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トップページ過去問研究室(厚生年金保険法) 平成20年厚年-第10問(厚生年金の額の改定等)
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■平成20年厚年-第10問(厚生年金の額の改定等)

厚生年金の額の改定等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)報酬比例部分のみの60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者(加給年金額の対象者は有していないものとする。)が、被保険者でなく、かつ、傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態(以下「障害状態」という。)にあるとき(その傷病が治らない場合(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態にある場合を除く。)にあっては、その傷病に係る初診日から起算して1年6月を経過した日以後においてその傷病により障害状態にあるとき。)は、その者の請求により、当該請求があった月の翌月から、定額部分が加算された年金額に改定される。

(B)障害厚生年金の受給権者について、離婚等をした場合における標準報酬の改定又は決定が行われたときは、当該標準報酬改定請求のあった日の属する月から、年金額が改定される。

(C)被保険者である60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者について、その者の総報酬月額相当額が改定された場合は、改定が行われた月から新たな総報酬月額相当額に基づいて支給停止額が再計算され、当該改定が行われた月から、年金額が改定される。

(D)被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したときは、その資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月から、年金額が改定される。

(E)60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者が被保険者である場合、その者の総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額との合計額が28万円以下のときは、年金の支給停止は行われない。



■解説

(A)正解
法附則9条の2
平成6年の法改正により、60歳から64歳までの間の老齢厚生年金は、定額部分と報酬比例部分とを合算した特別支給の老齢厚生年金から、段階的に報酬比例部分相当額のみの給付に改められることになった。しかしながら、60歳を過ぎて働くことが困難な者の特例として、受給権者が、被保険者でなく、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるとき(症状が固定していない場合には、初診日から1年6か月を経過しても、その傷病によって障害の状態にあるとき)は、その者の請求により、請求月の翌月から定額部分相当額と報酬比例部分相当額とを合わせた額の年金が支給されることになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、この障害者の特例については、長期加入者の特例と異なり、本人からの請求があることを要件としている。
また、障害の状態が軽快した場合においては、長期加入の特例や坑内員・船員の被保険者期間が15年以上ある者の特例に該当していない限り、この障害者の特例の適用がなくなり、報酬比例部分相当額の年金に改定されることになっている。

(B)誤り
法78条の10第2項
障害厚生年金の受給権者について、離婚等をした場合における標準報酬の改定又は決定が行われたときは、当該標準報酬改定請求のあった日の属する月の翌月から、年金の額が改定されることになっている。
よって、「標準報酬改定請求のあった日の属する月から」とした問題文は誤りとなる。
なお、障害厚生年金の受給権者について、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300に満たないときに被保険者期間の月数を300として計算されている場合は、離婚時の標準報酬の決定又は改定されたときの年金額の改定において、離婚時みなし被保険者期間は当該障害厚生年金の年金額の計算の基礎としないことになっている。(離婚時みなし被保険者期間の標準報酬を年金額の計算の基礎に含めると平均標準報酬が下がり障害厚生年金の額が下がることになるため)

(C)正解
法附則11条1項、法附則15条の3
被保険者である60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者について、その者の総報酬月額相当額(標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額)が改定された場合は、その月から新たな総報酬月額相当額に基づく支給停止額が計算され、年金が改定されることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法43条3項
老齢厚生年金の受給権を取得した以後の厚生年金保険の被保険者期間については、当該老齢厚生年金の年金額の計算の基礎とされないこととされているが、その者が退職し厚生年金保険の被保険者の資格を喪失した場合においては、資格喪失後1か月を経過したときに、当該被保険者期間を加えて年金の額を改定することになっている。(退職時改定)
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法附則11条1項
60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者が被保険者である間は、その者の総報酬月額相当額(標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額)と老齢厚生年金の額を12で除して得た額(基本月額)との合計額が支給停止調整開始額(28万円)以下であるときは、老齢厚生年金は支給停止せず、合計額が支給停止調整開始額を超えるときに、老齢厚生年金が支給停止されることになっている。
なお、支給停止額は、基本月額が支給停止開始調整額以下かそれを超えるか、また、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額(46万円)以下かそれを超えるかによって4つの場合に応じて計算されることになっている。
よって、問題文は正解となる。

  

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