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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成18年厚年-第9問(厚生年金の障害給付)
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■平成18年厚年-第9問(厚生年金の障害給付)

厚生年金の障害給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)障害厚生年金の受給権を有していた者であって、平成6年11月9日前にその受給権を喪失した者のうち、請求することによって障害厚生年金が支給されるのは、同一の傷病によって65歳に達する日の前日までの間に2級以上の障害の状態になったときに限られる。

(B)2級以上の障害厚生年金の受給権者が、その後別の傷病により障害が残り、その障害だけで2級以上の障害厚生年金の受給要件を満たしているときには、後の障害の障害認定日に前後の障害の程度を併せた障害の程度によって、新たな障害厚生年金が支給される。

(C)障害等級3級の障害厚生年金の年金額には、配偶者についての加給年金額は加算されないが、障害基礎年金の年金額の3分の2に相当する最低保障額がある。

(D)厚生年金保険、国民年金、共済組合等の年金給付の受給権者であって、障害等級3級以上に該当しなくなって2年を経過した者には、障害手当金が支給される。

(E)障害手当金の額は、原則として厚生年金保険法第50条第1項の規定の例により計算した額の100分の250に相当する額であるが、3級の障害厚生年金の最低保障額の2倍に相当する最低保障額がある。



■解説

(A)誤り
法附則14条1項(平成6年11月9日法律第95号)
従前の規定では、障害厚生年金等の受給権者が障害等級に該当しなくなった場合、その後3年間を経過すると受給権が消滅することとされていた。
しかし、平成6年の法改正により、障害等級に該当することなく3年を経過しても、65歳に達するまでは受給権は消滅せず、その間は支給停止する取扱いに変更された。
そして、その改正に伴う経過措置として、平成6年改正法の施行日(平成6年11月9日)前に、従前の規定によって、障害厚生年金等の受給権が消滅した者のうち、同一の傷病によって現に障害等級1級から3級までに該当する状態にあるとき、又は、65歳に達する日の前日までの間に障害等級1級から3級に該当する状態に至ったときは、障害厚生年金等の支給を請求できることとされた。
よって、「2級以上の障害の状態になったときに限られる」とした問題文は誤りである。

(B)正解
法48条1項
障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く。)の受給権者に対して更に障害厚生年金(当初から障害等級2級以上であるものに限る)を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金が支給される。
よって、問題文は正解である。
なお、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金の受給権を取得したときは、従前の障害厚生年金の受給権は消滅することになっている。(法48条2項)

(C)誤り
法50条3項、法50条の2第1項
障害等級3級の障害厚生年金の額は、障害等級2級の障害厚生年金の額と同額となっているが、障害等級3級の障害厚生年金の受給権者には障害基礎年金が支給されないため、最低保障額が設けられている。
そして、最低保障額は、障害等級2級の障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(50円未満の端数は切り捨て、50円以上100円未満の端数は100円に切り上げる)とされている。
よって、「障害基礎年金の年金額の3分の2に相当する最低保障額」とした問題文は誤りである。
なお、配偶者加給年金額が加算される障害厚生年金は、障害等級2級以上である障害厚生年金に限られている。

(D)誤り
法56条1号・2号
厚生年金保険、国民年金、共済組合等の年金たる保険給付の受給権者(最後に障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害厚生年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)を除く。)には、障害手当金は支給されない。
よって、「2年を経過した者には、障害手当金が支給される」問題文は誤りである。
なお、平成6年改正前は、障害等級に該当することなく3年を経過するまでは障害厚生年金等の受給権者として障害手当金を支給しない取扱いとされていた(よって、障害等級不該当3年を経過すれば受給権者でなくなり、障害手当金を受給できた)が、平成6年の改正により、障害厚生年金等の失権事由が障害等級不該当3年経過から65歳到達に改められて、65歳に達するまでは受給権者とすることとされたことに伴い、障害手当金を支給されない者の範囲を、改正前と同様に障害等級不該当3年を経過するまでと規定したものである。

(E)誤り
法57条
障害手当金の額は、原則として報酬比例部分の年金額の100分の200に相当する額とされている。
よって、「100分の250に相当する額」とした問題文は誤りである。
なお、障害手当金には、障害等級3級の障害厚生年金の最低保障額の2倍に相当する額の最低保障額がある。

  

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