法59条1項、昭和40年9月3日庁保文発第6738号
遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であった者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母であって、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持したものとする。
ただし、妻以外の者にあっては、次の要件に該当した場合のみ遺族厚生年金を受けることができる遺族となる。
1.夫、父母又は祖父母については、55歳以上であること。
2.子又は孫については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。
なお、遺族厚生年金を受けることができる遺族である「子及び孫」には、被保険者が死亡する前に他家に養子に行っている者も当然含まれるとされている。
よって、「18歳に達する日後の最初の3月31日」とした問題文は誤りとなる。(その他の内容は正しい。)

(D)正解
法60条1項、法附則59条1項(昭和60年5月1日法律第34号)
老齢厚生年金の受給に必要な加入期間の要件を満たしている者が死亡した場合に支給される遺族厚生年金は、被保険者期間が300月に満たない場合でも実際の加入期間に基づいて計算することとしている。
なお、老齢厚生年金の受給に必要な加入期間の要件を満たしている者等については、死亡した者が昭和21年4月1日以前に生まれたものであるときは、その者の生年月日に応じて年金額の計算に用いる乗率を読み替えて計算するものとされている。(短期要件に該当した場合は、被保険者期間を300月とする最低保障が適用されるが、生年月日に応じた給付乗率の読み替えは適用されない。)

(E)正解
法66条2項、67条1項
妻に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について、妻が国民年金法 による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、支給停止されることになり、子に対して遺族厚生年金が支給される。(例えば、先妻の子と後妻で生計を同一にしていないような場合には、妻は遺族基礎年金の受給権を取得せず、子に対して遺族基礎年金が支給される)
しかし、この場合でも、子に対する遺族厚生年金が、その所在が1年以上明らかでないことにより支給停止されている間は、妻に対して遺族厚生年金が支給されることになる。

※社会保険労務士試験センターからの発表では、正解は「A及びC 」とされている。

  

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