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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成18年厚年-第8問(併給調整)
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■平成18年厚年-第8問(併給調整)

併給の組合せの例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)受給権者が65歳に達しているときの共済組合等の年金給付については、原則として退職共済年金と老齢厚生年金、遺族厚生年金と遺族共済年金、同一の支給事由に基づく障害厚生年金と障害共済年金は、それぞれ併給できる。

(B)受給権者が65歳に達しているときの障害基礎年金については、原則として、障害基礎年金と老齢厚生年金、障害基礎年金と遺族厚生年金(経過的寡婦加算を除く。)、障害基礎年金と配偶者に対する遺族厚生年金の3分の2相当額及び老齢厚生年金の2分の1相当額(加給年金額を控除した額の2分の1相当額に加給年金額を加算した額)は、それぞれ併給できる。

(C)受給権者が65歳に達しているときの遺族厚生年金と旧法との関係については、原則として、新厚生年金保険法の遺族厚生年金(経過的寡婦加算を除く。)と旧国民年金法の老齢年金又は障害年金、新厚生年金保険法の遺族厚生年金と旧厚生年金保険法の老齢年金の2分の1相当額は、それぞれ併給できる。

(D)受給権者が65歳に達しているときの老齢基礎年金については、原則として老齢基礎年金及び付加年金と遺族厚生年金(経過的寡婦加算を除く。)、老齢基礎年金と障害厚生年金、老齢基礎年金と配偶者に対する老齢厚生年金の2分の1相当額(加給年金額を控除した額の2分の1相当額に加給年金額を加算した額)及び遺族厚生年金の3分の2相当額(経過的寡婦加算を含む。)は、それぞれ併給できる。

(E)受給権者が65歳に達しているときの旧法との調整に関しては、旧厚生年金保険法の遺族年金と新国民年金法の老齢基礎年金又は障害基礎年金、新厚生年金保険法の老齢厚生年金と旧国民年金法の障害年金は、それぞれ併給できる。



■解説

(A)誤り
法38条、法54条の2、法64条の2、法69条、法附則17条
退職共済年金と老齢厚生年金とは併給可能であるが、障害厚生年金と障害共済年金はどちらか一方を選択して受給することになっている。
そして、遺族厚生年金と遺族共済年金はそれぞれの支給要件が短期要件か長期要件であるかによって、調整方法が異なっている。
よって、「それぞれ併給できる」とした問題文は誤りである。

(参考)
短期要件の遺族共済年金 長期要件の遺族共済年金
短期要件の遺族厚生年金 選択受給 選択受給
長期要件の遺族厚生年金 遺族共済年金が優先 併給可能

(B)誤り
法38条、法附則17条、法附則73条1項(昭和60年5月1日法律第34号)
受給権者が65歳に達しているときの障害基礎年金については、「障害基礎年金と老齢厚生年金」、「障害基礎年金と遺族厚生年金(経過的寡婦加算を除く)」の併給は可能である。
また、平成18年の出題当時は、「障害基礎年金と配偶者に対する遺族厚生年金(経過的寡婦加算を除く)の3分の2相当額及び老齢厚生年金の2分の1相当額(加給年金額が加算される場合は、その額を除いた額の2分の1相当額に加給年金額を加算した額)」の併給も可能であったために正解とされていた。(障害基礎年金と併給する場合には、配偶者に対する遺族厚生年金に対する経過的寡婦加算が支給停止される点、障害基礎年金に子の加算がある場合は、老齢厚生年金に係る子の加給年金額が支給停止になる点についての記述がないため正誤の判断が微妙である)
しかし、法改正により、平成19年4月1日から、65歳以後の老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給調整の方法が見直されることになり、65歳以上の遺族厚生年金の受給権者が老齢厚生年金の受給権を有する場合は、まず老齢厚生年金(加給年金額を含む)を全額支給し、遺族厚生年金(経過的寡婦加算を含む)又は遺族厚生年金(経過的寡婦加算を含む)の3分の2相当額と老齢厚生年金(加給年金額を除く)の2分の1相当額を合算した額のうちいずれか多い方の額と老齢厚生年金(加給年金額を除く)の差額を遺族厚生年金として支給する方式(障害基礎年金と併給する場合は、原則として遺族厚生年金に係る経過的寡婦加算及び老齢厚生年金に係る子の加給年金額は支給停止されるので注意)に改定されたことによりこの部分は誤りとなる。
よって、この問題文も誤りとした。

(C)誤り
法38条、法附則17条、法附則56条6項(昭和60年5月1日法律第34号)、法附則73条1項(昭和60年5月1日法律第34号)
受給権者が65歳に達しているときの遺族厚生年金と旧法による年金給付は、次のとおり併給が可能である。
1.遺族厚生年金と旧国民年金法の老齢年金
2.遺族厚生年金(経過的寡婦加算を除く)と旧国民年金法の障害年金
3.遺族厚生年金と旧厚生年金保険法の老齢年金の2分の1相当額
よって、旧国民年金法の老齢年金と併給可能な遺族厚生年金について「(経過的寡婦加算を除く)」とした問題文は誤りである。
なお、「老齢基礎年金と旧厚生年金保険法の遺族年金」、「老齢厚生年金と旧国民年金法の障害年金」の組合せでも併給が可能である。

(D)誤り
法38条、法附則17条、法附則73条1項(昭和60年5月1日法律第34号)
受給権者が65歳に達しているときの老齢基礎年金と遺族厚生年金を併給する場合の遺族厚生年金から経過的寡婦加算は除かれない。
また、老齢基礎年金と障害厚生年金の組合せで併給することは認められていない。
よって、老齢基礎年金と併給可能な遺族厚生年金について「(経過的寡婦加算を除く)」とした点、「老齢基礎年金と障害厚生年金」を併給できるとした点から問題文は誤りとなる。
なお、付加年金については、老齢基礎年金が全額支給停止されている場合を除き、支給停止されることはない。(国年法47条)
ちなみに、平成18年の出題当時は、「老齢基礎年金と配偶者に対する老齢厚生年金の2分の1相当額(加給年金額を控除した額の2分の1相当額に加給年金額を加算した額)及び遺族厚生年金の3分の2相当額(経過的寡婦加算を含む。)」の併給も可能であったためにこの部分は正しかったが、法改正により、平成19年4月1日から、65歳以後の老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給調整の方法が見直されることになり、65歳以上の遺族厚生年金の受給権者が老齢厚生年金の受給権を有する場合は、まず老齢厚生年金(加給年金額を含む)を全額支給し、遺族厚生年金(経過的寡婦加算を含む)又は遺族厚生年金(経過的寡婦加算を含む)の3分の2相当額と老齢厚生年金(加給年金額を除く)の2分の1相当額を合算した額のうちいずれか多い方の額と老齢厚生年金(加給年金額を除く)の差額を遺族厚生年金として支給する方式(障害基礎年金と併給する場合は、原則として遺族厚生年金に係る経過的寡婦加算及び老齢厚生年金に係る子の加給年金額は支給停止されるので注意)に改定されたことによりこの部分も誤りとなる。

(E)誤り
法38条、法附則17条、法附則56条6項(昭和60年5月1日法律第34号)
受給権者が65歳に達しているときの新法の年金給付と旧法の年金給付は、次のとおり併給が可能である。
1.遺族厚生年金と旧国民年金法の老齢年金
2.遺族厚生年金(経過的寡婦加算を除く)と旧国民年金法の障害年金
3.遺族厚生年金と旧厚生年金保険法の老齢年金の2分の1相当額
4.老齢基礎年金と旧厚生年金保険法の遺族年金
5.老齢厚生年金と旧国民年金法の障害年金
よって、「旧厚生年金保険法の遺族年金と新国民年金法の障害基礎年金」の組合せで併給することができるとした問題文は誤りである。

※社会保険労務士試験センターからの発表からでは、「B」が正解であったが、法改正の影響による修正が難しいため「正解なし」とした。

  

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